【 4つ目の選択 】


 調理師の専門学校へ3年通い、19歳の時に4つ目の大きな選択をした。

 それは、『』という選択。


 彼と一緒に暮らし、毎日彼のために食事を作り、彼に尽くすという選択。

 私が働かなくても、彼の稼ぎだけで生活は十分に成立する。


 それよりも、彼のために美味しい手料理を作って食べさせてあげたいという気持ちが勝っての選択だった。


「いってらっしゃい。今日もお仕事頑張ってね♪」

「ああ、いってくる」


 玄関先で、私よりも背の高い彼に、背伸びをして目をつむりながら顔を近づける。

 すると、彼はやさしく私の唇に行ってきますのキスをする。


『チュッ』


 私は少し照れて、奪われた唇を軽く噛みながら、目を細めて彼に小さく手を振る。

 こんな日常に幸せを感じる。


 買い物に出掛け、彼のために今日も美味しい夕食を作る。

 彼は帰って来ると、決まってまずお風呂へ入ると言う。

 たまに誘われて、一緒に入ることもある。


 そして、専門学校で習った色々なレシピで、自慢の手料理でもてなす。

 いつもそれを美味しいと言って食べてくれる。


 そして、また今日も彼とベッドへ……。


 そんな在り来たりだけど、幸せな毎日がとても心地良かった。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る