第6話 吸血姫は家で寝る。
その日、私は夢を見た。
いや、夢を見る事自体がほとんど無い私にとっては不思議な体験だった。
そこは神殿だろうか?
一般的な教会とは異なり
なお、この時の私はなぜか神殿前に裸で立ち尽くしていた。
すると、神殿内には以前どこかでお目にかかった女神様の顔立ちのようで紫銀髪かつ赤瞳の目立つ女性が真面目な表情で立っていた。
「おや? 姉上が興味を持ったというのはこの御方ですか」
「あ、貴女は?」
「
私は
(今、空間を
私は
ただ、その正体は亜人や魔族が
私は異世界の者だから信奉するわけではないけれど。
(まぁ主なる原因はこの寝泊まりしている亜空間にあるだろうけど)
そう思った瞬間。
女神様は急にニコニコと微笑み──
「そうですね。貴女が思ったとおり
「種族的に
「いえ、従来の吸血鬼族は不老であっても不死ではない。貴女のような
私の疑問を置き去りにしながら思った事をそのまま口にするかのように望んでもない会話を一方的に行った。それはある意味で優しさのようだが、何かしらの意図がある所業だった。神とは等しくそういうものだというのが私の中での
ともあれ、女神様の語りは続く続く。
私が相づちを打つだけで勝手に話を続ける女神様である。
「あとは人や魔物の血を
すると、不意に──
「〈
私がこの世界で授けられたスキルとは異なり生来のスキルが看破された。
そこは女神様ゆえだからだろうが私本来の〈
しかし、この世界ではレベルアップにつながる経験値が存在していた事で、それすらも知らずに〈
(だからなのね? あの騎士が顔面蒼白で泡を吹いたのは)
通常なら気絶までは行かずとも
記憶も意図的に食べなければ読み取る事はない。
だが、生命力だけは普通に
(いえ、この世界の者達にとって災害ではないの?)
そう思えてならなかった。
すると女神様は微笑みから真面目な表情に戻られた。
「それは違いますね。貴女を天敵となす者は悪意ある者や害意ある者に限られており、その
こちらも言うだけ言って私を元の場所へと帰すように離れていった。
神とは不可思議かつ意味深な事を口走る者だと私は思うしかなかった。
§
一方、
彼女が亜空間で眠りにつく前の事、城内では騒動が巻き起こった。
それは──
「
「魔導開発部の扉破壊は原因不明です! 魔力が拡散して修復不可能です!」
「召喚の間にある
衛兵やら魔法使い達がそれぞれ、謁見室にて報告を行っていた。
なお、その場は深夜ともあって国王不在であり宰相が一人で陣頭指揮を執り、報告を
「どういうことだ? なぜレベル低下が起きる。
「は!」
すると、今度は勇者達を管理する魔法使いが現れ──
「勇者殿達の正確な人数が判明しました! やはり一名だけ足りないようです! これは彼等の責任者たる者の
「神官長を呼べ! この所業は見過ごせないぞ! 間違いとだけで見過ごしていたとあっては今後の士気に関わる!」
「は!」
「それと、召喚の間の衛兵が昏睡しておりまして」
「ぐぬぬ・・・一体なにが起きたというのだ」
というように
様々な問題が多発し宰相は混乱を極めていたのだった。
すると──
「騒がしいですわね? そんなことよりも早く私の隣に来る者を寄越しなさい!」
この国の姫であろうか?
大忙しの謁見室で偉そうに
「いえ、まだお目通りするほどの者では御座いません。なにより今は王族教育とレベル上げを優先しておりますので、もうしばらく辛抱して
「ふん! そんなものいつでも可能でしょう? 私は勇者様の隣で寝たいのですから、早く
姫の返答は無情にも自分勝手極まるものであり宰相は戦々恐々という面持ちで魔法使いに手配した。そのあとは言うにおよばずであり、肝心の勇者は一瞬で素っ裸になりながら姫が横になるベッドへと飛び込み・・・一夜を共にした。
王族の婚前交渉とは・・・
§
一夜が明け・・・昼間だった世界は夕暮れ時の世界へと変貌していた。
例えるなら私の主観時間という意味で夜が明けたのだが。
実際は夕暮れ・・・
すると朝方のはずなのに夕刻だったのだ。
それを見た瞬間、まだ寝られるという不思議な気分になったが眠気など
「不思議なものね。時計が無いから判らないけど、この世界観に慣れるのは苦労しそうだわ。それこそ〈鑑定〉スキルに時計でもつけようかしら? あ? 出来たわね? 〈時間干渉〉スキルね。夢だと思ったけど本当に女神様の元へと、お呼ばれされたのね」
そして夢と思っていた事も夢ではなく実際にスキルが増えていたのだ。
言うなれば地図に示した場所に自身の意思で飛べるものらしい。
これが転移魔法であれば一度行った事のある場所という制限が付くが、
ただ、距離はともかく何故か高度制限が付いているけどね。
「〈遠視〉出来る範囲も拡がっているわね。それこそ
私は寝間着を脱ぎながら、その日の私服に着替え亜空間のログハウスを出た。
(あとで食事と
そう、なにげに魔物の血肉は魔力の源となるそうだから。
純粋魔力だけを吸うのではなく食べる事も楽しまないと生きてるって実感がわかないのだから。それが仮に
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。