哲学魔王の【辞書】

４．中節゠１／２

━─━─ № 4-61 (804) ─━─━

　　〖たいまつ〗（名詞）

【手燎（たいまつ）】⚯⛏　 #1,077

　〈手持ち燎（かがりび）〉の意。

　組成は〔焚（た）処（い）松（まつ）〕。

　針葉樹は枝先に葉が群がるが、これには良燃性の脂（やに）がよく蓄えられている（こいつがまた結構すごい勢いでバチバチ燃える、すぐ消えるけど）ため、この枯れ枝を束ねて枝先の葉を燃やしたのが簡易的な携行灯火として利用されたのが起源。

【松明（たいまつ）】⚯✗　 #1,078

　語義不相応のため［手燎（たいまつ）］を遣うことを推（すい）奨（しょう）する。

　手持ち燎（かがりび）に必ずしも松が使用されているわけではない。

━─━─ № 4-63 (806) ─━─━

　　〖すだく〗（カ五段動詞）

【集（すだ）く】⚠　 #1,079

　〈小さなものが多数集まる〉の意。

　転じて〈鳴き虫が集合して一（いっ）斉（せい）に鳴きあげる〉の意。

━─━─ № 4-65 (808) ─━─━

　　〖うるわす〗（サ五段動詞）

【潤（うる）わす】⚠　 #1,080

　〈程よく水分を含ませる〉の意。

　転じて〈利益を行きわたらせる〉〈豊かにする〉の意。

　「潤（うるお）わす」の古めかしい表記であり、〈水分を含んでいる〉〈恵まれる〉の意の〔潤（うる）う〕の他動詞形。

　「潤（うるお）う」は「潤（うる）わう」の音（おん）韻（いん）変化であり、したがって「潤（うるお）わす」は「潤（うる）わわす」に相当して｛わ｝が重複する事になるため、なんとなく使用がためらわれるもの。

━─━─ № 4-67 (810) ─━─━

　　〖きょしゅつ〗（サ変名詞）

【醵（きょ）出（しゅつ）】⚠　 #1,081

　〈醵（も）ち出し〉〈公共的に必要とされる資源を個人の蓄えから持ち寄って提供すること〉の意。

　〔醵〕は〈金品を出し合う〉の意。

【拠（きょ）出（しゅつ）】✗　 #1,082

　語義不相応のため［醵（きょ）出（しゅつ）］を遣うことを推（すい）奨（しょう）する。

　この表記では〈拠（よ）りどころを提供する〉のような意となる。

━─━─ № 4-69 (812) ─━─━

　　〖すべからく〗（副詞的名詞）

【須（すべから）く】⚠　 #1,083

　〈そのようにあるべくして〉〈必（ひっ）須（す）的に〉〈当然に〉の意。

　組成は〔然（す）可（べか）らく〕。

　漢字で書けば誤用されないのにシリーズ。

　勘違いされがちの「全（すべ）て、総（すべ）て（統（す）ぶ（べ）て）」由来を通そうとすれば「全（すべ）からく、統（す）べからく」になるが｛からく｝の正体がさっぱり判（わか）らない。

　もしも「全（すべ）搦（から）め、統（す）べ搦（から）め」ならば何となく解（わか）らんでもないが、「搦（から）め」が｛搦（から）く｝と送られている例もとりあえず無いわけで、〔然（す）可（べか）らく〕で正しいことが判（わか）りきってるんだからもうそれでいいじゃん（

