哲学魔王の【辞書】

１０．前節゠２／２

━─━─ № 10-43 (1,606) ─━─━

　　〖ござる〗（ラ五段動詞）

【御（ご）座（ざ）る】⚠　 #1,848

　〈坐（ましま）す〉〈いらっしゃる〉〈おいでになる〉の意。

　尊敬対（たい）相（しょう）の存在や動向に対して云（い）う。

【厶（ござ）る】⚠　 #1,849

　〈ある〉〈いる〉の意。

　へりくだった云（い）い回しであり、〔厶〕は「私」の原字。

【倒（ござ）る】⚠⛏　 #1,850

　〈正常な状態でなくなる〉〈恋の病に落ちる〉〈腐る〉〈｟腹が｠減る〉の意。

　［ござる］にこんな意味あるなんて初めて知ったよ、とりあえずそれっぽい字を慌てて当ててみたよ、どれくらい慌てたかと言うと反復横跳び九十七回分くらいだよ（

☞ 叮（てい）嚀（ねい）に言う場合は「ござります」だが、現代では「ございます」と崩して活用する。

━─━─ № 10-45 (1,608) ─━─━

　　〖たて〗（副助詞）

【立（た）て】　 #1,851

　〈何かを起立させるもの〉〈何かを成立させるもの〉の意。

【発（た）て】⚠⛏　 #1,852

　〈まだそうしたばかり〉〈そうしてからまだ状態が変化していない〉の意。

━─━─ № 10-47 (1,610) ─━─━

　　〖あります〗（サ五段動詞）

【是（あ）り参（ま）す】⚠　 #1,853

　〈そのようなものである〉の意。

　へりくだって言う云（い）い回し。

　べつに政治家さん用語じゃないよ。

━─━─ № 10-49 (1,612) ─━─━

　　〖あく〗（名詞）

【灰（あ）苦（く）】⚠⛏　 #1,854

　〈食品中に含まれる不要で好ましくない成分や味〉の意。

　転じて〈質感に独特のくどさがあって接しにくいさま〉の意。

　語源は〔飽（あく）〕。

【灰汁（あく）】⚠　 #1,855

　〈灰を水に溶かした灰（あ）苦（く）をよく含んだ上澄み汁（じる）〉の意。

　転じて〈灰（あ）苦（く）〉の意。

━─━─ № 10-51 (1,614) ─━─━

　　〖たべもの〗（名詞）

【餌（たべもの）】⚠　 #1,856

　〈食べ物〉の意。

━─━─ № 10-53 (1,616) ─━─━

　　〖なふだ〗（名詞）

【箋（なふだ）】⚠　 #1,857

　〈名（な）札（ふだ）〉の意。

━─━─ № 10-55 (1,618) ─━─━

　　〖したり〗（名容詞）

【為（し）たり】⚠　 #1,858

　〈遣（や）ってやった〉〈思い通りにしてやった〉〈遣（や）ってしまった〉の意。

　原語である古語での「為（し）たり」はタリ活用の終止形であって、つまり連用形で言い切りをするものであるが、変則的であるため、実は活用というより慣習的なものなのではないかと想像される。

━─━─ № 10-57 (1,620) ─━─━

　　〖こらふく〗（名詞）

【芹（こ）蘿（ら）蔔（ふく）】⚠⛏　 #1,859

　〈人（にん）参（じん）〉の意。

　おいしい。

　なお［蘿（ら）蔔（ふく）］は〈大根〉の意、「大（だい）根（こん）」は〈よく肥大した根の野菜〉の総称で、一般に〝大根〟と呼称されている野菜の名称は「菘（すず）代（しろ）（〈「菘（すずな）（蕪（かぶ））」に代わるもの〉の意）」。

　そもそも「人（にん）参（じん）」も〈芹（せり）の大根〉であって、その姿が人（にん）蔘（じん）に似る事から「芹（せり）人（にん）蔘（じん）」と呼ばれただけで「人（にん）蔘（じん）」ではないし、〔蔘（艹あり）〕と〔参（艹なし）〕も全然別の字だし、なんかもうメチャクチャやな。

