第50話 近づく学園祭

 学園祭、ステージ参加の個人の出し物として、俺とあかりの漫才をやる訳だけど。


 もちろん、ちゃんとクラスの出し物もある訳で。


「これは、想像以上に……ヤバいな」


 俺の目の前には、ユーレイがいる。


 ちなみに、めちゃ美人で、巨乳だ。


 ていうか、千冬だ。


「お前、ヤンデレ属性だし。めっちゃピッタリじゃん」


「ひっぱたくわよ」


 白装束の千冬はギロリと睨んで来る。


「ねえねえ、ゆうたん、こっちも見て~」


「んっ? おっ、これは……」


 あかりもやって来た。


 猫耳をつけている。


猫又ねこまたちゃんでーす♪」


「こんな陽気なヨーカイがいるかよ」


「ゆうたん、ナイスツッコミ!」


「サンキュ! やっぱり、俺ら仕上がってんな~!」


 俺とあかりはケラケラと笑い合う。


「あれ、川村。お前、森崎さんと付き合ってたんじゃなかったの?」


「んっ?」


「まさか、須藤さんに乗り換えたのか?」


「お前、クソだな」


 と、クラスの男子たちに言われる。


「って、ちがーう! あかりちゃんの彼氏は、俺だよ!」


 明彦が慌てて割って入って来た。


「えっ、マジで?」


「マジだよ」


「もう、明彦きゅんってば……必死なとこが可愛いぞ♡」


「あ、あかりちゃん……デヘヘ」


「クソリア充が」


 矛先が明彦に向かう。


 けど、俺にはもっと怖い矛が向いていた。


「……勇太、あかりとは、随分と良い感じに進んでいるみたいね?」


 千冬が、正に身も凍るような声で言って来る。


「んっ? ああ、やっぱり、俺たちの相性はバッチリだぜ」


「ふぅ~ん?」


「まあ……カラダの相性は、千冬が1番だけど」


 と、耳元で囁くと、


「バ、バカ勇太!……黙りなさい」


「てか、千冬。俺があかりと漫才の練習をしている間、1人で寂しくないか?」


「えっ? べ、別に……」


「つか、何してんの?」


「それは……」


「まさか……1人で慰め放題?」


「本格的に呪うわよ?」


「まあ、千冬に呪われるなら、俺も本望だけど」


「……変態」


「とりあえず、学園祭が終わるまでの辛抱だからさ。今は思い切り、恋愛以外の青春を謳歌しようぜ?」


「ええ、そうね」


 千冬はようやく、クスッと笑ってくれる。


「あと、学園祭終わったら、その衣装もらおうぜ」


「えっ、どうして?」


「何かさ、あかりが明彦とコスプレエッチしているらしいからさ。俺も千冬とやりたいな~、なんて」


「…………」


「ありっ? また怒っちゃった?」


「……漫才、よく出来ていたら……ご褒美にしてあげる」


「まじぃ?」


 俺が少し驚いたように言うと、千冬はコクリと頷く。


「よっしゃ、がんばろ。サンキュー、千冬」


「べ、別に……」


「ていうか、お前も本当は、興味あったの? コスプレエッ……」


「だ・ま・り・な・さ・い!」


「アイテテテテテテテ!」


 思い切り唇をつねられた。


「や、やめてくれ、千冬」


「参ったかしら?」


「いや、何だか、ヤバい新しい快感に目覚めそうで……」


「この変態!」




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