━─━─ № 4-71 (814) ─━─━

　　〖あいあい〗（名容詞）

【藹（あい）々（あい）】⚠　 #1,084

　〈にぎやかに楽しんでいる様子〉の意。

　〔藹〕は〈おだやか〉〈心がなごむさま〉の意。

━─━─ № 4-73 (816) ─━─━

　　〖わきあいあい〗（名容詞）

【和（わ）気（き）藹（あい）々（あい）】⚠　 #1,085

　〈なごやかでにぎやかに楽しんでいる様子〉の意。

━─━─ № 4-75 (818) ─━─━

　　〖くみする〗（サ変動詞）

【与（くみ）する】⚠　 #1,086

　〈仲間となる〉〈同意する〉〈利益供与をする〉の意。

　組成は〔組（くみ）為（す）る〕。

━─━─ № 4-77 (820) ─━─━

　　〖こうむる〗（ラ五段動詞）

【被（こ）うむる】⚠⛏　 #1,087

　〈身に被（かぶ）る〉〈災（わざわ）いを受ける〉の意。

　〔被（かぶ）る〕が｛被（かむ）る｝を経由した崩し。

【被（こうむ）る】✗　 #1,088

　「被（かぶ）る」と紛らわしいため［被（こ）うむる］を遣うことを推（すい）奨（しょう）する。

【蒙（こうむ）る】⚠　 #1,089

　〈恩恵を受ける〉の意。

━─━─ № 4-79 (822) ─━─━

　　〖ついつい〗（副詞的名詞）

【惰（ついつ）い】⚠⛏　 #1,090

　〈うっかりながら〉〈不為（だめ）と思いながら〉の意。

　〔序（つい）々（つい）〕との原語を一字に集約したもの。

　なお〔序（つい）〕は「次（つ）い」と同源で〈順序〉〈順番〉〈たどる道すじ〉転じて〈ものの拍子〉〈不可抗力的であるさま〉の意。

━─━─ № 4-81 (824) ─━─━

　　〖きれい〗（名容詞）

【奇（き）麗（れい）】　 #1,091

　〈優美なさま〉〈鮮やかで優れているさま〉〈汚点や欠点のないさま〉の意。

【綺（き）麗（れい）】⚠　 #1,092

　〈美麗なさま〉〈華やかで美しいさま〉〈汚れもくすみも無いさま〉の意。

━─━─ № 4-83 (826) ─━─━

　　〖だだ〗（名詞）

【駄（だ）々（だ）】⚠　 #1,093

　〈分別を欠いた我（わが）儘（まま）〉の意。

【沱（だ）々（だ）】⚠⛏　 #1,094

　〈止（と）め処（ど）なくあふれる〉の意。

━─━─ № 4-85 (828) ─━─━

　　〖ねちねち〗〖ねばねば〗（サ変名容詞）

【粘（ねち）々（ねち）】⚠⛏　 #1,095

　〈性質などがしつこくて諄（くど）いさま〉の意。

【粘（ねば）々（ねば）】⚠⛏　 #1,096

　〈物が粘りつくさま〉の意。

━─━─ № 4-87 (830) ─━─━

　　〖ふるまう〗（ワア五段動詞）

【振（ふる）まう】⚠⛏　 #1,097

　〈もてなす〉〈人にごちそうする〉の意。

　〈振（すく）う〉〈振興する〉の意の「振（ふる）む」に〈為（た）ら令（し）める〉の意味合いを附（ふ）与（よ）する｛合う｝が附（ふ）加（か）されたもの。

【勢（ふるま）う】【勢（ふる）まう】⚠⛏　 #1,098

　〈自在に動作や行動をする〉の意。

【振（ふる）舞（ま）う】【振（ふ）る舞（ま）う】✗　 #1,099

　語義不相応のため遣うことを推（すい）奨（しょう）しない。

　なお〈鳥が羽根を振るって自在に空を舞うこと〉の意の古語であり、しかし現代では完全に廃（すた）れているため、この表記は忘れてよいと思われる。

━─━─ № 4-89 (832) ─━─━

　　〖たける〗（カ下一段動詞）

【長（た）ける】⚠　 #1,100

　〈すぐれている〉〈熟達している〉の意。

【猛（たけ）る】⚠　 #1,101

　〈荒々しく行動する〉〈激しく荒れる〉〈暴れる〉の意。

【哮（たけ）る】⚠　 #1,102

　〈荒々しくほえる〉〈大声で叫ぶ〉の意。

【闌（たけ）る】⚠　 #1,103

　〈興奮で行動を抑えれなくなる〉〈闌（たけな）う〉〈闌（たけな）わである〉の意。

☞ 組成は〔甚（た）き得（え）る〕。

━─━─ № 4-91 (834) ─━─━

　　〖おおせる〗（サ下一段動詞）

【遂（おお）せる】【果（おお）せる】⚠　 #1,104

　〈完遂する〉〈果たす〉の意。

━─━─ № 4-93 (836) ─━─━

　　〖よく〗（副詞）

【能（よ）く】⚠　 #1,105

　〈効能的に〉〈入念に〉〈極度に〉〈よほど〉の意。

　「よくわからない」という語を｛良くわからない｝と誤解して〝つまり少しは（曲がりなりには）わかるんだよね？〟との意地悪を言う人がたまにいるが、これは「能（よ）くわからない」であって〈効果的にわかっていない〉の意、要するに単なる〈わからない〉と完全に同じ意味だからちゃんと教えて差し上げろ。