　そういや菘（すず）代（しろ）ってイタリア語で「daikon（ダイコン）」らしいよ。

【胡（こ）蘿（ら）蔔（ふく）】⚠✗　 #1,860

　前提知識を要するため遣うことを推（すい）奨（しょう）しない。

　ここでの〔胡〕は〈the　silk　road（シルクロード）伝来〉の意。

━─━─ № 10-59 (1,622) ─━─━

　　〖やつがしら〗（名詞）

【八（やつ）頭（がしら）】⚠　 #1,861

　〈芋の部分が八つ固まるようにして肥大する里芋〉の意。

　おいしい。

　普通の里芋と違って「葉（は）柄（がら）（芋（いも）柄（がら）：地上部分の葉を支える茎（くき）のような部分）」に蘞（えぐ）味（み）が無いため、芋のほか芋（いも）柄（がら）もよく食用とされる（ショキショキしておいしい）。

　なお蘞（えぐ）味（み）がある品種の葉（は）柄（がら）は、その刺激を利用する性具ともされるため、仏教用語の〈心からありがたく感じること〉の意の「随（ずい）喜（き）」を借りて「芋茎（ずいき）」とも呼ばれる。

━─━─ № 10-61 (1,624) ─━─━

　　〖とりわけ〗（副詞）

【特（とりわ）け】⚠　 #1,862

　〈特に取り上げて〉〈特段〉の意。

　原語は〔取（と）り分（わ）け〕。

━─━─ № 10-63 (1,626) ─━─━

　　〖けったい〗（名容詞）

【怪（けっ）態（たい）】⚠　 #1,863

　〈奇怪（おか）しなさま〉〈怪奇なさま〉の意。

━─━─ № 10-65 (1,628) ─━─━

　　〖けたい〗〖けったい〗（名詞）

【卦（け）体（たい）】【卦（けっ）体（たい）】⚠　 #1,864

　〈卦（け）（占い）の示すもの〉の意。

　転じて〈運気〉〈縁起〉〈運命〉〈奇跡〉の意。

━─━─ № 10-67 (1,630) ─━─━

　　〖こってり〗（サ変名容詞）

【醕（こって）り】⚠⛏　 #1,865

　〈濃くてしつこいさま〉の意。

【醴（こって）り】⚠✗　 #1,866

　字義不相応のため遣うことを推（すい）奨（しょう）しない。

　〔醴〕は〈甘酒〉転じて〈甘い〉の意。

━─━─ № 10-69 (1,632) ─━─━

　　〖こく〗（名詞）

【酉口（こく）】⚠⛏　 #1,867

　〈うま味が深く濃いさま〉の意。

　語源は〈凝縮される〉の意の〔酷（こく）〕。

　〔酉〕は〈酒（さけ）壷（つぼ）〉転じて〈酒〉の意であり、「酉（とり）の刻（こく）」は〈酒を飲むような時間帯〉の意で〈午後五時からの二時間の時間帯〉を指す。

　「刻（こく）」は〈時間帯〉の意であり、日を十二分割したものであるため「一（いっ）刻（こく）」は〈二時間〉を示し、また刻（こく）をさらに四分割して「時（とき）」と呼ぶため「一（いっ）時（とき）」は〈三十分間〉を示す。

　この〈刻（こく）と時（とき）〉を合わせて「時（じ）刻（こく）」、〈刻（こく）の終わり〉を「刻（こく）限（げん）」、〈時（とき）の終わり〉を「時（じ）限（げん）」と云（い）う。

　刻（こく）は二十三時が起点のため〝子（二十三時）、丑（一時）、寅（三時）、卯（五時）、辰（七時）、巳（九時）、午（十一時）、未（十三時）、申（十五時）、酉（十七時）、戌（十九時）、亥（二十一時）〟となり、その四分割の時（とき）をそれぞれ〝一（ひと）つ、二（ふた）つ、三（み）つ、四（よ）つ〟と呼ぶ。

　つまり謂（い）わゆる「丑（うし）三（み）つ」は〈午前二時〉、「丑（うし）三（み）つ時（どき）」は〈午前二時からの三十分間の時間帯〉を指す。

　「十（じゅう）二（に）支（し）」〝子（ね）、丑（うし）、寅（とら）、卯（う）、辰（たつ）、巳（み）、午（うま）、未（ひつじ）、申（さる）、酉（とり）、戌（いぬ）、亥（い）〟は十二進数であり、時刻や十二方位などに用いられるもので、こう並べられても覚えにくいからと字を連想しやすい（そうかなあ？）動物をそれぞれ当てたものであり、つまり本来〔酉〕に〈鳥〉の意は無い。

