成敗されるクラスメイト

 結局、ひとりで登校。

 学校に到着して教室に入ると、席には宮藤……いや、璃香の姿があった。隅の自分の席に座る。


「璃香……って、呼んでも?」

「う、うん。さっきはゴメンね。悪気はなかったの」

「分かってるよ。照れたんだよな」


「て、照れてないしっ!」


 照れてるじゃん。

 けどまあ、写真に収めたくなるような良い表情が見れた。なんだか、おみくじで大吉を引けた時の幸福感だな。



「それでさ、璃香」

「な、慣れないなー…。でもがんばる。うん、で、なに?」

「今日から『アーク』の運営について具体的に話し合いたい」

「もちろんよ。これからガチの会社経営していくからね!」



 なんてワイワイ話し合っていると、小島登場。しつけー!



「宮藤さん、お話し中すまない」

「……」


 璃香の表情は明らかにキレていた。もう話し掛けんなオーラ全開。璃香の女友達も白い眼差しで小島を見つめていた。あーあ、小島はすっかり孤立したな。



「そんな雑魚クソ眼鏡の東雲と話すより、俺と付き合えって!」


「……あ?」



 顔に青筋を立てる璃香。

 こえええ……。

 ブチギレてるやん。


 まずいぞ、今にも殴りかかるような勢いだ。俺は止めようとしたのだが――ハッと気づいた。



「やっと振り向いてくれた。いいかい、宮藤さん……! って、え?」



 小島は、背後からやって来た大きな気配に肩を掴まれる。その後ろには、筋肉ムキムキマッチョマンの担任『大垣』が立っていた。身長が180cmもある為、巨人のような迫力があった。



「小島ァ!! もうホームルームが始まるんだぞ、いつまで席を立っているんだ!!」


「しゅ、しゅびませええええええん……」



 クラスメイトから大笑いされる憐れな小島。自信も完全に喪失し、トボトボと自分の席へ戻って行った。もう二度と関わってくる事もないだろう。


 そんな安堵あんどの中、璃香は小声で話しかけてきた。



「よ、良かったー…もうすぐで小島をスコーピオン・デスロックで痛めつけてやるところだったよ」


「プロレス技のサソリ固めか」



 って、それは小島にとってのご褒美では……。まあ、何にせよ、大事にならなくて良かった。あの鬼ゴリラの担任が成敗してくれてスッキリ。

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