【第7話】番外編「知っているか、男にはBL穴という。気持ちがいぃ穴があるらしいぞ」

 異世界女勇者の逆転生者、勇奈のところにはアポでパカな生徒が治療で時々やってくる── その日もまた。本当にしょーもない生徒が二名。



 放課後──水泳部の部室でスマホをいじって遊んでいた、一人の男子生徒にマンガを読んでいた親友の男子生徒が話しかけてきた。


「なぁ知っているか、男にはBL穴という、気持ちいぃ穴があるらしいぞ」

「BL穴?」

「竜崎先生が言っていた」


竜崎黒斗りゅうざきくろと』──勇奈と同じく異世界からの、暗黒ドラゴンの逆転生者だった。


「男には数百人に一人の割合で肛門とは別の穴が、股に開いている男がいるそうだ」

「マジかよ」

 この二人は学校でも有名な、おパカさんだった。


 パカな男子生徒の話しは続く。

「竜崎先生の話しだと、BL穴はとっても気持ちがいいらしいぞ」

「気持ちいぃのか?」

 パカな話しを聞かされている男子生徒も、同じくらいアポだった。


「オレは自分の股を鏡で映して確認してみたが……手術をしたような縫い目みたいなのは、あったがBL穴は開いてなかったな」

「鏡で確認したのかよ」

「おまえの体はどうだ?」

「ちょっと待て、オレも確認してみる」

 衝立ついたての後ろで下着を前面に引っ張って拡げた男子生徒は、スマホのレンズを自分の股間に向けて撮影した。

「オレの股間にも縫ったようなモノがあるなぁ……なんだコレ? 穴は別に開いてない……いや、ちょっと待て!」

 股間をモゾモゾと手で押して確認していた男子生徒は、驚きの声を発する。


「縫い目みたいなモノのところの骨〔骨盤〕に変な箇所があって押すとヘコむぞ? 穴はないけれど、なんだコレ?」

「それだぁ! その位置に、BLの穴が本当は開いているんだ! たぶん」

 くどいようだが、この二人の男子生徒は、世界ランク一位と二位くらいのアポだった。

 

 竜崎からBL穴の存在を知らされた、男子生徒は机の上に竜崎から渡された。

 鋭い千枚通しと、二重丸の的シールを置いて言った。

「最初は竜崎先生が言った『穴が閉じていて困っている男子がいたら、これでBL穴を開けてあげなさい』の意味がわからなかったけれど。今やっとわかった、おまえが気持ちいぃBL穴の持ち主なんだ」

「そうか、今まで気づかなかったけれど、オレの体にそんな穴が開いていたのか」

 この二人の男子生徒は、ウチュケ者です。


「よし、開通式だ……パンツ脱げ」

「ちょっと待て、部室で男が下半身露出していたら変な目で見られるだろう……オレ水着持っているから……水着の上からなら」

「そうだな、誰かに見られたらマズいな……そこまで頭が回らなかった、おまえ頭がいいな、ワンワンポーズとM字開脚……どっちのポーズで穴を開ける?」

「じゅあ、M字開脚で」

 水着に着替えたアポな男子生徒が、机の上で足をガバッと開く。


 千枚通しを持ったパカな男子生徒が、M開脚をしたアポ男子生徒に凹む箇所の確認をしながら、突き刺す目印のシールを貼る。

「もうちょっと右、少しもどって……そこ、その位置」

 何度でも言うが、この二人は良い子のみんなはマネしたら、絶対にダメだぞレベルの大パカだった。


「刺すぞ」

「おぉっ、ブスッと刺して。気持ちがいぃ、BL穴を開けてくれ」

 ブスッ

「いてぇぇぇぇ!」


 数十分後──保健室のベットで、うつ伏せで股間を手で押さえ。

「う~ん、う~ん」と唸っている、千枚通しで刺された男子生徒の治療を終えた勇奈は。

 千枚通しで親友の股間を刺した男子生徒に。

 椅子に座って背を向けた姿勢でワナワナと震えていた。


 刺した真相を伝え終えた男子生徒が、勇奈に質問する。

「勇奈先生、刺した位置が違っていましたか? 竜崎先生が言った通りにやったんですが?」


 いつものようにブツブツ呟く勇奈。

「落ち着け、落ち着け、素数を数えろ……あたしは、異世界勇者の転生者。暗黒ドラゴンの嫌がらせなんかに負けない……ブツブツ」

 深呼吸をして気持ちを落ち着かせた勇奈が、クルッと椅子を回転させて、男子生徒と向き合うと言った。


「一言だけ言わせて……宇宙規模のド・アボ!」


  番外編~おわり~

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