第33話 愛してるゲーム【響子編】

 その日は響子が家にやってきていた。

 奈美は朝から仕事で響子と二人っきりだった。

 お昼ご飯を食べ終えた二人はソファーでダラダラとテレビを見ていた。 

 奈美が主演のドラマ番組だった。

 奈美が演じていたのはかっこいい刑事役。

 今まさに犯人を追い詰めているところだった。


「ねぇ、誠司。私ともあれやろうよ」

 

 不意に響子がそう呟いた。

 誠司の方を向いて悪戯な笑みを浮かべている。


「あれって?」

「ほら、この前奈美とやったあれよ♡」

「あーあれですか」


 響子が言っている『あれ』とは、前日誠司が奈美と行った『愛してるゲーム』のことを言っているのだろう。

 おそらく奈美から話を聞いたに違いない。 

 誠司としては断る理由も特になかったので「いいですよ。やりましょうか」と言って頷いた。


「ふ〜ん。随分と余裕そうじゃない」

「奈美さんと一回やったので」

「あら、そう。言っておくけど、私は奈美より積極的だからね? いつまでその余裕の顔を保っていられるかしらね」


 響子は妖艶な笑みを浮かべて誠司のことを見つめた。

 そんな響子のことを真っ直ぐに見つめ返した誠司は「僕だっていつまでもからかわれっぱなしの僕じゃないんですからね」と言った。


「いつになく強気ね。ふふ、いいわ。私のことを楽しませてね♡ せーじ♡」


 そう言いながら響子は誠司の顎を人差し指でなぞった。

 いきなりの先制攻撃に顔を逸らしそうになった誠司だが、なんとかぐっと持ち堪えて「ルールは奈美さんの時と同じでいいですか?」と聞いた。

 

「ええ、もちろんいいわよ。先に三回照れた方が負けなんでしょ?」

「はい」

「最低三回は誠司に愛してるって言われるなんて最高じゃない。誠司の先攻でいいわよ」

(誠司が先攻なら絶対に三回は言ってもらえるものね♡)

 響子がそう思っていることなど誠司が知る由もなく誠司はいいですよと頷く。


「じゃあ、僕からいきますね」


 初っ端から躊躇わずにいくべきが迷ったが、相手はあの響子だと思い、躊躇っている場合ではないと思った誠司は最初から攻めることにした。

 

「響子さん。愛してます」

「うん。知ってる」


 奈美は名前を呼ばれてへにゃと頬を緩めたが、どうやら響子には通用しないらしい。響子は余裕そうに微笑むだけだった。


「誠司が私のことを愛してくれてるのは知ってるわ。じゃあ、次は私の番ね」


 そう言うと響子はずいっと誠司に顔を近づけた。

 今にもお互いの唇が触れてしまいそうな距離だ。


「愛してるわ誠司♡」


 響子は愛の言葉を囁くと誠司の唇にキスをした。

 もう何度も響子とキスをしている誠司だが、いきなりキスされるのは何度していてもドキドキしてしまう。

 それに響子の醸し出す雰囲気と胸元が大胆に開いた服が妙にエロい。

 誠司は思わず顔を逸らした。


「はい。誠司の一敗ね」

「いきなりキスするなんてズルいですよ」

「何でもありなんでしょ? それに言ったじゃない。私は奈美より積極的だって。このくらいで照れてるようじゃ、私の勝ちは確定ね」


 響子は余裕の笑みを浮かべて誠司に二回目を促す。

 結局いつも通り響子にからかわれるのかと思いつつも、なんとか一泡吹かせたいと思った誠司は、次は自分からキスをすることにした。しかも大人のキスを。


「響子さん愛してます。響子さんのことも離しませんから覚悟しておいてくださいね」


 そう言って誠司は響子の唇にキスをすると舌を絡ませるのように響子ほ口の中に入れた。

 頬が焼けてしまうのではないかと思うくらい熱くなる。

 響子の様子を伺うよう。

 一瞬だけビックリしたように目を見開いていたがすぐに目を細めて。自分の舌を誠司の舌に絡めた。

 それで誠司は響子から離れた。


「やめちゃうんだ」

「・・・・・・」

「私の二勝目ってことでいい? あ、でも、もったいないわね。次も私が勝つのは確定だから、これで私の勝ちにしちゃうと後一回誠司からの愛してるが聞けないわね」

「も、もぅ、響子さんの勝ちでいいですから!」

「そうはいかないわよ。勝負は公平じゃないと。というわけで、次は私の番ね」


 響子は、ニヤッと笑う。


「私だって誠司のこと一生離さないわよ。これからもたくさんエッチしようね♡」


 そう言って響子はさっきの続きとばかりに誠司の唇にキスをすると、そのまま舌を滑り込ませた。

 この時点で勝負は決していた。

 誠司の頭は真っ白になり何も考えられなくなっていた。ただ、響子に身を任せるようにキスを受け入れ、幸せな気持ちに包まれていた。


☆☆☆

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美人姉妹が僕のことを好き過ぎる件 夜空 星龍 @kugaryuu

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