えっちな秘書

 座り心地の良い社長椅子。

 モフモフで回転するし、もう社長になった気分だ。いや、俺はもう社長なんだ。このギャル美少女の宮藤と共に経営していく!


「賢……いえ、社長。さっそくですが、えーいっ!!」



 どーんと、俺の方に座ってくる宮藤。すげえ密着ぅ!! てか、いきなりなんだ……!! これはやっぱりドッキリなのか!?



「お、おい、宮藤! 離れろ!」

「さっそくセクハラしてみました♪」

「それ普通、男がやる事だけどな。いや嬉しいけど!」



 まあいいか、俺も幸せだし……宮藤も笑顔でニコニコしている。そうだな、ここから“はじまる”んだ。



「社長、会社の名前は決めてないんです?」


 そや、何気に敬語になってるな、宮藤。そうか、さっそく秘書として動いてくれているんだな。雰囲気作りは大切だし、俺も気分に乗ってやろう。


「実は決まっている」

「へえ! どんな名前なんですか?」


「社名は『アーク』だ」


「それって箱舟って意味ですよね」

「良い名前だろ。まあ、言うじゃないか『泥船に乗ったつもりで』って」


「それ言うなら『大船・・』です」



 おぉ、そうだった。泥船ではタイタニックも驚きの数秒で沈んでしまうな。



「気に入らないなら変えるが」

「いえ、決定権は社長にありますから、問題ありませんよ。いいじゃないですか、アーク」


 宮藤は、なぜか俺の首に腕を回す。


 かなり密着して、その柔らかいモノがッ。さっきから大胆すぎるッ。距離感近すぎて俺が死ぬッ。



「あ、あの……宮藤さん、近いです」

「あたしは、えっちな秘書なんです……♡」


「そうか、えっちな秘書か……最高だな。だが、業務に支障が出る。ほどほどにな」


「今は時間外労働ですから問題ありません」



 そもそも会社としての機能もしていないけどな。けど、十階建てビルも美人秘書も手に入れた。俺の人生は今日で一気に変わった。


 社長……

 社長……


 社長かぁ、なんて良い響き。

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