第17話 修理


 

 8月ですね。

 ですが、相変わらずのすっとぼけ、茅の輪をくぐり、半年分の厄除けをして迎えたばかりの7月の話です。



 それはまだ梅雨明け宣言も出ていないのに、いきなり暑くなっていた7月のある夜のこと。

 スイッチを押して動かしたはいいが、ものの5分もしないうちに電子音を鳴らし、食洗機が勝手に働くのを止めてしまった。慌てて顔色を伺った所、何やらエラーサインを出している。取説をひっぱり出し、確認してみると、『機内の水漏れ不良』とあった。

 これはやはり法定点検(※8話参照)をいまだに受けていなかった報いか!? とこちらの顔が青ざめる。恐る恐る翌朝カスタマーセンターに電話をすると、まずは意外な事実を知らされた。


 なんとこの法定点検、2021年8月に強制ではなくなったのだそうだ。イコール点検を受けなくてもいいということである。びびって損をした。

「何でですか?」

「事故が減ったからです」

 と言うことは、それまではそれなりに事故があったということだろうか。恐ろしや。

 ちなみに以前送られてきていた『法定点検受けてくれ』手紙によれば、『消安法は、製品の劣化事故を防止するため、』ということであった(傍点は私)。


 さておき修理の依頼である。

「最短で〇日となります」

「え!?」

 びっくりした。提示された日が一週間後だったからである。

 実はこの5月にトイレも壊れていた。当然出張修理を頼んだのだが、その時はすぐに来てもらえたので、すっかり同じような感覚でいた。

 しかも〇日は日曜、取説には「日曜祝日は出張料に追加料金が加算される」と書かれているではないか。その旨尋ねると、

「最短がその日になるのはあくまでも私共の都合によるものなので、請求はしないように連絡致します」

 との返事。要はこちらの都合で日曜祝日を指定すると追加料金がかかるということらしい。ただし、いつであれ時間指定はできず、当日の朝、担当者から電話連絡があってそこで初めて来訪時間が分かるということで、それだと日曜に入っていた他の予定が立たない為、結局、平日にお願いすることにした。


 暑い中、年配の男性が車でやってきた。

 調べた結果、「あちこちちょっとずつ悪いね」と、いくつかの部品を交換することになった。ただしひとつだけ手元にない部品があって、それは取り寄せるということで、1度目に修理自体はほぼ終えて使えるようになるものの、もう一度、来ることになった。

 我が家の食洗機はビルトイン型なので、修理より前にまずはシンクユニットから外さなければならず、終わったら終わったで今度は取り付けねばならない。どちらも一仕事、とにかく手間と時間がかかる。その合間にこの間、気になっていたことを、彼の方から話してくれた。


「これね、点検点検、って光るランプ、」

「はい、この前、修理をお願いする時に聞きました。義務じゃなくなったって、」

「そうなんだよね。でも、これ、点検受けないとランプ点いたまんまなんだよ」

「え? てっきり修理してもらったら消えるのかと」

「それが違うんだよ。点検しないと消せないんだ。でも、こうやって修理してるんだから、今更点検受ける必要ないしねぇ」

「そうですね」

「そもそも義務じゃないなら、わざわざお金払って点検なんて受けないよねぇ」

「ですね」

「だったらずっとこのランプ点灯したまんまになるけど、気にしないで無視してればいいから」

 要するに今まで通りということである。

 そもそも不思議だったのだ。『法定点検受けてくれ』手紙が届いたのが、点検が義務化ではなくなった後だったということが。それならそうとその旨も書いてくれていれば、はなから気にせずスルーしていたのに。なんてことは言わずに黙っていた。とっとと点検依頼の電話をしていれば分かったことではあるので……。


 と言うことで、2回の出張修理を経て、食洗機は無事、直った。金額はトイレ修理の更に上をいったけれども、「長いひとは製品ができた当初からのを直して今でも使ってるから、ええっとかれこれ18年くらい?」と聞いたので、それくらい使えればまあいいかなと思った。

 ただ、暑かったことと、子供たちがあまり家で食事をしなくなっていることもあり、思ったより手洗いも大変ではなかった。これが冬だと話はもう少し違っていたとは思う。

 付け加えておくと、我が家の食洗機に使われている部品は2019年に生産終了しているとの事。修理ができるのは部品が残っている場合に限られる訳で、長く使い続けられるかどうかはやはり運にかなり左右される、気がした。

 結論。運、大事。うんうん。



 ⚠⚠⚠⚠⚠



 とまあ、5月のトイレと合わせた機器の危機。その間に得た知見を記して、今回の修理話を締めくくろうと思います。

 ちなみにトイレは、計4回の出張修理、直るまでに一週間以上かかるという、かなりレアな経験をしてしまいました。さすがに3ヶ月近く経ってしまったので、もうネタにはしませんが。

 なにがしか皆様のご参考になれば。



 ①トイレはトイレ用洗剤で掃除しちゃダメ

「トイレの蓋にも書いてありますが」と修理に来てくれた若い方に言われました。

 理由を尋ねた所、「強すぎるから」だそうです。今時のトイレは電子チップなどがあちこちで使われていて、それが強い洗剤のせいで腐食してしまうのだそうです。例として交換した我が家の部品を見せてくれましたが、見事に錆びていました。それが原因のひとつとなっての今回の故障のようです。おかしな話ですが「トイレのお手入れにはトイレ用洗剤ではなく、台所用の中性洗剤を薄めて使ってください」との事でした。


 ②ビルトイン食洗機は洗っている途中で物を追加しちゃダメ

 スタートボタンを押して洗い始めてから、一時停止ボタンを押して途中で食器を追加で入れる。これをすると、開けた時に庫内の蒸気が隙間に洩れるらしく、それが水漏れの原因のひとつになるのだとか。なので一度洗い始めたら止めて開けたりせずにそのまま最後までGO、というのが無難な使い方のようです。


 ③夏冬シーズン頭は電気関係の出張修理に来てもらえるまでに時間がかかる

 今回、食洗機の修理をお願いしたのは、ちょうど真夏日が続き始めたあたり。エアコンを使い始める時期と思いっきり被ってしまいました。

「この時期、電気屋は新しいエアコン設置するだけで一杯一杯だし、メーカー側はエアコンの修理依頼が多くってそれこなすのに精一杯。エアコンだけでもどこも手が足りないんだよ」との事。いざ使おうとして動かず、慌てて修理を頼んだり買い換えたりする方が毎年多いのだそうです。その結果、今回のようにすぐに来てもらえないことも。そんな事態を避けるためにはシーズン少し前に試し運転しておくのがいいかと。

「ふだんは修理でここまで待たされることはあんまりないと思うんだけど」と聞きました。




 冒頭に記した夏越の祓は、現在は6月30日に行われていますが、本来は旧暦の6月末に当たる今頃(今年は15日)の行事。

 と言うことで少々フライング気味ですが、気分だけはもう一度きれいさっぱり祓ってもらったつもりで、今年後半の幸先良いスタートを願いつつ。

 残暑お見舞い申し上げます。




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