第16話 凛花が喋らなくなった理由(編集(新作))

凛花が喋らなくなったのは中学3年生の時のイジメが原因だ。

その時は俺もイジメを受けていたが.....彼女程、凄惨なものは無い。

だから喋らなくなったのだ。


その代わりに会話にはスマホを主に使う。

俺はそんな凛花を.....心の底からサポートしてやる。

そう心に誓いながら今を生きていた。

そんな感じで考えながら歩いていると遂に漫画ミュージアムに来た。


(先輩。やはり大きいですね)


「この町は観光目的でこういう大きい施設を作ったりするからな。だからそこそこに大きいんだと思う。でもこうやって漫画の施設を造ってくれるのは有難いよな。本当に」


(そうですね。我々からするとですね)


「そうだな。本当に我々の為の施設だ」


そんな会話をしながら俺達は顔を見合わせてからクスクスと笑う。

それから内部に入る為に入ると。

人が大勢居た。


その事に萎縮してしまう凛花。

そうだな.....人が多過ぎるか。

俺は考えながら、大丈夫か凛花、と聞く。

すると凛花は脂汗を流しながらも、何とか大丈夫です、とスマホにメッセージを書いてくれた。

その言葉に、そうか、と心配しながら見る。


「何かあったら書けよ。凛花」


(はい。その時は必ず書きます)


「じゃあちょっと人が多いけど.....チケットを.....」


そこまで話してから。

手を繋いでいる凛花と一緒に飲まれた。

人混みにであるが.....しまったな。


このままでは離れ離れになっちまう!

俺は咄嗟に凛花を抱きしめる。

それからグッとキツく守る様にハグをした。


「.....!?」


「すまん。凛花。人混みに巻き込まれそうだったから」


(せ、せ、先輩!そ、その。恥ずかしいです)


「うわ、す!すまん!」


俺達はそのまま離れてから見つめ合う。

何てこったい.....こんなに可愛いとはなコイツが。

考えながら高鳴る心臓を抑えながら。

バクバク鳴る心臓を抑えつつ凛花を見る。

凛花も心臓をバクバクさせている様で俺を見たりして困惑していた。


(先輩。私、有難う御座います。受け止めてくれて)


「いや.....良いんだけど御免な。勝手に抱き締めてしまって」


(全然構いません。むしろ先輩でしたから良かったです)


「そ、そうか」


本当に恥ずかしいな。

女の子を抱きしめたのは久々だ。

あんなに柔らかいんだな、と思うぐらいに柔らかかった。

俺は頬を叩きながら、改めて.....チケット買いに行こうか、と凛花を見る。

凛花は、は。い、と返事しながら俺を笑顔で見る。


「本当に悪かったな。抱きしめたの」


(い、いえ。むしろご褒美かなって思いました)


「ご褒美ってお前」


(アハハ。それは冗談ですが。早く買いに行きましょう)


「全くな。.....でもさっさと買いに行った方が良さそうだな。人が多くなってきた」


(ですね)


それから俺達は大慌てでチケット売り場に向かった。

そしてそのまま俺が2人分のチケットを購入してから.....そのチケットを凛花に渡すと凛花は嬉しそうに胸に押し当てた。

そのチケットを、だ。

そして、先輩。有難う御座います、と文章を打った。


(後でお金渡します)


「要らないよ。そもそもデートの基本は男が見せつけないとだからな」


(そんなの駄目です。私は立場は弁えます)


「そ、そうですか」


威圧されてしまった。

俺は苦笑しながら、分かった。それじゃ後で貰おうかなお金、と言いながら凛花を見つめる。


凛花は、はい。そうして下さい、と笑みを浮かべた。

そしてまた恋人繋ぎをしてくる。

俺は赤面した。


(それじゃあ中に行きましょうか先輩)


「そうだな。お前の行きたい場所に行ってくれ」


(私は先輩が好きな場所が知りたいです。先ずは)


「.....そうなのか?」


(共通の趣味が持ちたいです)


「そうか」


俺は苦笑いを浮かべながら頬を掻く。

それから俺は直ぐにバトルな感じの漫画を描く漫画家の複製原画が置いてある場所に向かった。

そして見つめる。

ヤバい想像以上に格好良くてパラダイスだわこれ。

俺は感動に身を包まれるのを感じる。


(先輩の目が子供みたいです)


「だって格好良いじゃん。こういうの」


(クスクス。ですね。先輩が可愛いです)


「可愛いってお前。まあ確かにその通りだけどな」


そして片っ端から見ていく。

複製原画見れるとかマジハッピーなんだけど。

俺は泣きそうになりながら歩く。


しゅうどん社とか有名漫画ばかりを取り揃えてある。

忍者もの、海賊もの、死神もの、と。

そんな感じであるが.....感動だ。


(先輩。先輩はどの漫画がお好きですか)


「.....俺は死神ものかな。これが好き。一番好きかな」


(じゃ、じゃあ先輩。今度漫画読ませて下さい)


「え?それってどうするんだ?」


(家に招待して下さい。私、先輩の家に行きたいです)


俺は数秒考えてから赤面した。

へ!?、と思いながら。

そんな凛花はニコッとしながら前に歩いて行く。

そして手を差し伸ばしてくる。

小さな手を、であるが。


(ほらほら先輩。早く行きましょう)


「全くお前はドキドキする事ばかり」


(だって先輩が好きですから)


「そうはっきり書いたものを見せるなよ」


先輩が好きですからそれ以外ありません。

と書きながら俺をニコッとして見てくる凛花。

それから文章を書き換えてから俺に見せてくる。

共通の趣味を持ちましょうね、という感じで、であるが。

俺は赤くなる。


(先輩。私の事これからもずっと見ていて下さい)


「.....?」


(絶対に先輩の1番になります。1番以外はなりたくない。それが私です)


「そ、そうか」


(はい)


そして、じゃあ徐々に見ていきましょうか、と俺と手を繋いだ。

それから歩き出す。

俺は内心をドキドキさせながら。

そのまま凛花と手を繋ぐ。

そうしてから手をギュッと握った。

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