第12.5話「閑話~蓬川愛子のオモイ~」

 陰キャ男子の阿合あきらに別れを告げられ、私、蓬川愛子は部室で一人きりとなった。


 大学生活に楽しみを見出せていなさそうな根暗君に、「私のレポート課題を代筆する」権利をあげようと思ったのに無下にされたようで腹が立った。


 花見のときにあきらくんを完全に射止めたつもりだった。


 私と話す度に顔を真っ赤にさせていたし、少々露骨すぎたが思わせぶりな素振りをこれでもかと言うほど彼にしてあげた。


 だから彼の行動の優先順位は私が一番になるはずだった。


 なのに、私は二の次にされた。


 自分で言うが、私は小さい頃から周りの男子たちにチヤホヤされていてかなりモテていた。いつも男子たちが私の思い通りに動いてくれた。


 その分、女子たちに嫉妬の眼差しを向けられたけど、男子からは好かれていたし、同性と群れて行動するのは大衆に迎合しているみたいで、私の魅力がなくなってしまう気がして群れたくなかったから別に構わなかった。


 そういう理由もあって人数が少ないLIFEる!に入ったのだが、サークル内で自分の言いなりになりそうな男子を探したときに、一目であきらくんは手中に収めることができそうだと思った。女慣れしてないというか、もう会った瞬間から私の虜という感じだった。


 もちろん利用しないわけがないので、私が楽できるように手駒として使ってあげようと考えていたのに。


 電話相手をチラッと見たら、噂の仙田くんだった。


 私は、仙田くんと天秤にかけられて負けたのだ。


 別に、あきらくんに特別な感情があるわけではないけれども、仙田くんに負けたという事実が悔しいし、仙田くんを選んだあきらくんに腹が立った。


 隅っこでひっそりとしていそうな彼に私に仕える権利をあげようとしたのに。


 取り残された私は特にすることもなかったので、あきらくんがプレイしていた超魔〇村の続きを始めた。


 このゲームによって私の苛立ちが更に増したのは言うまでもない。

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