第31話 奈美さんの誕生日②
「美味しそうなケーキじゃない♪ 食べるのがもったいないわね」
奈美は誠司の作ったケーキをうっとりとした顔で眺めていた。
「食べてくださいよ。奈美さんの感想を聞きたいんですから」
「え〜。本当に食べないとダメ?」
「はい」
「じゃあ、あ〜んをして♪」
「はいはい。分かりましたよ」
誠司はフォークでケーキを一口大に切ると、そのままケーキを刺して奈美の口に運んだ。
もう何度もしているので、あ〜んをすることにもすっかりと慣れてしまった。
差し出されたケーキを奈美はパクッと頬張った。
誠司は心配そうな顔でケーキを食べている奈美の顔を見つめている。
「ど、どうですか?」
「うん。美味しいわよ♪」
「よかった〜」
奈美に美味しいと言ってもらえた誠司は安堵に頬を緩める。
でも、さっきのあんなことを言っていたのでがあもう一度確認で聞いた。
「ほ、本当に美味しいんですよね?」
「もぅ〜。そんなに疑うなら自分で食べてみればいいじゃない」
そう言うと奈美は政治に向かってあ〜んをする。
あ〜んをされることにも慣れてしまっていた誠司は差し出されたケーキを頬張った。
「美味しいでしょ?」
「は、はい」
「私嘘つかないもん〜」
「さっき嘘つく宣言してませんでしか?」
「何のことかな〜。忘れちゃったな〜」
そう言った奈美は美味しそうにケーキを何度も口に運んでいた。
全くこの人は調子がいいんだから、とおもいつつも美味しそうにケーキを頬張ってくれている奈美を見て幸せに思う誠司だった。
ケーキを食べ終えたところで誠司は自室に向かい奈美へのプレゼントを取りに行った。
「奈美さん。改めて誕生日おめでとうございます」
本日二度目の「誕生日おめでとう」を奈美に伝え、誠司はプレゼントを手渡した。
「わぁ〜ありがとう♪ 開けてもいい?」
「どうぞ」
「何かな〜」
奈美はワクワクした表情で包装紙に包まれた誠司からのプレゼントを開けた。
「可愛い♡ ネックレス?」
「はい」
誠司が用意したプレゼントはネックレスだった。
何にしようかかなり迷った。
奈美は滅多にネックレスをつけない。
なのでネックレスをプレゼンをするのはどうかと思ったが、嬉しそうにネックレスを眺めている奈美を見ると選んでよかったと思えた。
「これ、乙女座?」
「はい。僕の誕生日に星座入りのマグカップをくれたので・・・・・・」
「可愛いね。てことはもしかしてお揃い?」
「はい。一応・・・・・・」
「そうなんだ! ねぇねぇ、つけて〜」
ケーキを食べ終えた誠司たちはソファーに移動していた。
誠司とピッタリとくっついている奈美からネックレスを受け取る。
ソファーの上に正座で座り直した奈美は誠司の方を向いた。
目を閉じて誠司がネックレスをつけてくれるのを待っている。
「じゃあ、つけますね」
「いいわよ〜」
奈美の首に手を回してネックレスをつける。
自然と二人の顔は近くなる。
それを分かっていた奈美はチラッと目を開けて誠司のことを見つめた。
「い、いきなり目を開けないでさいよ! ビックリするじゃないですか」
「ふふ、最近誠司くんのことをからかってないなと思って、少しからかいたくなちゃったの♪」
「いや、思わなくていいですから」
久しぶりにからかわれた誠司の心臓はドキドキと大きな音を鳴らしていた。
しかし、今の誠司はからかわれっぱなしで終わる男ではない。
「そっちがその気なら・・・・・・」
誠司はネックレスを奈美の首につけると同時に、奈美の可愛らしい唇に軽くキスをした。
奈美のことをドキドキとさせようとキスをしたのだが、それでスイッチが入ってしまったみたいで、奈美は誠司の首に手を回すと大人のキスをした。
「な、奈美さん・・・・・・」
「ねぇ、もうそろそろいいでしょ?」
いつの間にか奈美の目はとろんとなっていて、我慢できないと誠司のことを見つめていた。
妖艶な魔力を帯びたその目からすっかりと逃れられなくなっていた誠司は「はい」と頷いた。
「誕生日祝ってくれてありがとうね。このネックレスも一生大切にするね」
そう言って奈美は誠司の唇に自分の唇を重ねた。
ソファーの上で何度か大人のキスを交わした二人は寝室に移動すると、夜が明けるまでイチャイチャした。
☆☆☆
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