【 5つ目の選択 】


 5つ目の大きな選択は、少し辛いものでもあった。

 私の本心は、その選択をしたくなかったが、そうせざるを得なかった。


 その選択とは、『』という選択。


 女にとってこの選択は、とても厳しい選択でもある。


「結婚したいな……」


 私がある日、彼にそう呟く。

 すると、彼は「結婚はできない」と言う。


 私が一番辛く感じる瞬間だ。


 それでも、彼は私の体を求めてくる。

 私たちは、毎日のようにお互いを求め合う。


 でも、結婚はしない……。


 というよりも……、


 できないという言い方が正しいのだろう。


 今宵も、彼は私に言う。


「美琴、今日も、いいか」と……。


 私は、小さくうなずきながら、今日も拒まない。



「いいよ……、パパ……」



 こんな生活が、あれから20年以上続いている……。



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