試験の日 終

 タターン!!

 二発ライフルの銃声が響いた。音が到着した頃には車内には運転手の血液がぶちまけられていた。

 頭部を狙った銃弾が綺麗に頭蓋骨に穴を開けて貫通した。


「敵襲!」

「敵襲!」


 僕が反応できない間に、水車整備士さんたちは臨戦態勢に移ろうと動き出していた。

 僕ら試験合格をした見学者たちは理解する事も出来ないままずっと座っていた。


 ………

 ……

 …


「え?」


 持ってきた武器や食料が根こそぎ持っていかれてから、ようやく身体が動いた。

 意識も正常に戻って思考が加速し、現状を理解した。

 自分の身体中に付着した赤。車内のライトが壊れて点滅してる。写真のように視界が見えては消える。


「みんな、死んでる?なんで僕は生きてる?…」


 分からない。

 戦闘は弱点から攻めるのが基本だと習った。

 けど野盗たちが押し寄せてきた時に聞いたのは


『この車障害者が乗ってやがる。遠足かな?楽しいな!おい!』


 銃を突きつけられ、周りで仲間が屠られていくのを抵抗できずに眺めていた。

 悔しいとかじゃない。

 その眺めの中で、自分の番が来るのを待っていただけで、既に僕は死んでいた。


「あぁ…アアアアァァァァァァ!う、ウオェッグエェッ」


 全ての事象を理解して、嗚咽が止まらなくなった。胃袋の中身を全て出し切っても止まらない嘔吐き。

やがて、僕は痙攣して意識を失った。


 起きた時には街の病院だった。


『かっこよくなりたいなら別の手段があるよ』


 旅人の言ってた言葉が脳裏に浮かぶ。


試験の日 終わり

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