哲学魔王の【辞書】

１９．中節／後節

　　　　◆◆◆ 中節 ◆◆◆

━─━─ № 19-27 (2,330) ─━─━

　　〖ため〗（名詞）

【為（ため）】⚠　 #2,426

　〈行為のありさま〉〈真（ま）似（ね）〉の意。

　転じて〈目的〉の意。

　組成は〔為（た）む得（え）〕と思われ、「為（た）む」は〈成している〉の意の「為（た）る」の推定。

　使用頻（ひん）度（ど）のわりに常用の読みではないので注意。

━─━─ № 19-29 (2,332) ─━─━

　　〖うしろめたい〗（形容詞）

【背徳（うしろ）目（め）甚（た）い】⚠⛏　 #2,427

　〈疚（やま）しさに気が咎（とが）める〉の意。

　［背徳（うしろ）］の原語は〈背任〉〈非道〉の意の「背（うし）ろ」であるが、｛背（うし）ろ目（め）｝と〝ぎなた読み〟されるのを避けるため、熟字訓を新たに提案するもの。

　［目（め）甚（た）い］は〈程度が甚（はなは）だしいさま〉の意。

【後（うし）ろ目（め）痛（た）い】⚠✗　 #2,428

　字義不相応のため遣うことを推（すい）奨（しょう）しない。

　〝後ろから浴びせられる目線が痛い〟との説だが、背徳感はべつに視線にさらされなくても気の持ちようで単身成立するので、〈後方〉も〈痛覚〉もとりあえず関係ないと思われる。

━─━─ № 19-31 (2,334) ─━─━

　　〖びりびり〗〖ぴりぴり〗（副詞）

【痺（びり）々（びり）】【痺（ぴり）々（ぴり）】⚠⛏　 #2,429

　〈頻（しき）りに痺（しび）れや鋭い刺激を感じるさま〉の意。

━─━─ № 19-33 (2,336) ─━─━

　　〖くこ〗（名詞）

【枸（く）杞（こ）】⚠　 #2,430

　〈ナス科の落葉低木〉の意。

　転じて〈枸（く）杞（こ）の実である「枸（く）杞（こ）子（し）」の略〉の意。

　滋（じ）養（よう）強（きょう）壮（そう）、動脈硬化予防、高血圧低下、抗脂肪肝、抗炎解熱など、効能のオンパレードであるため漢方薬や薬（やく）膳（ぜん）として積極的に活用されるが、冷え性には禁忌とされる。

━─━─ № 19-35 (2,338) ─━─━

　　〖にんじん〗（名詞）

【人（にん）蔘（じん）】⚠　 #2,431

　〈ウコギ科の多年草オタネニンジン〉の意。

　〝根の形が人の姿に似ること〟から。

　滋（じ）養（よう）強（きょう）壮（そう）や疲労回復、胃腸回復などに特に効果が高い薬草として古来から重宝されており、これは本当に効くが、ただしカフェインのように即効性のあるものではない。

　栄養ドリンクなどて、これを使用していると謳（うた）っているのにイマイチ効果を感じれないという場合は、含有量が雀（すずめ）の涙よりも少なく十分な薬効が得られない程度で、ぶっちゃけ入れないほうが値段も抑えれてみんな嬉（うれ）しいんじゃないのと疑えるものだったりするが、名前だけで売る偽薬（プラシーボ）ビジネスとは古来から絶えないものだから、せいぜい騙（だま）されないよう気を付けていくしかない。

　なお「海鼠（なまこ）〔滑（なま）凝（こ）〕」が人（にん）蔘（じん）同様に精がつくとされ、そのためこれが「海（かい）蔘（じん）」と呼ばれる事もある。

　ちなみに一般に「人（にん）参（じん）」と呼ばれる野菜は「芹（せり）の大（だい）根（こん）」であり、形状が似る事から「芹（せり）人（にん）蔘（じん）」とも呼ばれたというだけで、人（にん）蔘（じん）の仲間であるわけではない。

