第11話 魔石の使い道
少し興奮した様子の俺と優希だったが最後まで油断せず、無事にダンジョンを出ることができた。
時計を見ると現在時刻は午後4時頃、まだ太陽がよく見えているが時期に暗くなるだろう。
家に入ると順番にシャワーを浴びる。ダンジョンに潜ったことで血やら汗やら泥で肌は汚れていた。排水溝に流れる水が酷く濁っている。今日の激戦を思い出される。
「本当に疲れたなぁ。」
思わず声に出てしまう。
疲れからかぼーっとしていると風呂場の外から声が聞こえた。
「真一、もしかして寝ておるんじゃなかろうな?さっさと出てこんかい。あまりに遅いから優希君は山田さんのとこに行ったよ。」
無意識に長いことシャワーを浴びていたようだ。
待たされる優希君が可哀想だったのか、山田さんは隣の自家まで連れて帰ったようだ。
俺は急いで風呂場を出て、服を着替えた。その後、部屋でゴロゴロしていると玄関の開く音が聞こえた。どうやら、隣に行ってた2人が戻ってきたようだ。
「お帰りなさい。ごめん、シャワー長くて。」
「気にしないで。お互い疲れが出てるだけだろうし。山田さんもシャワー貸して頂きありがとうございました。」
「別に構わないよ。もともと、私は自宅でシャワーを浴びる予定だったから手間が増えたわけじゃないし、どうってことないよ。」
そんな山田さんに俺たちは再度お礼を言った。
そして、早めに夕食の準備に入った。今日の料理は、何といっても鍋である。ちゃんとシメも用意している。
夕飯の準備といっても具材はすでに切ってある。後は入れて煮るだけだ。
こうして豪華な夕飯が完成すると、俺たち4人は鍋を囲んで座った。俺と優希は競うように食べ始めた。そんな俺らを大人2人は笑って見ていた。シメまできれいに食べ終わると少し時間ができた。
「今日は、2人ともお疲れ様。それと優希君、これは記念に持っていなさい。」
そう言って山田さんは優希にゴブリンが落とした赤い石を渡した。
「あのこれってゴブリンが落とした石ですよね。これって何ですか?」
「それはね。この世界でいうところの魔石と呼ばれているものだよ。使い方は魔法道具に使用したり、武器の作成に使用したり、大規模な魔法の補助として使ったりできるんだ。」
「他にも魔法使いは知っておかないといけない魔石の使用方法があって、魔力を貯めておくことができるんだ。貯めておける量は、魔石の質で決まるよ。魔石に魔力を貯めるには自身の魔力を魔石に移す必要があるんだ。だから、暇なときに魔石に魔力を貯めるのだけどね。この世界は空気中に魔力が存在しないから、使った魔力が回復しないから注意してね。」
「でもそれってこの魔石は、かなり貴重な物ではないですか?」
「まぁ、そうだね。さらに魔石が落ちる確率は、戦闘するものによって変動するから注意してね。戦う魔物より自分が強ければ強いほど魔石は落ちにくくなるよ。」
「だから、優希君が最初にスライムと戦ったときは落ちなかっただろう?あれは、僕たちが手伝ったことで確率がかなり低くなっていたからだよ。」
「まぁ、基本的に魔石が落ちたらラッキーくらいに思っていれば問題ないよ。」
「「へぇ〜。」」
そんなことをダラダラと話していると夜もすっかり更けてきた。
そして、山田さんは隣の自宅に帰ることになった。
「今日は、お疲れ様。2人とも早く寝るんだよ。明日は優希君、見送るから帰るときは声をかけてね。」
「分かりました。今日、本当にありがとうございました。そして、これからご指導よろしくお願いします。」
優希は山田さんに頭を下げる。彼は今後、山田さんに魔法を教わるわけだから当然であろう。
その隣で俺も頭を下げる。
「今日は腕を治してくれてありがとうございました。これからもよろしくお願いします。」
「気にしないで良いよ。好きでやっていることだから。」
そう言うと山田さんは帰っていった。
なんだか俺は少し寂しくなった。泊まっていけば良かったのに。まぁ、家が隣だからこそそんなこと起きないか。
玄関に立ち尽くす俺らに、じいちゃんが話しかけてきた。
「2人とも、遅くなったが風呂にお湯をはったから入ってきなさい。」
別にシャワーはもう浴びているから今さら風呂に入る必要はない。しかし、俺らは指示に従い風呂に入る。
少し高めのお湯がはられた湯船に入る。無意識に声が漏れる。
「はぁ〜……。」
今日は本当にいろいろあった。そのことを思い出すとだんだん眠くなってきた。このままではまずい。急いで俺は風呂出た。
俺と入れ替わりに優希が風呂に入った。部屋に戻ると、俺と優希の分の布団を敷く。まだ、時刻は10時を過ぎたばかりだ。俺はかなり眠気を感じていたが優希がくるのを待った。
優希が戻るまで何もすることがなかった俺は、布団に横になりマンガを読んでいた。瞼が落ちるのを必死に堪える。
俺が必死に眠気と戦っていると優希が戻ってきた。
「あっ。布団敷いてくれたんだ。ありがとう。」
「気にするなよ。」
優希がすまなそうにするが、俺は全然気にしていない。むしろ、泊まる側の人が手伝う必要はないだろう。
俺の隣の布団に優希が座る。俺も体を起こして優希と話し出した。
「ふう。今日は大変だったなぁ。」
「でも良いじゃん。無事にレベルアップしたんだろ?」
「まぁね。そういえば、このステータスとスキルってどう見れば良いだろう?」
「そうだな。とりあえず、お互いのステータス見せ合って確認しないか?別に隠すようなことないし。それでもわからないければ明日じいちゃんに聞こうぜ。」
「それもそうか。」
こうして、俺たちはお互いのステータスを見せ合った。
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