第29話 いじめて下さい……

 まさか、シャーペンにこんな使い方があるなんて、思わなかった。


 下から巨大な夏服おっぱいを弾くと、プルンと揺れた。


「んッ……」


「すっげ、揺れた」


「バ、バカじゃないの?」


 でも、こんなのは、まだまだ序の口だ。


 俺はシャーペンを握ったまま、ポンポンとまるでまりをもてあそぶかのように、千冬のおっぱいを弾ませる。


 その度に、たゆんたゆんと、良い具合にまた揺れた。


「な、何か……」


「気持ち良いか?」


「バ、バカ言わないで……不愉快なだけよ。こんな風に、胸をもてあそばれて」


「じゃあ、もうやめとく?」


 俺がスッとシャーペンを引くと、千冬がわずかに目元を歪めた。


 口には出さないけど、物欲しそうな目をしている……


「じゃあ、次はつつこうか」


「つ、つつくって……んッ」


 シャーペンを持ち変えて、柔らかい消しゴム部分の方で。


 俺は千冬の夏服デカパイをつつく。


「どうだ、千冬?」


「べ、別に、何とも……んッ……思わないんだから」


「でも、俺は興奮しているよ? 千冬、すげえ可愛い」


「バカ、変態。自分の部屋に彼女を連れ込んで、こんな変態行為……」


「別れたくなる?」


「……まだ別れないわよ。約束したじゃない、高校生の間は、付き合ってあげるって。その後も、一緒にいれるかどうかは、あなた次第なんだから。一緒の大学に進学できなかったら、その時は捨ててあげる」


「でも、千冬って頭が良いから、レベルの高い大学を受けるんだろ?」


「当然よ」


「ちょっと、手加減してくれない? 2人でバカ大学に行って、甘々に溺れるだけの日々を過ごそうよ」


「嫌よ、そんなの。高い学費を親に払ってもらうんだから、ちゃんと勉強しないと……んくッ……ダメなの」


「ダメとか言う割には、さっきからずっと、嬉しそうな顔をしているじゃん?」


「してません」


「本当かな?」


 俺はサッとシャーペンを持ち変えると、あえて尖っている方で、千冬の胸を突いた。


「あぐッ!?」


 驚く千冬だけど、俺は容赦なく、グリグリとする。


「そ、そんな奥に……おッ……ぐぅ……ダメッ」


「うん、分かった」


 俺があっさりとペンを引っ込めると、千冬は『へっ?』と戸惑った顔になる。


「さてと、じゃあ勉強でもしますか? 千冬と同じ大学に行けるように」


 グッと背伸びをして言う間、千冬がジッと見つめて来た。


「ん? どした?」


「……責任を取りなさいよ」


「えっ?」


「あ、あなたのせいで、変にドキドキが止まらなくなっちゃって……」


「……でも、俺のリベンジを達成するまで、本番はお預けじゃん」


「うん、分かっている……だから、シャーペンで良いから……もっと……」


 千冬はモジモジとしている。


「もっと、何?」


「……言わせないで、バカぁ」


 千冬は少し泣きそうになってしまう。


 それでも、俺が笑顔で見つめていると……


「……私の嫌らしい夏服おっぱい、いじめて下さい」


「いや、誰もそこまで言えなんて、言っていないけど」


 俺が言うと、千冬はカッと目を見開く。


「このバカ! 変態! エロゲマニア!」


「いや、エロゲはやったことないけど……ていうか、千冬がいればエロゲとかいらねーし」


「うっ……とか言って、どうせ浮気心を発動して、1人でコソコソやっているんじゃないの?」


「しない、しない。やるなら、堂々とするし、お前の目の前で」


「それはそれで、すごく嫌よ!」


「えいっ」


 ずぷっ。


「あッ!?」


「やべ、真ん中にピンポイントに……ちょっと、無くなってないよな? 確認させてくれ!」


「だ、大丈夫よ! 触らないでちょうだい、変態ぃ!」




      ◇




 夕暮れ時。


「じゃあ、千冬。気を付けて帰れよ」


「ええ、今日は……いえ今日も、すごくムカついたわ」


「そりゃ良かった」


 相変わらずの笑顔で言われて、千冬はガクリとしてしまう。


「お邪魔しました!」


 不機嫌な声でそう言って、千冬は彼の家を出た。


「はぁ~……私、何であんな男と付き合っているんだろう?」


 結局、あの後、また変態チックなプレイを続けてしまって……


 あ、いけない、思い出したら……


 さっきからずっと……落ち着かない。


 下品だけど、お股の方が……


 いつから自分は、こんな風にはしたない女になってしまったのか。


 彼と付き合う前は、ちゃんとマトモな女だったはずなのに。


 あの男と出会わなければ、こんな嫌らしい自分に、ならなくても済んだのに……


 ……でも、不思議と、そこまで嫌な気持ちではない。


 モヤモヤして、イライラするけど……昔の自分では気付かなかった喜びを感じ始めている。


 それは、きっと……


「よう、姉ちゃん、可愛いな」


 突如した声に、ビクッとする。


 まさか、ナンパ?


 今この状態で、それは……


「……なんてな」


 すぐそばで、ニカッとする彼がいた。


 わずかに呆然とした後、すぐにイライラが募る。


「……ちょっと、そこで大人しくしていなさい。今すぐ、警察に電話をするから」


「いやいや、俺はお前の彼氏だろ」


「ていうか、何でいるのよ?」


「やっぱりさぁ、不安になっちゃって。だって、最後までは禁止しているから、千冬も何だかんだ満足できなくて、ムラムラしているかなって」


「うっ……」


「エロマンガだと、そういう時に、チャラ男にナンパされて、寝取られちゃうから」


「って、エロマンガは読んでいるのね……」


「大丈夫だよ、千冬に似たヒロインの作品ばかり漁っているから」


「どちらにせよ、最低よこのバカ!」


「つーか、どうせなら、このままNTRプレイとかやっちゃう?」


「し・ま・せ・ん!」


 やっぱり、この男を前にすると、イライラが止まらない。


 けど、なぜだろう……それ以上に、胸の奥底は、ドキドキしていた。




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