レディの想い人

「レオルド・ポートワーグ? 聞いた事のない家名ですね。どういったご関係の方ですか? 」


レディイザベラは顔を赤らめながら一拍置くと。


「まだ、まだ何も。わたくしが勝手に懸想しているだけの方なのです。公園で飛ばされた帽子をたまた拾って下さったことがきっかけですの。お礼をさせて下さいと言うと、大したことではないと仰られて……」


ボクは何を聞かされているんだろうか。


「一目惚れ、してしまったんです。格式ある家の娘がはしたないとは思うのですけれど、またお会い出来ますかと聞いたんです。……巡り合わせがあるといいですねと躱されてしまって」


きっとイケメンでモテる男なのだろう。

女に困っていないのではないか。


「諦めきれずに次の日同じ時間に公園に行くと、彼が同じ場所にいたのです……! ご挨拶だけでもとそばに行くと、またお会いしましたねと笑い掛けてくださって。次の日についにお名前をお聞きできたんです」


え? その男は暇なのだろうか。


「それから、初めてお会いしてから毎日一緒におりましたの。ですが、二週間が過ぎた辺りでなりました……」


話半分に着地するまで待とうと思ったら、きな臭くなった。

飽きたんじゃないか、とは言えず。

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