第21話 一方の北門は・・・

 怜君が東門へと向かってしまったので私は山へ行った時と同じ班の人たちを氷魔法で支援しています。


氷縛アイスバインド


 数体のゾンビを凍らせそのうちに同じ班の人たちが剣でその凍ったゾンビたちを砕いていきます。


「白銀さんナイス!」


 クラスメート達も順調にカリュアス団長達の援護をしながらゾンビを撃破している。

ズドォン…

東門・・・よりもややこちら側によった辺りで薄紫の光の柱が上がった。


「あれは・・・何?」

「白銀さん次のゾンビ来てる!」


 少し気を取られたがクラスメートの声でこちらの戦闘へ意識を戻すとまたゾンビを凍らせる。

 そうしてゾンビを捌いていると前方のカリュアス団長達が皆に防衛ラインを下げる指示を始めた。

 守り切れているのに防衛ラインを下げるのを不思議に思ったので


「団長さんどうして防衛ラインを下げるんですか?」

「嬢ちゃんが気づかないのも無理はないか、この門を出た先のこいつらが出てきている根源の魔力反応が強くなった。今までのが序の口でこれからが本番・・・つまりさっきのよりもっとヤバいのを相手にするから隊列を整えてるんだ、嬢ちゃんももっと後ろに下がりな」

「なるほど」


 団長さんはそう言うと隊員達と聖教騎士団の人の方へ向かっていった。




 数分後・・・防衛ラインの前に先ほどとは比べ物にならない量のアンデッド達が押し寄せていたが、カリュアス団長の指示の下防衛ラインを下げて戦闘隊形を整えたおかげで何とか数をしのげているがこのままずっと敵が押し寄せ続けたらいつまで持つか・・・

 敵を捌いていると東の方の空で無数の雷が落ちました。夜空を見る限り雲はなく晴れているのに、怜君の魔法でしょうか?

 そうして戦い続けているとアンデッドの群れの量が次第に減っていきました。アンデッドの竜もいましたが、それは聖教騎士団の方々の魔法で一頭ずつ確実に撃ち落されました。

 そして完全にアンデッドの群れが止まりました。緊張の糸が切れたのか皆もその場に座り込み、初めての本格的な戦闘を終えて何がやばかった俺はどんだけ敵を倒したと興奮して話し合ってます。


「白銀もこっちへきて休もうぜ」


 坂本君が自分の戦果をクラスメート達に話しながら誘ってきました。


「いえ、私は魔法使いなのでそこまで疲れてないので休まなくても大丈夫です」


 特に話したいとも思わないので拒否します。


「そういや、神代のやつどこ行ったんだ?なんか戦闘してるときずっと見なかった気がするが?まさかビビって逃げたか。意気地のねぇやつだな」


ギャハハと笑う坂本とその取り巻きを見て少しだけイラっとしました。


「レイなら俺が中央へ伝令として送ったぞ?すごい渋られたがな」


 後ろから団長さんが怜君をフォローしながら私の両肩をつかんで坂本たちから別の方に向かって押そうとします。


「団長さん何するんですか?」

「嬢ちゃん頼むから仲間内で問題起こさないでくれ?レイが悪く言われたのが嫌なのは分かるがな?」

「問題は起きませんよ。向こうが根も葉もないことで神代君を貶したので氷漬けにするだけです、私に非はありませんよ?」

「お願いだから、勘弁してくれ。監督責任が俺にはあるんだ」

「むぅ・・・」


 少し不満はあるが団長さんにまで迷惑をかけるわけにはいきません。

 そのまま団長さんは空いてるスペースに私を連れていきドカッと地面に腰を下ろすとおもむろに話し始めました。


「俺がレイと会ったのはついこの間だ。朝に騎士団の皆と個人戦をするために訓練場に行ったら木剣を持っていてな、その時は真面目な坊主だなってのが第一印象だな。次に目に入ったあいつの横に置いてあった木剣を見て驚いたよ。あそこまで質のいいモノは見たことがない」

「見た目で判別つくものなのですか?」

「あの木剣に関しては判別はつく、大陸法・・・この大陸に関する各国の同意の下の法で修練用の木剣は数十種類認可されてるがその全てと違うな、色、艶、作られた時の質が良すぎる」


 そこまで言うと団長さんは一体どこでそんな代物手に入れたのやらとため息をつく。


「あいつは嬢ちゃんたちと一緒に来た召喚者には間違いない。だが他の子たちとは何か違うんだよな、どこかこの世界のことを知っているようなそんな目をしてるんだよ」

「皆の中で一番頭が切れる人ですからそう感じるのでは?」

「嬢ちゃん・・・それは流石に無理があるぜ。あいつは魔法を確実に使える。この世界に来て誰かが教えたにしてはあり得ない魔法をな。隠してるんだろうから詳しく聞こうとはせんが」

「あはは・・・当然気づいてますよね。詳細は私からは言えないので神代君が許可してくれたらお答えしますね」


 そう言うと団長さんは笑って答えました。


「おぅ!楽しみにしてるよ」


 団長さんは話しを終え立ち上がると皆に声をかけようとした・・・


「話は終わりか?人間」


 さっきまで何も、誰も居なかった団長さんの後ろにローブを被った男が現れました。





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