━─━─ № 4-95 (838) ─━─━

　　〖よくよく〗（副詞）

【繁（よくよく）】【繁（よく）〻（よく）】【繁（よくよ）く】【繁（よ）くよく】⚠⛏　 #1,106

　〈頻（ひん）繁（ぱん）に〉〈繁（しげ）く〉の意。

　〔能（よ）く能（よ）く〕との原語を一字集約したものであるため｛々（同の字点）｝は付かない。

　なお「繁（しげ）」の語源は〈綿密〉の意の〔歯（し）牙（が）〕。

━─━─ № 4-97 (840) ─━─━

　　〖かくや〗（成句・感嘆詞的名容詞）

【斯（かく）耶（や）】⚠⛏　 #1,107

　〈こんな事になろうか｟いやこんな事はならなかろう｠〉の意。

　特に答えが判りきっている場合に反語的に遣われる。

━─━─ № 4-99 (842) ─━─━

　　〖ごうぜつ〗⛏（名容詞）

【豪（ごう）絶（ぜつ）】⚠⛏　 #1,108

　〈想像も絶するような豪（えら）さ〉〈想定し得ないはなばたしさ〉の意。

━─━─ № 4-101 (844) ─━─━

　　〖じんぶ〗⛏（サ変名詞）

【刃（じん）舞（ぶ）】⚠⛏　 #1,109

　〈刀剣が容易でなく乱れ舞うさま〉の意。

━─━─ № 4-103 (846) ─━─━

　　〖あやうい〗（形容詞）

【危（あや）うい】⚠　 #1,110

　〈危害をこうむる一歩手前の状態である〉の意。

　語源は〔危（あや）ふ〕。

【殆（あやう）い】⚠　 #1,111

　〈凶（わる）い未来へ至るかどうかの分け目の状況である〉の意。

━─━─ № 4-105 (848) ─━─━

　　〖はかる〗（ラ五段動詞）

【測（はか）る】⚠　 #1,112

　〈水深を測定する〉の意。

　転じて〈現（げん）相（しょう）を測定する〉の意。

【量（はか）る】⚠　 #1,113

　〈重さや容積を測（はか）る〉の意。

【計（はか）る】⚠　 #1,114

　〈数量を測（はか）る〉〈計画する〉の意。

　転じて〈敵を罠に掛ける〉の意。

【科（はか）る】⚠　 #1,115

　〈金額や量刑を計（はか）る〉の意。

【衡（はか）る】⚠　 #1,116

　〈釣（つ）り合いを計（はか）る〉〈天（てん）秤（びん）にかける〉の意。

【評（はか）る】⚠　 #1,117

　〈評価を科（はか）る〉の意。

【諮（はか）る】⚠　 #1,118

　〈上の者が下の者に事情をたずねて科（はか）る〉の意。

【議（はか）る】⚠　 #1,119

　〈問題解決について計（はか）る〉の意。

【謀（はか）る】⚠　 #1,120

　〈企画について議（はか）る〉の意。

　この語自体は悪意を直接含まず、どちらかと言えば［計（はか）る］のほうがその意味合いをよく含む。

【略（はか）る】⚠　 #1,121

　〈間違いの無いように策をめぐらす〉の意。

　悪意の意味合いについて［謀（はか）る］と同様。

【揆（はか）る】⚠　 #1,122

　〈団結する〉の意。

【度（はか）る】⚠　 #1,123

　〈程度を測（はか）る〉の意。

　転じて〈推量する〉の意。

【忖（はか）る】⚠　 #1,124

　〈内心を度（はか）る〉の意。

【図（はか）る】⚠　 #1,125

　〈意図や企図をする〉〈こうしようと思う〉の意。

☞ なんか他にも一杯あるみたいなんだけど拾いきれないや（気力的な意味で）。