妖魔の地、魔女の言葉、女神の魔法

一度読み始めると怒涛の展開の幕開けです。

読めばすぐにこの作品が面白いと分かり、気になる続きを一気読みしたくなる気持ちになります。

魅力的な設定は脳内で映像化しやすく、アニメ化して欲しい気持ちになるほど世界観やキャラクターが綺麗にまとめられています。

ストーリーも二転三転あり、読み進めるほど惹き込まれます。

完結作品なので一度に読んでしまうという事もできるのですが、あえて何度かに分けて大切に読みたい作品でした。

続編があればそれも読みたいと思わせてくれる作品です。

真実の明かし方がとにかくうまいと感じました。驚きの連続で読み進む手が止まりませんでした。

妖魔という敵は本当に怖い存在です。
ですが、やっぱり一番怖いものは人間の欲なのかもしれません。

ハラハラする戦闘シーンも、人間味があふれる会話も、とても面白いです。

赤リボンの優しさと機転を、ぜひみなさんもお楽しみください。

「妖魔」と呼ばれる異形のモンスターが跋扈する世界。
人類は女神・レイダを崇め、首長が統治する社会「コロニー」に身を潜めて暮らしている。

高校生の美紗紀は採取班に配属され、鉄棒やスプレー、クロスボウといった僅かな武器だけで、妖魔の世界に趣き、調査を進めるが……。

SF的な世界での女子高生のサバイバルサスペンスなのかなと思って読んでいたのですが、独創的な世界観の中で、速いテンポの展開が魅力的な作品です。

美紗紀がどんな感じの外見だから「赤リボン」と呼ばれているのか、個人的には謎なので、いつか解き明かされることを期待しています。

一見、ホラー系かと思いきや、危機に陥った時のヒューマンドラマであり、主人公である少女の成長の物語。
頼りない少女が、危機に継ぐ危機を乗り越え、どの様に感じ、どう行動していくのか、彼女の内面の変化も見どころです。

突如として異変に襲われた世界。
環境も社会も何もかもが激変し、常識の通用しない場所での物語。

凶悪な妖魔に為す術も無く、狭いコロニーに閉じこもった人々。常にだれもがピリピリしており、力で無理矢理押さえつけるような危うい秩序での生活。
極限状態だからこそ集団の結束と協力が必要なのに、追い詰められるほどに強く表れる個人の欲望と怒り、それに続く対立。
全方位から謎と危険が迫る、サバイバル小説です。

序盤から終盤まで、緩むことのない怒涛の展開に驚愕しました。

緻密に伏線が織り込まれ、１つ１つの謎を解き明かしながら読み進める快感と、異形（むしろ、それ以上に恐ろしい人間）との戦いという緊張感溢れる迫力が味わえます。

特に、荒廃した世界の中で極限状況下にある人間達の心理描写が真に迫り、圧巻です。

いずれの要素も魅力的で、一度読み始めれば続きが気になりついつい止まらなくなるはず。
ぜひ多くの方に読んでいただきたいです！

終末世界とも言えそうな、妖魔の襲撃におびえながらコロニーの中で僅かな人々が生き残っています。
主人公は非力な女子高生ですが、仲間や女神の助けを受けながら、世界の謎・人間関係を解き明かしていきます。

序盤は終末観漂う世界のリアリティを感じつつ抱いた謎が、終盤に明らかになっていく流れが非常に秀逸で、他には見当たらない世界観が展開されています。

妖魔という化け物が跋扈するようになった世界での、サバイバル。

驚くべきことに、息もつかせぬ怒涛の展開が最初から最後まで続く。

無駄がそり落とされ、美味しい部位だけを調理したような、凝縮されたストーリー。Webで読むより書籍で読むほうがしっくりくるような構築感。

コロニーの外には妖魔がはびこり、中は欲深い人間の巣窟。
そして女神と崇められる女性の存在。
常に危険と隣合わせの世界で、主人公の「赤リボン」は何を信じ生きるのか。

突然変わり果てた世界で、女子高生が真に信頼できる者を見付け、共に戦い抜く物語です。
妖魔や襲いかかってくる植物など異世界の描写が丁寧で、無理なく世界に入り込み迫力ある映像として物語を読み進めていくことが出来ます。
妖魔とはどういう生き物なのか。魔女とはどんな存在なのか？
この世界で生き抜くために、本性むき出しになった大人達は妖魔よりも恐ろしい存在です。誰を信じ、誰を疑うべきなのか？
迫力ある展開の中でのミステリーの要素も魅力です。

シーンごとの丁寧な描写が素敵です。