なんで、私が…

もふもふ

いじめの始まり

私は私立の高校に進学した。

4月、新しい出会いに不安と緊張を期待に胸を迎えるはずだった…

けれど、その日38度の熱を出し、入学早々2日休むことになってしまった。

3日目の朝、緊張を胸に教室に入り愕然とした…

すでにみんな仲良しグループが出来てしまっていた。

当たりを見渡しても、誰がなんという名前かも知らず

声をかけることすら出来ずにいた

周りの様子を見て、どこのグループに属そうかと頭を悩ませていた。

クラスにはいくつかのグループがありスクールカーストがある。

私は平凡なグループに属することに決めた。

中でも話しかけやすそうなグループに、恐る恐る近づき、話しかけた

「あのっ、初めまして。私、一ノ瀬凪って言います」

声をかけると、席に座っていた4人が一斉にこちらを向いた。

「あ…、初めまして!私は楠木楓華。一ノ瀬さんって入学式から休んでた子だよね?」

「うん。熱出ちゃって…」

「そっか、大変だね。なんかあったらなんでも聞いてね!!」

「ありがとう」

楠木さん……か。

笑顔で話してくれて好印象だ。

だけど、あとの3人は私をジッと見たまま口を開こうとしなかった。

「そうだ。楓華〜今日4人で放課後カラオケ行かない?」

すると、私を見つめていた3人の中の1人が急に提案をした。

あえて、4人を強調した事で、私がよく思われてない事がハッキリした。

仲間には入れてもらえない、という目には見えないバリアを目の前で張られてしまった。

そして、快く思ってない1人の子が私に対して小さな声で、

ボソッ「一ノ瀬さん、邪魔なんだけど」

私は聞こえ、顔が真っ青になりトイレに逃げてしまった。

トイレに行き、少し泣きそうになってしまった。

少し経ち、教室に戻り席に着いた

これが、いじめの始まりだった

その時、クラスの美少女の石川紗希に声をかけられた

「ねぇ、一ノ瀬さん」

その、あまりにも綺麗な笑顔に女の私でもドキッとしてしまった。

手足も長くまるでモデルみたいな体型、甘い香りの匂いを漂わせている、彼女は私とは別世界の住人のようだった。

「どうかしたの?…」

「あのね、今度の体育祭でね、ちょっとお願いがあるんだけど…」

「体育祭…?」

紗希が言うにはリレーと私が出る競技を交換して欲しいとの事だった。

正直迷った。

クラスの対抗リレーは、毎年1番盛り上がる競技だから、転倒する失態は許されない。

昔からプレッシャーに弱いから、尚更だ

ただでさえ、クラスでも浮いた存在の私が、今こんなことで敵を作りたくないのが正直な気持ちだった。

「ダメかな?」

目をキラキラさせながらお願いする紗希

けれど、その失態を犯した事を想像しもっとしたく無くなった。

「悪いけど、交換は出来ないな…。私足遅くてさ、石川さんなら運動神経良さそうだからさ…」

そう口にした瞬間、紗希の後ろから小太りの子か声を荒らげて私に怒った。

「は、何なんだよ!紗希が交換してって言ってんなら

交換しろよ!なにヘラヘラしんでだよ!!」

東條千世だ。177センチほどの身長に3桁レベルの体重

声も野太く、クラスの男の子より怖い…

誰かに怒鳴られるのは初めての経験だった、

「東條さん、私笑ってないです」

「おもしろ〜!!見てこの子怯えてるよ」

知世に怒鳴られて怖がってる私を見て、笑っているのは山川希だ。

その後ろには、隠れながらうっすらと笑っている

広瀬明日香が立っていた。

「お前、キモイんだけど」

知世はそういうと、私の足を思いっきり蹴っ飛ばし

私は、机にぶつかってしまった。

ガシャンという音を立て、机の上のペンケースやスマホが転がる。

あまりに、唐突な出来事だったため身動きひとつ取れなかった。

え?な、なんで…

競技交換を断っただけで、なんでこんなことになってるの?

私たちの騒ぎに、教室中が一斉に静かになった。

「おい、何とか言えよ!口ねぇのかよ」

呆然とする私に、知世が睨みつける。

混乱して、一気に真っ白になり、上手く言葉が出てこなかった。

すると、ずっと黙っていた紗希が口を開き。

「一ノ瀬さん…」

「はい…」

「ごめんね、無理なお願いしちゃって」

「……え?う、うん」

少しほっとした

乱暴だったのは知世だけだと思い

少しよかったと思った。

競技を交換しただけで、私は何も悪いことなんてしてない。

すると、紗希が私の耳元で言った

「私のお願い断る人初めだから嬉しいな」

私は体の震えが止まらなかった。

「これから仲良くしてね!明日から楽しくなりそう」

クスクスと意地悪な笑みを浮かべてる4人をみて

息が出来ない位呼吸が苦しい。

取り返しもつかない事をしてしまった気がして

背筋がスーッと寒くなった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

なんで、私が… もふもふ @Mofumofu1225

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