【 2つ目の選択 】


 中学へ入った頃、好きだった彼と両思いなのが分かった。

 私はその年上の彼が大好きでたまらなく、恋に夢中だった。


 そして、あの日、私の小さな恋は、実った……。


美琴みこと、大好きだよ」

「私も……」


 とある土曜日、遊園地の観覧車の天辺てっぺんで、初めてのキスをした。

 男の人の唇がこんなにも柔らかいものだったなんて、思いもしなかった。

 胸がドキドキして、時折、苦しく感じることさえある。

 唇も少し震えている……。


 私は彼に恋していたんだと思う。


 その日の夜、私は彼と一緒にホテルへ泊まった。

 彼は、やさしく私をお姫様抱っこで、ベッドへと連れて行ってくれる。

 ゆっくりと私をベッドに降ろすと、彼は私のおでこにやさしく一度、口づけをした。


 男の人の香りをこんなにも近くで感じられることは今までなかった。

 私が恥ずかしそうに上目遣いで彼を見つめていると、彼の大きな鼻と私の小さな鼻が、まるでキスをするかのようにやさしく触れる。

 その瞬間全身に電気のようなものが、走って行くのが分かった。


 彼は、鼻を何度も左右に触れ合うようにすると、ゆっくりと顔を斜めにした。

 私は、その瞬間、まぶたを閉じた。


 そして、ふたりの乾いていた唇は、やがて一つに溶け合う。


 一度、ふたりの唇が離れると、お互い笑い合った。

 その後、また激しく求め合い、徐々にふたりの唇は潤いを取り戻してゆく。


 私の両手は、自然と彼の背中へと回り、服をギュッと握り締める。

 彼も強く私を抱きしめながら、激しく舌を絡め合う。


 そして、彼はゆっくりと私の上着のボタンを上から外していき、まだ完全に成熟していない私の胸に顔を埋めた。


 私たちは、この日、一つに結ばれたんだ……。



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