　十二進数であるから、〝子（いち）、丑（に）、寅（さん）、卯（よん）、辰（ご）、巳（ろく）、午（なな）、未（はち）、申（きゅう）、酉（じゅう）、戌（じゅういち）、亥（じゅうに）〟との読みがあり得ると考えられる。

　［十（じっ）干（かん）］という十進数もあり、これは〝甲（こう）、乙（おつ）、丙（へい）、丁（てい）、戊（ぼ）、己（き）、庚（こう）、辛（しん）、壬（じん）、癸（きい）〟であり、〈十（じっ）干（かん）の一周〉を「旬（しゅん）」と云（い）うもので、つまり〔旬〕に〈具合のよい時節〉〈最盛期〉のような意は本来無い。

　これに由来して〈十日間〉を「一（いち）旬（じゅん）」、転じて月の三分割を「上（じょう）旬（じゅん）、中（ちゅう）旬（じゅん）、下（げ）旬（じゅん）」を示す。

　こちらも十進数であるから、〝甲（いち）、乙（に）、丙（さん）、丁（よん）、戊（ご）、己（ろく）、庚（なな）、辛（はち）、壬（きゅう）、癸（じゅう）〟との読みがあり得ると考えられる。

　［十（じっ）干（かん）］の訓読みは〝甲（きのえ）、乙（きのと）、丙（ひのえ）、丁（ひのと）、戊（つちのえ）、己（つちのと）、庚（かのえ）、辛（かのと）、壬（みずのえ）、癸（みずのと）〟となるが、これは〝木（き）、火（ひ）、土（つち）、金（か）、水（みず）〟と〝兄（え）（陽（よう））、弟（と）（陰（いん））〟を組み合わせて森（しん）羅（ら）万（ばん）相（しょう）の属性を分類する「五（ご）行（ぎょう）陰（いん）陽（よう）」に由来する。

　〈十（じっ）干（かん）と十（じゅう）二（に）支（し）の組み合わせ〉を「干支（えと）〔兄（え）弟（と）〕」と云（い）い、これは〝甲（きのえ）子（ね）＝一、乙（きのと）丑（うし）＝二、丙（ひのえ）寅（とら）＝三、……〟のように〝一桁（けた）目と二桁（けた）目が同時に増加する〟独特な数値表現となるが、十と十二の最小公倍数が六十であるため六十進数となり、したがって干支（えと）は六十で一周を果たすため〈六十年〉〈六十歳〉を「還（かん）暦（れき）」と云（い）う。

　〝生まれの干支（えと）〟というと一般に十（じゅう）二（に）支（し）しか出てこないが、どうか十（じっ）干（かん）の事も思い出してあげてください。（c.f. https://www.original-calendar.com/benri/eto.html）

　以上、中二病患（かん）者（じゃ）の必修項目でした（

━─━─ № 10-71 (1,634) ─━─━

　　〖あづかる〗〖あずかる〗（ラ五段動詞）

【預（あづ）かる】【預（あず）かる】⚠　 #1,868

　〈頼まれて手元に置き保全する〉の意。

【関（あづ）かる】【関（あず）かる】⚠　 #1,869

　〈関与される〉の意。

　転じて〈関知する〉〈恩恵を受ける〉の意。

【与（あづか）る】【与（あずか）る】⚠　 #1,870

　〈関与する〉の意。

　転じて〈導く〉の意。

☞ 〝この件は私があずかる〟について、［預（あづ）かる］では原状ままで保全したり返却したりする事になるため、自身で処理しようとするなら［与（あづか）る］とすべきで、くわえて処理の全権を握ろうとする場合は直後に〝よって手出し無用〟等の断わりを要する。

　〝お褒（ほ）めにあずかった〟は保全して後で返却するものでも自身から与えるものでなく、受けとるものであるため［関（あづ）かった］とすべき。

　まあ区別できないなら全部ひらがなでいいんだ。

☞ 組成は〔存（あ）着（づ）懸（か）る〕と思われる。