━─━─ № 19-37 (2,340) ─━─━

　　〖とけいそう〗（名詞）

【時（と）計（けい）草（そう）】⚠　 #2,432

　〈トケイソウ科トケイソウ属の総称〉〈passion（パッション）flower（フラワー）〉の意。

　〝花が時計盤のような模様を持つこと〟から。

　花言葉は〈信心〉〈信仰〉〈聖なる愛〉など。

　薬草として用いた場合、鎮痛、血圧降下、抗痙攣、不眠緩和など、痛みや精神を落ち着かせる作用をもたらす。

━─━─ № 19-39 (2,342) ─━─━

　　〖にがき〗（名詞）

【苦（にが）木（き）】⚠　 #2,433

　〈ニガキ科ニガキ属の落葉高木〉の意。

　本当にすみずみまで苦い木、本当にこいつはヤヴァイ、タベルナ。

　健胃剤として『太田胃散』などに用いられるほか、殺虫剤としても効果がある。

　きっとあの地獄のような苦さに耐えれなくて虫たちは死んでいくんだ……、、

　どうでもいいが「taverna（タヴェルナ）」はイタリア語で〈大衆食堂〉の意であるため、恰（かっ）好（こう）の話の種とされる。

━─━─ № 19-41 (2,344) ─━─━

　　〖げんせい〗（名詞）

【芫（げん）青（せい）】⚠　 #2,434

　〈ツチハンミョウ科の昆（こん）虫（ちゅう）〉〈spanish（スパニッシュ）fly（フライ）〉の意。

　転じて〈cantharidin（カンタリジン）〉の意。

　カンタリジンは強刺激性のため炎（えん）症（しょう）をよく起こす劇物で、疣（いぼ）取りや膿出しのための発（はっ）泡（ぽう）剤や利尿剤として利用されるが、致死量一㌘強と毒性が非常に強く、暗殺のための毒としても用いられる。

　あるいは、経口摂取すると利尿の際に、性器に対して性的興奮と錯覚させる膨張を起こさせるため、催（さい）淫（いん）剤として用いられていた事があったものの、ごく少量ですぐ死ぬのでそういう目的での使用はダメ、ゼッタイ。

　ツチハンミョウは体表にカンタリジンを分泌しており、素手で触れるとただれてしまうので、山林や原野に入る場合にはこれに限らず、無（む）闇（やみ）に生き物を触わるべきではない。

　英名に「fly（フライ）」が付くが、なんとなく姿がそれっぽいというだけで、蠅（はえ）とは異なる。

　［芫（げん）青（せい）］を「斑（はん）猫（みょう）」と呼ぶ事もあるが、ハンミョウはオサムシ科、ツチハンミョウはツチハンミョウ科と、別種であるため不適当と思われる。

━─━─ № 19-43 (2,346) ─━─━

　　〖どうけ〗（名詞）

【道（どう）化（け）】⚠　 #2,435

　〈戯（おど）けた者〉の意。

　転じて〈わざと滑（こっ）稽（けい）な事をして人を笑わせる職業〉の意。

　語源は〔道（どう）戯（け）〕〔童（どう）戯（け）〕であり［道（どう）化（け）］は当て字とされる。

━─━─ № 19-45 (2,348) ─━─━

　　〖びやく〗（名詞）

【媚（び）薬（やく）】⚠　 #2,436

　〈恋愛感情や性的快感を操作する秘薬〉の意。

　はっきり断わっておくが〝架空の産物（ファンタジー）〟であり、現物は実在しない。

　麻（ま）薬（やく）や覚（かく）醒（せい）剤ですら製法がはっきりしてるのに、媚（び）薬（やく）だけが正体不明なものであり、実際にそう呼ばれている物でも林（りん）檎（ご）やらチョコレートやら玉（たま）葱（ねぎ）やらと、お察しレベルの物ばかりで、ほかは総じて贋（にせ）物（もの）。

　また誤解されがちだが、ＥＤ改善薬は性感や生殖機能を高めるわけではなく、興奮を誘うわけでもないので媚（び）薬（やく）とは呼べない。

　ただし性行為そのものには興奮を伴い、それにより判断力も低下するせいで「placebo（プラシーボ）（偽（ぎ）薬（やく））効果」が特に強く表れるため、これが〝媚（び）薬（やく）とは本当に効果のあるもの〟という誤解を招いている大きな要因と思われる。

