第53話 愛愛♪

「……はい、という訳で。本日より、我が東雲道場の門下生になりました、川村勇太かわむらゆうたくんです」


「初めまして、よろしくお願いします!」


 俺が元気よくあいさつをすると、


「まぁ~、とうとう、男の門下生が入るのねぇ~」


「しかも、若い男の子だなんて」


「わたし、ちょっとお化粧を直して来ようかしら」


 なんて声が聞こえて来る。


「いや~、これってもしかして、ハーレムの予感?」


 なんて俺がおどけて言うけど……


「……勇太、分かっているわね?」


 ズゴゴゴゴ、とものすごい圧を放つ千冬さん。


「あはは、冗談だって。俺が愛しているのは、千冬だけだよ」


「なっ……バ、バカじゃないの?」


「「「いや~ん、ラブラブぅ~!」」」


「か、からかわないで下さい!」


 と、おばちゃんたちが茶化して来る一方で、


「ねぇねぇ、ちふゆお姉ちゃん」


「へぇ、こんな可愛い小学生の女の子もいるんだ」


「勇太? まさか、ロリコン?」


「いやいや、違うから。ロリコンはどちらかと言えば、明彦だから」


「まえから思っていたけど、ちふゆお姉ちゃんのおっぱいがそんなに大きいのは、このお兄ちゃんにいっぱいもんでもらったからなの?」


「はいッ!?」


「だって、パパが言っていたから。好きな男に揉まれると、女は胸がデカくなるんだぞって。だから、毎晩のように、パパはママのおっぱいを揉んでいるって」


「しょ、翔子しょうこちゃん! 何を言っているの!?」


「ちなみに、君のママはちゃんとおっぱい大きく育っているのか?」


「……勇太、ウワキ?」


「いやいや、ただの興味本位です」


「ママは大きいよ。でも、ちふゆお姉ちゃんの方が、もっと大きい」


「まあ、俺の方が愛情が深いってことだな。もはや、夫婦じゃね?」


「~~~~……ッ」


 千冬はワナワナと震えている。


「……紅葉くれはさん、ちょっと組手をしても良いですか?」


「ええ、良いわよ」


「勇太、ほら。早速、実戦と行きましょう」


「えぇ~、いきなり本番かよ~。俺、いつもちゃんと、下ごしらえしているだろ?」


「お・だ・ま・り・な・さ・い」


 ものすごい笑顔で言われる。


 そして――


「はいッ!」


「ぐはッ!?」


 俺は速攻でやられた。


「アイテテテ……全く、千冬ってやつは。本当にツンデレだから、愛情表現も荒々しいぜ」


「だから、黙りなさいって。あなたのせいで、赤っ恥なのよ」


 と、千冬は言うけど。


「あら、そんなことないわ~」


「おばさんたちも、パワーもらったわ~」


「今晩、旦那におねだりしてみようかしら~」


 と、おばさんズは色めき立っている。


「千冬、俺はいまやりがいを感じているよ」


「はぁ?」


「アンチ少子高齢化に、少しは貢献できたかな?」


「あのね……」


「まあ、俺も千冬と野球チーム作れるくらい、子供を作っちゃうけど」


「……お断りよ」


「えぇ~、じゃあ、サッカーチームくらい?」


「何で増えるのよ! そうじゃなくて……」


 なぜだか、千冬はモジモジとする。


「……子供は1人か2人くらいが良いわよ」


「えぇ~、俺もっとお前のことはらま……」


「ギロッ」


「……だって、せっかくの千冬の遺伝子だぞ? 超絶優良なんだから、なるべくたくさん、後世に残すべきだろう?」


「そんなことはどうでも良いのよ……私はもし、結婚して、子供ができても……その……」


「んっ?」


「……ちゃんと、夫婦の時間を大切にしたいと言うか……」


「安心しろよ、千冬」


「へっ?」


「いざとなれば、エッチしながら、子育てだって出来ちゃうからさ」


「はい、組手第2弾いきまーす」


「よーし、今度はそのデカいおっぱいを掴んで……」


「ふんッ!」


「かはッ……!?」


 正拳突きをモロに食らい、俺はバタンキューする。


「……千冬、頼みがある」


「何よ?」


「どんな攻撃も愛のムチだと思って甘んじて受け入れるけど……」


「この変態」


「絶対に、金的だけはやめてくれ……俺、絶対にお前をはらませ……」


「黙りなさい、勇太!」


 千冬は赤面して絶叫する。


 そんな俺たちを見ていた門下生たちは……


「「「「「あのカップル、やばぁ(笑)」」」」」


 ありがとうございます。







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高嶺の花に告白してスッキリしていたら何か粘着された ~あっさり系でグイグイいく彼は、完璧な彼女を崩壊させる~ 三葉 空 @mitsuba_sora

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