第19話 宿の確保とステータス

 焚き木を集めてきた2人が戻ってきた。

 大量に抱えており、今日はもう取りに行く必要ないほどだった。


 「お疲れ様。いっぱいとってきたな。」


 「まぁね。暗くなってから必要になっても困るしね。」


 「真一も何かあったか?」


 2人が焚き木をまとめて置いているのを見ながら、俺は広場の中央にあった窪みについて相談することにした。


 「あぁ、この広場の中央に小さな窪みがあった。」


 「なんだって!!本当か!?」


 「それは、今からすぐに見に行こうか。」


 そうして、俺たちは広場の中心にある窪みのところにやってきた。窪みの大きさは、握り拳より全然小さい。いったい、何をいれるのか?


 「なんだと思う?」


 「ただの窪んでいるだけじゃないのか?」


 「いや、もしかしたら魔石を嵌めるのかもしれない。」


 そういうと優希は、収納魔法から魔石を取り出した。おそらく、家のダンジョンに出てくるスライムが落とした魔石であろう。


 窪みに嵌めようとすると魔石のサイズはぴったりだった。魔石が嵌まると、そこを中心にして魔法陣が光り始める。

 魔法陣の大きさを10m四方にも広がった。

 俺たちは、急いでその場を離れた。まるで何が召喚されるようだった。

 すると、地面の方から何がせりあがってきた。どうやら、それは古くからある日本家屋のようだった。完全に召喚されると魔法陣は静かに消えた。


 その家屋を見ると、ところどころボロボロであるが、宿なしの俺たちにとってもありがたいものだった。


 「宿として使えそうだな。」


 「外で寝るより良いと思うよ。」


 「流石に電気やガス、水道はないな。そのかわりかまどがあるから料理はできそうだな。」


 電気やガス、水道があったら、いろいろできたのに流石にないか。まぁ、宿だけで十分だな。


 「それは、ありがたいな。」


 「ボロボロなのに、ほこり1つ落ちてないよ。」


 「今作られたみたいだな。」


 今作られたのなら、わざわざボロボロにしなくても良いのにな。

 今夜の宿の確認もそこそこに夕食を作るために行動を開始した。集めた焚き木を中に運び、かまどに火を灯す。俺は昼と同様に火の番である。


 「魔猪の肉を使って手持ちの塩と胡椒で味つけするからな。」


 「大丈夫だよ。ステーキとは豪華だね。是非ともご飯が欲しくなるね。」


 「明日も同じ食事だろうから豪華と呼んで良いのか、分からないな。」


 そんなことを話しながら俺たちは、夕食を食べた。魔猪は、意外にとても美味しい肉だった。食べるために育てられる家畜より美味しいかもしれない。

 俺には、これまで地上で食べたどんな肉よりも美味しく感じた。


 「美味いな。」


 「美味しすぎるね。」


 「こんなに美味いのか。」


 「これは、是非ともお持ち帰りしたいね。」


 「「賛成!」」


 夕食を食べ終わると、俺たちは囲炉裏を囲み、畳の上に毛皮を敷いて座った。辺りはもう真っ暗であり、囲炉裏の火だけが唯一の灯りである。


 「さて、明日はどうする?」


 「とりあえず、レベルは上げたいな。」


 「そうだね、真一。明日は、レベル上げとボスの居場所を確かめることを目標にしたい。」


 「OKだぜ!」


 「大丈夫だ。」


 こうして、明日の予定が決まった。

 このダンジョンを出るにはボスを倒さないといけない。けれど、ボスはダンジョン内を徘徊している。広いこのダンジョンで上手く遭遇できるだろうか?

 運が味方することを祈ろう。


 「ところで、みんなのステータスってどんななんだ?」


 話しが一段楽したところで、克人が聞いてきた。

 どうやら、ステータスを確認したときに自分がどのくらいなのか知りたくなったのだろう。


 「それじゃ、俺からな。」


--------------


個体名  源田 克人

種族   人

年齢   15歳

性別   男

職業   学生

レベル  3

状態   正常

HP   150/150 20up

MP    20/20  10up  


スキル  不動 Lv1

     盾  Lv2


称号   不動なる者


--------------


 やはり、HPの伸びがいいな。それに盾のスキルがよく伸びているな。


 「もうレベル3か、早いな。」


 「そうだね。まぁ、かなりの数の魔物を倒したからね。」


 「こんなもんじゃないのか。」


 「次は、僕ね。」



--------------


個体名  直江 優希

種族   人

年齢   15歳

性別   男

職業   学生

レベル  5

状態   正常

HP   100/100  20 up

MP   100/100  40 up


スキル  思考加速   Lv1  1 up

     棒術     new

     賢者の素質  Lv2  2 up


魔法   火属性魔法  Lv1  new    

     風属性魔法  Lv2  new

     水属性魔法  new       

     土属性魔法  new 

      回復魔法  new   


称号   原初の魔法使い


--------------


 優希のステータスはしばらく見ていなかったけど、魔力が多くなっているみたいだな。それに棒術をスキルとして習得できるくらい頑張っているようだな。


 俺に比べて魔法系スキルの成長が速い気がするが、称号の差かな。


 「魔法、多くないか?」


 「称号の効果じゃないか?」


 「たぶん、そうだと思うよ。」


 「じゃあ、俺の不動なる者だと守る関係のスキルが伸びやすいのかな?」


 「そうかもな。」


 「それじゃ、最後は俺な。」



--------------


個体名  上杉 真一

種族   人

年齢   15歳

性別   男

職業   学生

レベル  6

状態   正常

HP   150/150  40up

MP    65/65   20up


スキル  適応 Lv4 3 up

     槍術 Lv2 1 up

     体術 Lv2 2 up

    短剣術 Lv3 new

     馬術


魔法 生活魔法 Lv1 new 

   身体強化 Lv1 new 


称号   先駆者


--------------


 こうして見ると結構成長したな。最初はスキル4つだけだったのに、新たなスキルの獲得とスキルのレベルアップといろいろ頑張ったからな。


 「こっちは、スキルが多くないか?」


 「これも称号のせいだろ。」


 「真一、適当なこと言って誤魔化しているわけじゃないよな。」


 「いや、俺たちにも分からないんだ。」


 「分かった。信じるよ。」


 克人は、俺の説明を信じてくれるようだ。

 

 「ところで、なんでダンジョンに潜ったことがあるのか教えてくれるか。」


 今、聞かれたら教えないわけにはいかない。

 ダンジョン に侵入したときに後で説明するって言ってしまったからな。さて、どうしよう。


 「真一、教えてあげたらどうだい?君が教えても良いと思うところまでね。」


 「はぁ。分かったよ。」


 俺は、克人に自宅の庭にダンジョンができたことを説明した。しかし、じいちゃんが異世界人であることは説明しなかった。


  全てを話すことが不安だった俺は、異世界のことは隠すことにした。後でじいちゃんに相談して決めることにした。


 「なるほど、庭にダンジョンがね。」


 「それで、俺と優希がそのダンジョンで鍛えているんだ。」


 「今は、その説明だけで良いが。でもいつか全部教えてくれよ。」


 どうやら克人は、俺たちが何かを隠していることが分かっているようだった。しかし、今は追及しないことにしたようだ。


 その後、俺たちは畳の上に毛皮を敷いて寝た。

 俺たちは、このダンジョンを攻略しないといけない。そうしないとこのダンジョンから出られないのだから。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

日本にダンジョンができたと思ったら俺のじいちゃんは異世界人でした 若葉 冬雪 @JIN5009

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