第4話「アズミの『初めて』」

 (第4話と第5話にはそこまでエグくはないけれど、若干の性的描写があるので、苦手な方はご注意ください)


 どういうことだ?


 なんで押し入れの中で、アズミの声が聞こえるんだ?


「いいよ。それじゃあ、まずは一緒にシャワー浴びよっか」


 いや! 


 今はなぜ隣の部屋の声が聞こえるのかを考えている場合ではない!!


「え? 一緒にはちょっと……恥ずかしい……」


「いいから、いいから! えいっ!」


「あんっ! いやーん!! るみさーん!! もーう!」


 今の僕にすべきことは、なぜか聞こえるふたりの声を聞き取ることだ。


「うわー、やっぱりアズミちゃんっておっぱいおっきいんだねー、何カップ?」


「え……Fカップ……」


 押し入れの中だから当然、暗闇。


 ふたりの女の声を聞き取る、聴覚のみが働いている。


 ……それにしても、アズミのおっぱいってFカップだったのか。


 前から、デカいデカいとは思っていたが、そんなに大きかったとは……


 って、んなことぬかしとる場合かっ!!


 僕は煩悩を振り払い、隣の部屋から聞こえてくる声に、神経を集中させる。


「Fカップ。それはおっきいねー……さてと、それじゃあシャワー、浴びに行こっか」


「うん」


 アズミの「うん」を最後に隣の部屋からふたりの声は聞こえなくなった。


 アズミじゃない方の女……たしかアズミは『るみさん』と呼んでいたような……その『るみさん』の言葉が正しければ、ふたりは現在、一緒にシャワーを浴びているということになる。


 どういうことだ?


 そりゃまあ、女の子同士なんだから、一緒にシャワーを浴びること自体は別におかしくもなんともないだろう。


 でも、真夏ならいざ知らず、今は春だ。


 汗をかくような季節じゃない。


 それなのになぜ、ふたり一緒にシャワーを浴びる必要があるのか?


 わからない。


『るみさん』が花粉症で、花粉を洗い流したいとかそういうことか?


 いや、それならひとりで浴びればいいだろう、アズミは花粉症じゃない。


 ていうか、そもそもシャワー浴びるのに、部屋で服脱ぐ必要があるのか?


 なぜ、脱衣所ではなく、部屋で脱ぐのか?


 わからない。


 僕には何もわからない……





「さぁて、それじゃあそろそろ始めよっか」


「うん」


 ふたりが一緒にシャワーを浴びる理由やらなんやらを考えているうちに、いつの間にかふたりは部屋に戻ってきたらしく、再び声が聞こえてきた。


 僕は答えの出ないことを考えるのをやめて、当然のように、ふたりの声を聞き取ることに集中した。


「それじゃあ、バスタオルは邪魔だから取っちゃうねー、えい!」


「いやん、恥ずかしい……」


 え?


「ウフフフフ、さっきも見たけど、本当にアズミちゃんのおっぱいって最高よね。おっきいだけじゃなくて、形も綺麗」


「そう?」


「そうよー、やっぱ若いっていいわねぇ」


「そんなー、るみさんもまだ若いのにー」


 知らなかった。


 女の子ってのは、ふたりきりになるとおっぱいを見せ合う生き物だったのか……


 って、んなわけあるかいっ!!


「いやー、アズミちゃんと比べたらおばさんだよー、そんなことよりさー、触っていい?」


「ど、どうぞ……」


「うわー! 何これー! すっごい気持ちいいー!! こんなの今まで触ったことなーい!!」


「んっ……」


「ウフフフフ、アズミちゃんも気持ちよさそうな顔してるね。でも、もっと気持ちよくしてあげるね。ベッドに横になって」


「んんっ……」


「ウフフ、出てきちゃったね、アズミちゃんの陥没乳首。すっごくエロい」


「い、いやぁ……」


 正直、声だけでは何をしているのかはわからない。


 わからないけど多分、いやらしいこと、卑猥なことをしているに違いない。


「ウフフフフ、アズミちゃんの反応がかわいいから、もっと意地悪したくなっちゃうなぁ」


「あっ……いや……」


 それが証拠に、アズミは今まで聞いたことのないような淫らな声を出している。


 そしてその声を聞いている僕は、すごくすごく興奮している。


 ありていに書いてしまえば、たっている。


「別のところも触っちゃおー。たとえばー、こ・こ・と・か」


「あっ!!」


 アズミがどこを触られたのはさっぱりわからないが、アズミの声が大きくなって、僕のアレも大きくなった。


 押し入れから、


 出ればいいのに、


 出られない……

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