彼を探して

「現れなくなってからおなじ二週間目が昨日なんです。警察の方もレオルドさまがわからないらしく、身なりから低くとも男爵さまくらいではありそうなのですけれど」


あなたは公爵令嬢さまですからね。

平民の装いではなかったと。


「最後にお会いした日、少し様子がおかしかったんですの。気のせいかとも思ったんですけれど、お話も上の空で。勝手かもしれませんが、もう会えなくとも彼が無事であればいいんです。一時しのぎで話し相手になって下さったと自分を納得させるくらいの分は弁えております。……哀しいですけれど」


二週間話したからとふりだしに戻っても無茶が過ぎる。


「失礼ですが、まだこちらは引き受けるかはお応え出来ません。理由はどうあれ、探すほどの間柄ではないとお見受けします」

「……警察の方も似たようなご返答でした。レイドールさまは私立探偵でらっしゃる。騙されたとか、ものを盗まれたではありません。調を依頼できませんか? 」


レディイザベラもただのお花畑ではないらしい。

彼がどんな人間か知りたいに切り替えてきたか。

想いを寄せた人を知りたいと言う気持ちは分からないでは無い。

しかし、結局は『彼を探して欲しい』に帰着している。

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