第18話 堕天使に微笑む悪魔の使いデーモン

 英一は国会議事堂に隣接する議員会館の一室に居た。

 その議員室には引っ切り無しに与党議員が挨拶に訪れていた。

 英一は4月に行われてた衆議院議員選挙熊本1区に与党推薦候補者として立候補し、見事、30歳の若さで当選を果たしていた。


 そして、父太郎の影響力がこの国政を司る国会の中でもなお色濃く残っていた。


 挨拶に訪れた1人の議員が英一に言った。


 「4年後は親子でここに居るかもしれませんな。」と


 英一は握手をしながらこう言った。


 「父は必ずここに戻って参ります。私が4年後ここに居れるかどうか…、それが課題ですね。」と


 その議員が言った。


 「いやぁ~、あの激戦区の熊本1区で圧勝したんですから、そんな弱気なことは言わず、早く内閣の一員になって貰わないと、英一君は我が党のホープですから」と英一を持ち上げるのであった。


 そして、その議員は、


 「何か分からないことがあれば、いつでも私に聞いてください。ほら、私の部屋もすぐそこですから。

 国会の事でも東京の暮らし方でもなんでも聞いてください。

 私も英一君のお父さんには大変お世話になりましたから。

 奥様もなかなか東京生活、お困りの事があるでしょうから、近いうちに家内に食事の案内をさせますからね。」と


 英一は笑いながら、こう言った。


 「いや、家内は熊本に残して来てます。丁度、いわゆる、「妊活」ってやつで、大事をとって地元に居ますよ。」と


 その議員は笑いながら、英一に言った。


 「なるほど、それは城下先生も初孫ができて嬉しがるでしょうなあ。じゃあ、英一君も東京と熊本の行き来が大変ですな。

 しかし、やはり、地元を大切にすることが、ここに長く居る秘訣ですよ。

 頻繁に熊本に戻ると良いです。一年目はどうせ見習いみたいなもんですからね」と笑い飛ばした。


 英一は苦笑いしながら礼を言った。


 英一には詩織を同行することができない理由があったのだ。


 詩織は熊本の例のマンションに居た。


 既に黄疸症状が出始め、顔はやつれ果ててしまっていた。

 英一も自身の薬物調教、ヘ○イン注入が原因であること了知しており、詩織はそう長くないと思っていた。


 父太郎だけには、詩織の容態を相談しており、太郎からは、また、嫁を見つければ良いと言われていた。


 詩織は正に英一の変質的性癖の捨て駒にされたのであった。


 英一はヘ○イン摂取がバレる事を恐れ、詩織を言わば軟禁状態で監視し、熊本のマンションに付き人を見張りとして配置させていたのだ。


 ただ、詩織から一つの条件があった。


 詩織が突きつけた条件とは、例の竿師とのヘ○インセックスをする事であった。


 詩織はこの残り少ない今世に置いて、あの幻覚の果てに浮かぶ健人を見ることしか希望はなかったのであった。


 英一は当初、この条件を頑なに拒んだ。ヤクザ紛いの竿師に詩織を抱かせるのは、流石の変質者である英一でも簡単には応じなかった。


 詩織は英一に言った。


 「こんな身体にしたのは、貴方のせいよ!もし、この条件を受けてくれなければ、私は自殺します。」と


 英一は考えた。


 「詩織に自殺でもされれば、検視によりヘ○イン摂取が公になる。

 どうせ、詩織も既にボロ雑巾だ。

 こいつが早く死んだ方が良いかもな。

 新しい女とヘ○インセックスがガンガンできるぜ」と


 この男は本当の悪魔だった。


 この悪魔は、自身の国会議員としての地位と併せて、その変態的な性癖を堅持するため、詩織の条件を承諾したのであった。


 英一は、一年目の議員の研究課題として、「東海シナ海における排他的経済水域の研究」を題材として党幹部に提出した。

 ある意味、市長時代よりは五島列島に出向きやすくなっていた。

 

