第4話 オンライン英会話を活用する

オンライン英会話は令和の日本にぴったりだ。オレのやっているオンライン英会話教室だと月6,000円で毎日1回25分間のレッスンを受けることができる。皆勤かいきんなら1回200円というタダみたいな値段だ。


そのシステムを説明する。たとえば今の時刻が午後4時13分だとしよう。その場合、午後4時30分以降のレッスンを予約することができる。そこで午後5時開始のレッスンを予約する場合、その時刻に空いている講師を選ぶわけだ。


講師はフィリピン人で、3000人ほど在籍ざいせきしている。男女の割合は1対9くらいじゃないかな。とにかく午後5時に予約できる講師の顔写真と名前がズラッと出てくるので、1人選んでポチッとやるわけ。ただそれだけ。


後はレッスン開始まで英会話本番の恐怖に震えながら、ひたすら付け焼き刃の勉強をする。たとえばオリンピックについて話をするなら「選手」「観客」「競技場」「開会式」など、色々な英単語を調べて覚えておかなくてはならない。もちろんどこかにメモしておいても良い。


そして本番だ。パソコンの画面に出てきた講師とひたすらしゃべる。25分間だけど、これが結構長い。オリンピックの話題から入っても途中から新型コロナの話になってしまうことがある。そうすると日本でのワクチン接種だとかロックダウンだとか隔離かくりの話をしなくてはならない。どれもノーマークの単語で調べていないから「うーん、うーん」と考えることになる。講師が忍耐強く待ってくれるので、より一層、情けない思いをさせられる。


25分が終わったらもうヘロヘロ。その後にうまく出てこなかった単語とか言い回しとかを復習する。たとえば「私、女の子を産んでおけば良かったわ」のような表現だ。「生まれる」なら "be born" だけど、「産む」などというのは滅多に使うことがない。先の例文だと "I should have given birth to a girl." となる。こういうのは講師がチャットボックスに書き込んでおいてくれるので、後でチェックして記憶する。


よく言われるのが、フィリピン人は英語ネイティブでない上になまりが強いのでイマイチじゃないか、という事だ。でもオレは言いたい。確かにフィリピン人は英語ネイティブではないが少なくともオレの10倍は英語が上手うまい。


そして、オンライン英会話はあくまでも自らのスピーキング能力をきたえるためのものだ。相手がどんな英語をしゃべっていようが、コミュニケーションが成立すればそれで問題ない。少なくともオレはそう思う。講師に求めたいのは、こちらの下手な英語に辛抱強しんぼうづよくつきあってくれるやさしさだけだ。

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