　「pheromone（フェロモン）」と呼ばれる臭（しゅう）気（き）物質も存在し、これは動物らに対しては本物の強制力を発揮するが、ヒトはその感応感覚が閉じてしまっているため〝なんか気になる〟程度の効果しか無い。

　臭（しゅう）気（き）に直接反応するようだと、人社会の運営上で不都合があったために、退化したものと考えられる。

　生き物がそんなに都合よく進化するものかと思われるかもしれないが、実際には〝不都合な者が他者らによって積極的に殺害されてきたために、不都合のない者のほうがより多く残った〟というだけである。

━─━─ № 19-47 (2,350) ─━─━

　　〖ふためく〗〖はためく〗（カ五段動詞）

【焱（ふため）く】【焱（はため）く】⚠⛏　 #2,437

　〈旗（ばた）々（ばた）と打ち当てたり騒いだりする〉の意。

　転じて〈続けざまにぶつかったり音が立ったりする〉の意。

　組成は〝風にあおられた旗のような様子〟から〔旗（はた）粧（め）く〕。

　「旗（ばた）」は〔旗（はた）〕の濁音減価で、〈風にあおられた旗のように暴れるさま〉の意。

　〔焱〕は〈火花〉〈ほのおが荒れ狂うさま〉転じて〈ふるまいが荒れ狂うさま〉の意であり、意味が［ふためく］とやや近く、この字に代理させる例がみられるため倣（なら）うこととする。

【𪹥（ふため）く】【𪹥（はため）く】✗　 #2,438

　環境依存文字であるため遣うことを推（すい）奨（しょう）しない。

　なお〔𪹥｛⿰火祭｝〕は国字である。

━─━─ № 19-49 (2,352) ─━─━

　　〖いんちき〗（サ変名詞）

【恁（いん）痴（ち）気（き）】⚠　 #2,439

　〈明白な狡（ずる）や胡（でたら）め〉の意。

　〔恁〕は〈このような〉、［痴（ち）気（き）］は〈理性の無いさま〉の意。

　同様の意で「如（い）何（か）様（さま）」との語も遣われるが、それ自体は〈どうであろうか〉転じて〈｟どうであろうが｠その通り〉の意しか無く、これらの語に「狡（ずる）」の意味合いを含めるには文脈に頼る必要がある。

　なお「狡（ずる）」は〔為（す）る〕の濁音減価で〈善しからぬ行為〉の意。

━─━─ № 19-51 (2,354) ─━─━

　　〖うそっぱち〗（名詞）

【嘘（うそ）っ果（ぱ）ち】⚠　 #2,440

　〈どうあっても嘘（うそ）にしかならないもの〉〈完全な嘘（うそ）〉の意。

【嘘（うそ）っ八（ぱち）】✗　 #2,441

　語義不相応のため遣うことを推（すい）奨（しょう）しない。

　この表記では〈嘘（うそ）の八ヵ条（⁉）〉のような意となる。

　語の後ろに副助詞的に付ける「八（はち）」とは〈第八子〉転じて〈どうあっても影響のない人物〉〈どうでもいい奴〉の意の〔八（はち）男（なん）〕の略であり、これを蔑（べっ）称（しょう）や愛称とする風俗が存在したもので、また「果（は）ち」と同じ発音であるために当て字としてよく用いられたもの。

━─━─ № 19-53 (2,356) ─━─━

　　〖けし〗（名詞）

【芥（け）子（し）】⚠　 #2,442

　〈ケシ科ケシ属の一年草のうちヒナゲシ種を除くもの〉〈阿（あ）片（へん）ケシ〉〈opium（オピウム）poppy（ポピー）〉の意。

　転じて〈阿（あ）片（へん）ケシから抽出した麻（ま）薬（やく）〉の意。

　「けし」の組成は〔怪（け）如（し）〕であり、一方で｛芥子｝との表記の語源「芥（から）子（し）」は〈芥（からし）菜（な）の種（たね）〉のことで、葉の形状が似通うことから当て字されたもの。

　言わずと知れた阿（あ）片（へん）の原料だが、炒（い）った芥（け）子（し）の種が濾（こ）し餡（あん）パンの上に振りかけられたりしており、大丈夫なのかと不安になったりするものの、発芽しないかぎり問題は無く、つまり炒（い）ってあれば構わないらしい。

