沈黙に積雪

　「レフティが戻って来た」ーーそんな話を働いている酒場で耳にした「私」。その夜、「私」は家族が寝静まった家をこっそり抜け出した。
　短くとも、重厚な物語背景でしっとり読ませる西部劇のワンシーン。砂漠のイメージが強い西部劇ですが、雪の降る光景も非常にマッチしています。
　砂漠と雪、彼と「私」、死者と生者など、物語のあちこちに置かれた対比が印象に残りました。交じり合わない二つだからこそ、冷たくて物悲しい現実が、胸に迫ります。