 そして、既に英一は第二の獲物を見つけていた。

 今、目の前で、引継ぎ書類に目を通してる公設秘書として採用した「杉本綾子」である。


 悪魔は、早くも新たな獲物に狙いを付けていたのだ。


 詩織の居るマンションに例の竿師が通された。


 竿師は慣れた様子で付き人に挨拶し、部屋に入ってきた。


 そして、竿師はニヤリと笑い、詩織にこう言った。


 「同業者だったんですね。」


 詩織はその言葉を無視するかのように、竿師を寝室に案内し、服を脱ぎ、ベットに登った。

 そして、竿師にヘ○インの注射器を指差し、こう言った。


 「あれで、私を滅茶苦茶にしてちょうだい。」と


 竿師はその注射器の中身が何であるか既に了知したみたいにこう言った。


 「なるほど、あれを使っていたんですね。どおりで、こんなお淑やかに見える女性が激しいプレイを求めるはずだ。

 分かりました。任せてください。それが私の仕事ですから。」と言うと


 竿師は注射器を持ち、手慣れた様子で詩織の身体を見回し、こう言った。


 「お尻に打っていたんですね。

 では、今日はお尻より効く所に打ちましょう。」と言うと


 竿師は詩織の股を広げ、ク○ト○スに注射した。


 詩織は、「うっ」!と唸ったが、ク○ト○スへの針刺はシャブセックスで慣れていたので、そう驚かなかった。


 しかし、次の瞬間、いきなりク○ト○スが別の意思を持った生き物のようにビクビクと痙攣を初め、触られてないのに、強烈な快感を詩織の脳に送信し出した。


 詩織は思わず仰け反り、


「あっ、もう、いっちゃう~~」と叫び、逝き果ててしまった。


 だが、ク○ト○スからの快感は治らず、また、何も触られてないのに、身体全身に物凄い快感が襲って来た。


 詩織はベットにバウンドしながら、海老剃りに仰け反り、下の口から潮を吹き上げ、


 「イク、イク、イク、イクゥ~」と勝手に早くも2回果ててしまった。


 竿師が服を脱ぎながら、こう言った。


 「陰核が身体の中で1番、血流が良いんですよ。だからね、ヘ○インがどんどん脳を刺激するんですよ。

 まだまだ、序の口ですから。

 今から天国に行かせてあげますからね。」と言うと


 竿師は詩織のク○ト○スに剣山のようなローターを当て電源を入れた。


 するとそのローターは「ブィーン」と音を立ててグルグルと回転を始め、詩織のク○ト○スの亀頭部分を削るように刺激した。


 これには詩織は堪らず、


 「あっ~、凄い~、気が変になる~、イク~、イクゥ~、またイッチャゥ~」と叫び、気絶してしまった。


 竿師はそれに構わず、ローターをク○ト○スに付着させたまま、あのビール瓶のような一物を詩織の膣にネジ入れ、奥深く挿入し、詩織の子宮の口を突き始めた。


 詩織は口から泡を吹き、「あぅ、あぅ~

あぁ~」と言葉にならない喘ぎ声を発しながら、あの幻覚に入って行った。

 そこには、やはり、健人が待っていた。

 詩織の目から下半身の快感とは違う、心の平穏としての悦びの涙が流れるのであった。


 その頃、健人は長崎県五島市福江港に居たが、陽介から、なかなか働き口が見つからないとの連絡を受けており、毎日、船着場で釣りをし、陽介からの連絡待ちの状態であった。


 平日、朝から晩まで釣り糸を垂らしてるのは健人ぐらいなもんであった。


 時折、この暇人を可哀想に思ったか、地元の人が健人に話しかけて来る。


 「ここは、仕事なかろ~もん。皆んな、長崎に出稼ぎに行っとるぐらいやけん!」と同じ言葉を


 健人が福江に住んで1週間が経とうとしていた、ある日、汚い作業着を着て、片足を引き摺りながら、1人の男が健人に近づいて来た。


 その男は、ずっと健人をある漁船の中から、観察していたのだ。


 その男はかなり高齢に見えた。そして、健人がその男の顔を見ると、その男の顔に無数の傷跡が表示されていた。


 その男は徐に健人に言った。


 「あんた、福江に釣りに来たんじゃなかとよね?」と


 健人は船に乗りたくて福江に来たと。今、友人が船を探してくれてると、説明した。


 すると、その男が健人に言った。


 「今、この港は不況やけん、直ぐには見つからんよ。」と

 

 健人はその男に、どのくらい待つんですかと聞いた。


 その男は言った。


 「冬の男女群島のクロ釣の季節になれば、渡し船の仕事はあるかもしれんがな。」と

 

 健人は項垂れ、そして呟いた。


 「冬までは待てない。」と


 その男は右腕の袖を捲り、健人に刺青を見せ、こう言った。


 「そうやろう。あんた見とったら、訳ありやなぁと思ったとよ。」と

 

 そして男は語り続けた、


 「普通の仕事はなかぁ~、危ない仕事ならあるけんね!」と


 健人は率直にその男に言った。


 「貴方、ヤクザですか?」と


 その男は笑いながらこう言った。


 「昔はそうやったが、今は足を洗うたよ」と


 健人はその男に聞いた。


 「では、何故、俺に刺青なんか見せるんですか?」と


 その男は上着の胸ポケットからタバコを出し、1本口に咥えると、健人に火はあるかと聞いた。

 健人はジッポで火をつけてあげた。


 その男はゆっくりとタバコを一飲みすると、こう言った。


 「わしはなあ、あんたを騙したくなかけん、その筋の仕事なら直ぐにあるち、教えたろうと思ってな。」と


 そして、海を眺めながらこう言った。


 「あんた、ワシが見たところ、普通の人間の目付きと違うとる。あんたなら、ワシの船に乗せても良かろうと思ってな。」と


 健人は聞いた。


 「船に乗る仕事ですか?」と


 その男は徐に財布からクシャクシャの名刺を健人に渡した。


 その名刺には、こう記されていた。


 「有限会社山中海産

  社長 山中五郎」と


 健人はそのクシャクシャな名刺をその男に返しながら、何かを察したように、こう言った。


 「やばい相手と取引するんですか?」と


 男は海に煙草を放り捨て、健人を見遣り、ニコっと笑って、こう言った。


 「あんた、頭ええなぁ~、中国や、中国の危ない奴らと商売するんや。

 ワシも年をとったけん、一人で男女(男女群島)の先まで行くのはしんどうなってな」と


 健人は直感的にこの男は信用できると思い、


 「船に乗せてください。」と即答した。


 健人は思った。


 「何かの力が俺をあの男に引き寄せてる。」と

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