━─━─ № 19-55 (2,358) ─━─━

　　〖まおう〗（名詞）

【麻（ま）黄（おう）】⚠　 #2,443

　〈マオウ科マオウ属の常緑低木〉の意。

　学名は「ephedra（エフェドラ）」で、これを主剤として調合された漢方薬「麻（ま）黄（おう）湯（とう）」は風邪（かぜ）の初期症（しょう）状（じょう）の改善のため一般的によく用いられるが、麻（ま）黄（おう）から抽出される有効成分の一つを「ephedrine（エフェドリン）」と呼ぶもので、これが交感神経興奮効果つまり覚（かく）醒（せい）作用があるため、スポーツ競技をする人が麻（ま）黄（おう）を服用するとドーピング検査に引っ掛かって失格となる。

　要はephedrine（エフェドリン）とは覚（かく）醒（せい）剤であり、当然のように依存性もあるため、限度を超えて麻（ま）黄（おう）湯を大量服用したりすると問題が生じる可能性があるので注意されたい。

　用法用量をよく守って正しくお使いください本当に。

━─━─ № 19-57 (2,360) ─━─━

　　〖いてもたってもいれない〗（成句・形容詞）

【坐（い）ても立っても処（い）れない】⚠⛏　 #2,444

　〈情動に揺さぶられて落ち着いていれない〉の意。

　［坐（い）ても立っても］は〈坐（すわ）っていても立っていても〉転じて〈何をどうしていようと〉の意。

　［処（い）れない］は〈遣り過ごせない〉の意。

【居（い）ても立（た）ってもいれない】✗　 #2,445

　デタラメな表記であるため遣うことを推（すい）奨（しょう）しない。

　「居る」と「立つ」は同列に並びうる語ではなく、また後ろの「いれない」は一体何なんだというツッコミを禁じ得ない。

━─━─ № 19-59 (2,362) ─━─━

　　〖もぢもぢ〗〖もじもじ〗（名容詞）

【躇（もぢ）々（もぢ）】【躇（もじ）々（もじ）】⚠⛏　 #2,446

　〈遠慮や気（き）後（おく）れによって落ち着いていれないさま〉の意。

━─━─ № 19-61 (2,364) ─━─━

　　〖はなをつむ〗（成句・マ五段動詞）

【花（はな）を摘（つ）む】⚠　 #2,447

　〈用便を足す〉〈便所へ行く〉の意。

　登山中など、通常トイレが存在しない状況で考え出された云（い）い回しとされるが、これが通じない人も一定数いるらしいので、多少説明的に遣うか、使用を避けたほうが無難ではある。

━─━─ № 19-63 (2,366) ─━─━

　　〖がなる〗（ラ五段動詞）

【呀（が）鳴（な）る】⚠　 #2,448

　〈声を荒げて喚（わめ）く〉の意。

━─━─ № 19-65 (2,368) ─━─━

　　〖へちま〗（名詞）

【絲瓜（へちま）】⚠　 #2,449

　〈ウリ科の一年草の観葉植物またはその果実〉の意。

　転じて〈ほとんど筋ばかりの実〉の意。

　さらに転じて〈役に立てれない物〉の意。

　組成は〔綜（すべ）筋（すぢ）実（み）〕とされ、古くには｛絲（いと）瓜（うり）｝｛絲（と）瓜（うり）｝とも呼ばれた。

　〝実の繊（せん）維（い）が束（たわ）子（し）になるから役立たずではない〟という意見があるが、あれでまともに洗い物してる例がみられないし、大体あれ作るのメッチャ面倒くさい割にすぐダメになるほど強度も無いし、すぐカビて不衛生だし、だからこそ「亀（かめ）の子束（たわ）子（し）」をはじめとした他の洗具が多数作られてるわけよね。

　〝食べれる〟油断してるとすぐ筋張って食えなくなるし、若くても熟れてても変わらず食えるズッキーニのほうがよくね？

　〝化（け）粧（しょう）水〟あれ要するに砂糖水だから欲しけりゃ自分で砂糖水作ればいいし（それだけで美（び）肌（はだ）効果あるよ！）、売り物のアレはヒアルロン酸とか他の有効成分をガチ混ぜしてるよね。

