第15話 夏休みの終わりと地区大会の始まり
夏休みも気付けば後残り三日。
今年の夏休みは、遊びにトレーニングに勉強も、全てが充実した長期休暇だった。
優菜と雪ちゃんと遊んだ後は、誰かと遊ぶことはなく女の子との交流も当然なかった。
しかし遊ぶ予定はなかったが、毎日が充実していた。
バスケの合宿や練習試合があったり、たまたま地元のライブハウスに今は無名だが将来有名になるバンドが来るとの情報を聞きつけてライブを見に行ったりと、夏休みを満喫したと言っても過言ではない。
勉強の方も自己学習ではあるがついに小学校で習うレベルの基礎を習熟し終え、いよいよ中学レベルに突入する。
前世では中一の中盤あたりから徐々に授業についていけなくなっていたが、それは基礎がしっかりとしていなかったからだ。
今世では現時点で既に基礎は完璧といっていいレベルだし、今の俺なら例え自学だろうとつまづくことはないはず。
だから塾に行くことは今のところ考えていない。
射精強化で理解力も当然強化されている故に、自分のスペックに信頼を置いているからな。
さて、夏休みの終わりが近づいているということは、イベントの日が迫ってきているということでもある。
八月の終わりにはバスケの地区大会。
九月の中頃には学校行事の持久走大会。
どちらでも目指すはトップ。優勝あるのみ。
前世では持久走なんて本気で走ったことはなかったし、バスケも本当に全力で取り組んだことなんできっとなかった。
だからこそやり直しの人生である今世では、まじめに全力で取り組み、どこまで行けるのかを試す。
もちろんおまけでおまけとしては過剰な特典という名のチート能力をもらっている時点で前世とは境遇が違いすぎるという部分はある。
だが、それらを従前に扱うのにも当然努力は必要だ。
未来知だって最初は扱うのに苦労したし、射精強化にしても継続こそが力となる能力である。
チート能力持ちだとしても、努力しなければ今の俺はいない。
今世で前世とは比べ物にならないくらい努力しているのだから、それが報われることを信じて、今はただ進むだけだ。
それから圧倒いう間に三日が経ち、夏休みは終わり第二学期が始まった。
久しぶりのクラスメイト達との交流や、席替えで隣の席となった優菜との楽しい時間。
全てが充実していて、この時間が夢でないことを心の底から祈る。
これで夢でしたなんて落ちだったら苦笑いにすらならない。
きっと発狂するだろう。
といっても、自分が死んだ瞬間を覚えているので夢オチなんてあり得ないけどな。
「ねぇねぇ凛。今度の地区大会ってここら辺でやるんだよね?」
地区大会まで残り一週間をきった今日、優菜から休み時間にそんなことを聞かれた。
これはもしや応援に来てくれる流れでは? と期待して答える。
「うんそうだよ。一、ニ回戦とかはうちの学校で、そこからは道立体育館でやることになるかな」
「そうなんだ。雪のチームもこっちの学校で一回戦あるのかな?」
「確かそうだったはず。時間的に俺のチームの前が女子の雪ちゃんがいるチームの一回戦だよ」
「そっかそっか。だったら凛の応援のついでに雪のチームも見られそうだね」
まさかの既に応援にくることは優菜の中で確定していた。しかも雪ちゃんの応援のついでではなく、俺達のチームの応援が本命。
これは嬉しい、嬉しすぎる。
それと同時に絶対に負けられない戦いとなった。
一回戦は幸いにも前世の俺たちのチームですら接戦になるような弱小。
油断は禁物だが、本気を出せばほぼ100%勝てると思う。
というか、優菜が応援に来るなら舐めプなんてダサい真似は出来ないし、するつもりも起きない。全力の俺を見てもらいたいからな。
「応援に来てくれるの? 凄い嬉しいよ。絶対勝つからね!」
「ふふっ、うん。凛の活躍期待してるから頑張ってね!」
可愛い女の子の応援でやる気が天元突破する自分が単純だなと思いつつ、それで損しないなら単純であろう別にいいだろうと心の中で自己完結。
全部の試合を応援に来ることはないだろうが
一回だけでも来てくれるだけで励みになる。
こうして俺はさらにやる気を漲らせ、これから一週間の間で限界を突破するためシコってシコリにシコリ続け、ついに一日十回以上シコるという記録を打ち立てるのだった。
⭐︎
「宣誓、我々選手一同は〜」
時は経ち、ついに地区大会当日を迎えた。
目の前では開会式として去年この大会で優勝したチームのキャプテンが優勝旗返還と選手宣誓をしている。顔はカッコ良くないのだが、雰囲気でそんな人物もカッコ良さそうに見えてしまう。
前世では一生縁がないだろうと思っていたが、今世ではワンチャン来年その舞台に自分が立てる可能性がある。
別に目立つことが好きというわけではないが、この地区の女子バスケ選手には、雪ちゃん以外にも可愛い子が沢山いる。そんな子達へカッコいいところを見せるのには格好の舞台であると思う。
もちろん第一にアピールしたい人物が雪ちゃんであるのは言うまでもない事実だが、それはそれ、これはこれというやつだ。
とにかく、来年俺が選手宣誓の舞台に立つには、今年の優勝が絶対条件。
前世では一回戦負けしたリベンジも含めて、最後まで勝ち続ける。
そんな新しい目的も含めて俺は決意を新たにし、一回戦の舞台である自分の通う小学校へ赴くのだった。
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