天使、冒険者になる。

第6話 街に入る前に服を手に入れなければ・・・。



 天使は落ちたばかり。

 服はあるにはあるが、天の羽衣なのでスケスケなのだ。

 大事な部分は見えないのだが、とにかく地上の服とは全く違う。



 そんな問題にいきなりぶつかった。

 確か、こんな感じ・・・だったような。

 作れるものでもないし。



 このままでは、人間の言う<変態>なのではないだろうか?

 それだけでも<罪>になるという。

 それだけは避けなくては。



 とにかく大きな葉っぱでいろいろ隠そう。


 天でドミニオンの笑い声が聞こえる。

 あーっはっはっはっはっは。


 見てないで、助けてくださいよ。



 街から少しのところで右往左往していると、突然、遠くで悲鳴が上がる。


 次の瞬間には体が勝手に反応して、そちらに向かっていた。

 尚も悲鳴と何かがぶつかる音がする。



 近づくにつれ、何が起こっているかが分かってくる。


 魔物に人間が襲われているようだ。

 どちらも複数の様だが、人間側の方がかなり不利なようだ。



 戦っている場所が見える位置にたどり着くと、光の矢を出して狙う。

 重力に屈することも、空気の抵抗もない光の矢は、狙った場所に確実に刺さる。

 1発目は馬車の後ろで登ろうとする魔物の背に刺さる。


 ギイイイイッ。

 人型の小さい魔物だが、武器を持っているので、武器を持たない者にとっては脅威だろう。


 2発目を直ぐに発射する。

 馬車から離れてはいるが、木々の間から弓を構える魔物が矢を受けて吹っ飛んだ。


 3発目は人間と対峙している槍を持った魔物を捉える。

 首に刺さった場所からは血が飛んで、辺りを血で染めた。


 これであと一匹になった魔物は、ようやく勝てないと知り、慌てて逃げてゆく。



 しかし、対峙した人間もかなりダメージを負っているらしくて、その場で気を失った。


 傷はそれほど深くはないが、あちこちこん棒で殴られてて、打撲と脱臼、骨にヒビでも入っているのか、足が腫れている。


 切り傷は腕に巻かれていた包帯を一部外して縛っておいた。




 生き残りがどこかにいないかと、ホロの付いた馬車を覗く。


 すると、荷台の奥に美しい若い女がいた。



「魔物は片付けた。もう安心して出てきてもいいよ。」

 とバーチューズ様から教わったように軽く話してみて、ホロの中に入る。



 しかし、彼女は青くなり後ずさった。

「大丈夫。私は味方だから。」



「きゃあああああああっ。近寄らないでっ。」

 女性は喚きながら近くにあるものを何でも投げつけてきた。


 あれ?

 そして、今更ながらに気が付く。


「あ。」

 スケスケの腰に葉っぱだけの姿だった。




 あーっはっはっはっはっは。

 笑いすぎです。


 コレ、<罪>になりませんよね?





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