　〝緑のカーテン〟朝顔のほうが綺（き）麗（れい）だよ。

　あっども、突然ヘチマをボロクソに言い始める辞書はこちらです（

━─━─ № 19-67 (2,370) ─━─━

　　〖だいおんじょう〗（名詞）

【大（だい）音（おん）声（じょう）】⚠　 #2,450

　〈はなはだしく大きな声〉の意。

　慣例的に｛大（だい）音（おん）声（じょう）｝と読むが、｛大（だい）音（おん）声（せい）｝でも間違いではない。

　でも｛大（だい）音（おん）声（じょう）｝のがカコイイ！（

━─━─ № 19-69 (2,372) ─━─━

　　〖どうしてどうして〗（成句・感嘆詞）

【何（ど）様（う）然（し）て何（ど）様（う）然（し）て】⚠　 #2,451

　〈なんという思い違いだったのでしょう〉の意。

　〝どうして｟そんな考えでいたのか｠〟という事から。

━─━─ № 19-71 (2,374) ─━─━

　　〖らしい〗（形容助詞）

【等（ら）如（し）い】⚠　 #2,452

　〈それそのもののようだ〉の意。

　客観的根拠に基づく推量を表わすもの。

━─━─ № 19-73 (2,376) ─━─━

　　〖まこと〗（名詞）

【真（まこと）】⚠　 #2,453

　〈真実であるさま〉の意。

　組成は〔真（ま）事（こと）〕。

【誠（まこと）】⚠　 #2,454

　〈誠実であるさま〉〈本心から思うさま〉の意。

　組成は〔真（ま）言（こと）〕。

━─━─ № 19-75 (2,378) ─━─━

　　〖しか〗（副助詞）

【然（しか）如（し）】⚠　 #2,455

　〈そのようだ〉の意。

　転じて〈そうであるにしても〉の意。

━─━─ № 19-77 (2,380) ─━─━

　　〖きっかけ〗（名詞）

【切（き）っ掛（か）け】⚠　 #2,456

　〈機会〉〈契機〉〈転機〉の意。

　｛切（き）っ欠（か）け｝と書かれるが、これでは〈切れて欠落する〉の意となるため字義不相応で、ないし〈切り口〉の意で書かれるにしても受動的表現のこれは不適切で、能動的な場合には「切（き）り欠（か）き」のようになるのが妥（だ）当（とう）と思われる。

━─━─ № 19-79 (2,382) ─━─━

　　〖だまりこくる〗（ラ五段動詞）

【黙（だま）り倒（こ）くる】⚠　 #2,457

　〈何も言えなくてじっと黙ったままになる〉の意。

　これは〝自身が倒（こ）ける〟場合を云（い）うものであり、〝相手を倒（こ）けさせる〟場合は〈じっと黙って相手を去（い）なす〉の意の「黙（だま）り倒（たお）す」となる。

　なお「倒（たお）す」には〈ないがしろにする〉、「倒（こ）ける」には〈ないがしろになる〉の意がある。

　要するに何も言えないせいで黙る事になってしまっているわけだから、それに対して〝黙り倒（こ）くってんじゃねえよ！〟とか言いつけるのは阿（あ）呆（ほう）の自白でござ候（

