第29話 美穂という大切な存在と全ての真実
横の美穂を見る。
美穂は俺にずっとニコニコしながら俺の手を握っている。
そんな姿を見ながら俺は困惑気味でお粥を美穂の口に運ぶ。
それからパクパクとお粥を食べる美穂を見た。
美穂は頬を朱に染めている。
その美穂に聞いてみた。
「.....美味しいか」
「そうだね。君に食べさせてもらっているからとっても美味しい。レトルトとかどうでも良いぐらいに。暖かいね。ご飯が」
「そ、それは良かった。ただのレトルトなんだが」
「私は君が好きだからそんな事は気にしない」
「いや.....まあ.....うん」
赤面しながら俺はチラッと美穂を見る。
美穂は俺の顔を見ながら甘えながら優しい顔をしていた。
俺はその姿を見ながら額に手を添える。
すると美穂はお粥を指差した。
それから口を開く。
「ねえ。もっと食べさせて」
「いや。あの。良い加減に自分で食べて下さい.....」
「自分で食べるのは嫌。せっかく貴方が居るんだから」
「オイオイ.....」
小っ恥ずかしいんだが!
赤くなって呟きながら苦笑する。
それから美穂を見る。
美穂は俺に頬を膨らませていた。
そんなに嫌?、的な感じをしている。
コイツってこんなに甘えん坊だったか?
俺は赤面しながら考える。
これはマジに困るのだが。
「お前な。幾らなんでも甘え過ぎだ」
「甘え過ぎとは思ってないから」
「いや。甘え過ぎだ」
「甘え過ぎじゃないって」
言い争いになる俺達。
その中で真っ赤になりながら俺はお粥を食べさせ続ける。
美穂は赤くなりながらそれを食べて笑みを浮かべた。
にしても困ったもんだな。
子供かよ、と思いながら俺は見つめる。
そして食べ終えた美穂は俺の手を握り。
それから水で口を濯いでから俺に唇でキスをした。
何してんだ!
「おいお前!」
「えへへ。お礼という事で」
「.....お前な.....良い加減にしろよ」
「良い加減にしてるよ?私は何時もこんな感じだよ?」
「いやいや。お前らしくない。絶対に違う」
「いや。私はこんな感じだから」
そして俺の手を握ったまま。
そのまま見つめてくる。
なん。だ?、と思いながらドギマギしながら見ていると。
私は貴方が好き。
だから付き合いたいんだけど付き合う?、と言ってくる。
いや何故そうなるのだ。
俺は顔を引き攣らせながら見る。
「何故そうなるんだ。お前は」
「私は貴方が好きだから。絶対に好きだから」
だから、と言いながら俺の手を握る。
そして俺をジッと見てくる。
俺は真っ赤になりながら、それは出来ない、と答える。
それから俺は俯く。
どうしても付き合うなんて事は、と思う。
なんでいきなりそんな事を。
「じゃあさ」
「何だ」
「もし貴方が好きになるっていったらそれはどんな人かな」
「それは.....お前」
と言った所でスマホにメッセージが入ってきた。
それは祐子から、だ。
祐子?、と思いながら俺はスマホを見る。
するとこんな事が書かれていた。
本当に良いタイミングだったが.....こんな事が、だ。
(お兄。私ね。思い出したんだ。確かお兄が好きだと思った女の子の事。探している女の子の事だけど確か杉山さんだと思う。何でそうかって?うちに来た事があるんだよ。杉山さん。それで確か.....お兄と交換し合ったよ。絵を)
「.....!?.....み、美穂。これが本当ならお前は嘘を吐いているのか?知っているのか!?」
「まあ確かに知っているよ。.....此処まできたら言うしか無いかな。私は貴方と約束したよ。将来、結婚しようって」
「それは一体.....え!?何で今までずっと黙っていたんだ!?」
「それは簡単だよ。私が恥ずかしかったから。それに.....君の意思を尊重したから」
どういう.....意味だ。
俺は考えながら美穂を見る。
美穂は、そのままの意味だから、と言ってくる。
君が自由に将来を見据えてほしかったから。
だから私は何も言わなかった。
負けた時は負けた時って。
美穂は言いながら俺に赤面する。
俺は愕然として見つめる。
ずっとずっと探し求めていた女の子。
それがこんな近くに.....というか美穂なのか!?、と思いながら、だ。
それから美穂を改めて見ようとしたが。
あまりの衝撃に赤面して見れなくなってしまった。
駄目だ.....恥ずかしい。
恥ずかし過ぎて見れない。
参った。いやどうするのだこれ。
「こんな事があるのか.....」
「向日葵の絵もそうだけどその際に君と約束をしたからね。私達だけがお互いに絵を交換し合ったという事も知っている。私は持っているよ。君が描いた向日葵の絵をずっとね」
「嘘だろお前.....」
俺は真っ赤になりながら美穂を見る。
あまりの恥ずかしさに何も言えないし何も出てこない。
美穂が約束の女の子だったなんて。
俺は真っ赤になりながら.....美穂を見る。
でも、と言いながら美穂は俺を見てきた。
「昔から好きだけど。でも。私は改めて言います。私は君が好きです。だから私は今改めて告白します。.....是非、付き合って下さい」
「.....!」
アカン。
駄目だ.....マズイ。
本気で心臓がバクバクする。
それも恥ずかし過ぎて.....ヤバい。
これ本気でヤバいかもしれない。
本当に困る。どうしたら良いのだ。
赤くなるしかない。
それ以外に出来ない。
「美穂。俺は.....」
「うん」
「.....付き合って良いのか?」
「うん。付き合おうよ」
「良いのか.....本当に.....良いのだろうか」
凛花も朝日も俺が好きなんだぞ。
良いのか、と思っていると。
メッセージが来た。
それは凛花と朝日から、だ。
俺は、!?、と思いながらそのメッセージを見る。
各々こう書かれている。
(祐子ちゃんからメッセージ受け取りました。ああ。考えていましたけど杉山さんだったんですね。運命の人)
(やっぱりですか)
愕然としながらスマホを見る。
それから凛花と朝日のメッセージをずっと読む。
俺はこれ以上無いぐらいに困惑して赤面した。
そして、知っていたのか?考えていたのか?、と2人に文章を送る。
すると直ぐに返事が来た。
はい。そうです。
と。
俺はこれ以上無いぐらいにまた真っ赤になりながら文章を読む。
知っていましたというか。
多分そうだろうな、と思っていました、とも。
あまりの事に唇を噛んだ。
(きっと約束の女の子は杉山さんだろうと朝日さんと思ってたんです。陰ながら)
(勝てないだろうなぁって)
(お前、ら.....!?)
この結末は本当に悲しいですけど。でも貴方が幸せになるなら、と送ってくる凛花。
そして、君が幸せになるのが一番だから、と送ってくる朝日。
俺はその文章を読みながら.....眉を顰める。
美穂も俺のスマホを読んでいた。
そして少しだけ眉を顰める。
「私達は絶対に幸せにならないとね」
「.....そうだな」
「結局.....付き合う?」
「みんながここまでしているんだ。.....仮にもお前と付き合わないとおかしいと思うしな.....」
「そうだね。うん」
笑みを浮かべながら美穂は俺の手を握ってくる。
そして俺は美穂と.....その日以降、付き合う事になった。
俺は赤くなりながら美穂の手を握り返す。
小さな手を。
美穂は.....運命の女の子だった。
幸せになっても良いのかな俺。
そんな事を最後まで考える日々であった。
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