1章 変わる学校生活

2話 レイン交換

 予鈴が鳴って後10分程でホームルームが始まる。

 

「あれ?これ授業ノートじゃないしプリントもコピーだよね?」

 

「えっへん!!あんたに私のノート貸したら困るし、宿題ノート作ったんだから感謝して咽び泣きなさい」

 

 宿題を俺が写せる様にわざわざノートを専用に作ってくれたらしい。しかも教科書より分かりやすい解説付きで参考書としても売れそう。

 

「ありがとう。でも咽び泣くってどうするの?」

 

「知らないわよ!それっぽく泣きなさいよ」

 

「なんかさ水岡さんてSなの?あとお礼は泣くだけ?」

 

「Sじゃない!!『乙女よ』、と、とにかくお礼なら希更って呼びなさいよ希更!!」

 

 一言だけぼそっと言うから怒鳴り声を聞き慣れた耳では聞き取れないよ。

 

「でも、俺のこと真治って呼ばないよね?」

 

 水岡さんが赤くなる。恥ずかしいなら言わなきゃいいのにってあれ?なんで俺の周り女子だらけ?

 

「あんたはあんたでいいの!あんたはお礼にキ・サ・ラよ。分かった?」

 

「希更様、なんで俺の周りに、女子が屯してるんですか?」

 

「様ってなによ。気持ち悪い!希更さんにしなさい。私の友達が近くに居てもおかしくないでしょ?」

 

「そうそう希更のみんな味方何だし大丈夫」「キスしたら教えなさいよ」「ねぇ告白はまだ?」「子作りしても良いよ」「キャー初めてがクラスメート○○とかハードすぎー」「興味あるでしょ?」「視るなら良いよねー」 

 

「ちょっと黙って聞いてれば好き放題言ってる!!そんなんじゃなくて言ったでしょ!!こいつの妹のお義姉ちゃんになりたいの!!」

 

「希更さんの友達って大丈夫なん?」

 

「うっさいバーカ!!あんたは友達居ないでしょ?ほらレイン交換したげるからスマホ出しなさい」

 

「と、と、友達くらいいるし、レイン交換しなくても寂しくないし」

 

「「「キャー阿部くんカワイイ、みんなでグループレインしよ」」」

 

「なんでそんな長文が揃うのか不思議だよ。えっとレイン交換どうやるの?」

 

「寂しくないしとかいいながら、レイン交換も出来ないってボッチじゃない!?」

 

「だって連絡ってメールで困らないし」

 

「はい、はい分かったから貸しなさいやったげる」

 

 俺はスマホを取り出すと希更さんに差し出す。見られて困るものは無いし問題ないかな。

 

「はい。じゃあお願いします」

 

「どれどれ・・・うわぁ、公式アカウントと妹だけとかウケる~しかも、ほとんど妹に既読スルーされてるし、返事もkかnってフハハ、あんた嫌われてない?」

 

「うわ~ん、お兄ちゃん頑張ってるのに嫌われてないはずだよ、グスン」

 

「「「おぉう、これは母性本能を擽る!!」」」

 

 ビック!!なにこの悪寒、俺って女子に狙われてる!?

 

「なにバカやってるのよ。男のシスコンなんてキモいだけよ。ほらレイン交換したから確認しなさい」

 

「うん、そうだねキモいよね。はぁ俺ってキモイシスコンなんだ」

 

「希更ちゃんヒドイー。真ちゃん落ち込んだじゃん」「おねーさんが癒やしてあげようか?」「くっおっぱいで、敗北してても膝枕の癒やし効果は高いよ。こっちおいで」

 

 おっレインに通知が来てるどれどれ

 

 きさら『元気出しなさい。真治は良く頑張ってるよ。なんでも相談しなさいよ』

 

 返信しなきゃ

 

 真治『うん、ありがとう。そうする』

 

「おっと真ちゃんが元気になった」「希更グループレインまーだー?」「希更の乙女力が爆発!?レイン見せてー」「ここは真ちゃんのが狙い目!」

 

「こっら!!人のスマホを勝手に見るなー」

 

「あんたも早くロックして仕舞いなさいホームルーム始まるでしょ!!」

 

「「「ヤバ、怒った希更が怒った!!」」」

 

「それはネタが古すぎ!そして変わりすぎて誰も分からないやつ!!」

 

「「「逃げろー!ご乱心だー!」」」

 

 周りの女子達が蜘蛛の子を散らすように逃げて行く。希更さんは女子を追いかける。

 

「見た目だけイケメンガード!」 

 

「ふでぶっあっが息子がガク」

 

 逃げた女子がハイキックでダウンしてた熊尾龍太を掴み起こし盾にする。希更さんの飛び蹴りが男のシンボルを押し潰した。

 

「尊い犠牲は忘れないよ!!根暗アタック!!」

 

 今度は廊下で締められて落ちてた長谷さんが希更さんに向かって、突き飛ばされる。締めるって物理だったの?

 

「しっ!!遅い!!」

 

 長谷さんが避けられて床に顔面からキスする。あれは痛いやつだよ。

 

「根性見せなさいよ!彼女いない歴と年齢が同じサッカー部!!」

 

 虎井遥輝だけ不名誉な暴露をされつつ、希更さんに差し出される。ちょっとだけ共感する。

 

「まだ童貞だから許して。ガハッ」

 

 鳩尾に膝蹴りが突き刺さり身体がくの字に折れて顔がちょうど希更さんの胸に埋まる。羨ましい。俺も胸に顔埋まりたい。じゃなくてあれ意識あるの?

 

「ヘンタイ!!死ね!死んでしまえ!」

 

 希更さんはクルッと180°回転して背負投を決める。受け身とれてなくない?意識ないよ!?死んだ?

 

 そこでチャイムがなりホームルームが始まると全員席に着く。みんな打たれ強すぎませんか?

 

 唯一股間を押さえながら苦しんでるイケメンもいるけど希更さんパンツを見てたかもだし仕方ないよ。


 パンツ見れたり、胸に顔埋めれたり羨ましい。リア充爆発しろ!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る