━─━─ № 19-81 (2,384) ─━─━

　　〖なにとぞ〗（副詞）

【何（なに）と啐（ぞ）】⚠　 #2,458

　〈何とか〉の意。

　［啐（ぞ）］は間投詞「か（彼（か））」と完全可換。

【何（なに）と卒（ぞ）】【何卒（なにとぞ）】✗　 #2,459

　字義不相応のため使用を推（すい）奨（しょう）意思ない。

　またこれは｛何卒｝二文字での熟字訓であり、｛卒（とぞ）｝という読みが有るわけではない。

　　　　◆◆◆ 後節 ◆◆◆

━─━─ № 19-83 (2,386) ─━─━

　　〖かがやく〗（カ五段動詞）

【輝（かがや）く】⚠　 #2,460

　〈光を見栄えよく発したり反射したりする〉〈威厳を放つ〉の意。

　なお〔軍〕は〈戦陣〉〈戦車〉転じて〈軍隊〉〈強いもの〉の意。

【耀（かがや）く】⚠　 #2,461

　〈人物が立派である〉〈活力にあふれる〉の意。

　なお〔翟〕は〈羽根の美しい鳥〉〈羽根飾り〉転じて〈優れている〉の意。

【燿（かがや）く】【煌（かがや）く】【焜（かがや）く】【煥（かがや）く】⚠　 #2,462

　〈火がまぶしく光る〉の意。

【暉（かがや）く】【曄（かがや）く】⚠　 #2,463

　〈太陽がまぶしく光る〉の意。

【曜（かがや）く】⚠　 #2,464

　〈天体がまぶしく光る〉の意。

【赫（かがや）く】⚠　 #2,465

　〈顔面がまぶしく光る（⁉）〉〈面（おも）栄（ば）ゆく思う〉の意。

━─━─ № 19-85 (2,388) ─━─━

　　〖よそのあかしはかがやかしい〗⛏（成句・形容詞）

【他（よ）所（そ）の燈（あかし）は煌（かがや）か如（し）い】⚠⛏　 #2,466

　〈実際にはたいした物ではなくても他者の所有物はとても良い物のように思えるもの〉の意。

　〝隣の芝生は蒼（あお）く見える〟に同じ。

━─━─ № 19-87 (2,390) ─━─━

　　〖しこ〗（名詞）

【醜（しこ）】⚠　 #2,467

　〈頑（がん）強（きょう）なもの〉の意。

　転じて〈醜（しゅう）悪（あく）なもの〉の意。

　〔醜〕は〈酒に酔った暴れん坊〉の意。

　組成は〔強（し）子（こ）〕であり、〝強い力をもつ者ほど、力任せに暴れてばかりで憎たらしい〟ことから〈醜（しゅう）悪（あく）〉の意に転じたものと想像される。

【四（し）股（こ）】⚠　 #2,468

　〈力士が片足を高くあげて土俵をつよく踏む所作〉の意。

　語源は［醜（しこ）］、というか昔はこちらの意味でも｛醜（しこ）｝と表記していた。

　べつに四回とか決まってるわけでもないし、「強（し）股（こ）」みたいな表記のほうがよかったんじゃないかな。

━─━─ № 19-89 (2,392) ─━─━

　　〖ひひ〗（名詞）

【老（ひひ）】⚠⛏　 #2,469

　〈死にぞこないの老人〉〈老いてしわくちゃなさま〉〈老（ひ）ねているさま〉の意。

　組成は〈今にも死に絶えそうなさま〉の意の〔罷（ひ）々（ひ）〕。

【狒（ひひ）】【狒（ひ）々（ひ）】⚠　 #2,470

　〈大きな猿（さる）の妖（よう）怪（かい）〉の意。

　転じて〈助（すけ）平（べい）〉〈サル目オナガザル科ヒヒ属の哺（ほ）乳（にゅう）類の総称〉の意。

　｛狒（ひ）｝は音読みであり、［狒（ひ）々（ひ）］を組成とする｛狒（ひひ）｝は訓読みである、なんと紛らわしい。

　〝狒（ひひ）とは若い娘ばかりをねらう猿（さる）の妖（よう）怪（かい）〟との逸（いつ）話（わ）によるものにつき、実在のヒヒではない意味としては、前提知識を要するため遣うことを推（すい）奨（しょう）しない。

　ちなみに「助（すけ）平（べい）」の組成は〈「好き」の擬（ぎ）人（じん）化〉の意の〔好（すき）兵衛（べえ）〕で、〈性的な分野に関する数（す）寄（き）者（もの）〉の意。

　いやあ、江（え）戸（ど）時代にはもう既に擬（ぎ）人（じん）化という文化があったのだな、と深き感慨に耽（ふけ）るものである（

　そして、後になって見つかった実在の猿（さる）について、深く考えずてきとーに借りて「狒（ひひ）」と名付けられてしまった彼らの冥（めい）福（ふく）を祈りたい（まだ絶えてない