第28話 念願のプロポーズは突然に。



「オ、お前が、けしかけたんだからな!」

泰真は信じられないような真面目な

顔で言った。


「えっ、ええぇぇぇー

ど、どうするつもり!」

茉穂は着物姿でタジタジ


「うるせー

黙ってろ!」

泰真の車は市役所へと走る。

茉穂は慌てて声をあげる。


「アアハハハハう、うそ、

あ、あれは冗談、冗談

冗談だってバ!!」


「今更、冗談で逃げるのか?

俺は気持ちが固まった

おまえは俺のものだ他の男と

何やってんの!」



「え?見合い!だよ。」


「💢は、それは分かってるし!

見合いしていいって誰が言った!」



「家族だけど!」


「アホか💢

お前の家族は俺だろうが」



チンプンカンプン

(ーωー;)?「いつから?」


「江戸時代中期からだ!

多分・・だけど」

茉穂は益々、ちんぷんかんぷん




市役所へ着くと荒々しく車のドアを閉め茉穂の手を掴み又泰真は歩きだした。

まるで自分の意志が変わらぬウチにやっちまえみたいな感じの早足で歩く、キョロキョロしながら、戸籍、戸籍と呟く。



「あ、あった‼️」


泰真の足は迷う事無く戸籍課の方へと進む。


「クスッ泰真大丈夫?あんた

もう引き返さないよ

ワタシ!でいいの?」


茉穂も着物着てるのも気にせず大股で必死に泰真に付いて行く。


泰真の足が少し優しく緩くなった時

茉穂の顔を見て泰真は言った。


「こんなドキドキ、ハラハラ

させられるなら、早めに結婚して

俺の物にして置いた方が心臓に

いい。」

市役所の戸籍担当課に着いた泰真は

ツカツカと進み婚姻届をもらっていた。

その後ろ姿は凛々しくやはりカッコイイと茉穂は思った。




婚姻届を手にした泰真は急に

たくさんの人がいる場所で


「茉穂、結婚してくれ

今は指輪も無いけど

君と一緒にいたい。」


と跪き茉穂の手を取ってプロポーズ

をした。慌てて後を追ってきた大河は、急接近に驚いたがスマホを取り出しニヤケながらその様子を取っていた。



シ━━━━━━━ン


ザワついていたその場が泰真の一言で静まり、たくさんの視線が茉穂に集まった。

茉穂は振り返り戸籍担当者に


「📣離婚届けも下さい。」

と大声で茉穂は叫んだ!


その場にいた人から笑い声と拍手が

鳴り止まなかった。


「兄ちゃん、浮気すると

即離婚って意味だぞ

いいか?」


「そうそう気をつけやー」

「捨てられないようにしろやー」

面白可笑しく沢山のヤジが飛んだ!


おめでとうー

おめでとうー

の祝福の声は鳴り止まずそこにいた人を喜ばせ、幸せにした。

泰真は矢張り普通の男ではなかった。

こんな事をやってのける。


結婚式の退場の様に2人は沢山の人の拍手に頭を下げながら市役所を出た。


茉穂が後ろから離婚届けをピラピラさせながら着いて行く姿は笑いしかおこらなかった。



そして、着物姿で泰真の親に挨拶に行った。

親父は居なかったが母の連絡に

飛んで帰ってきた。


「俺、コイツと結婚する。

コイツじゃないと駄目。」


両親を前にして茉穂はタジタジ


「茉穂さん?ダッケ

えーとコンナンデいいの?

遊びは・・その~あのね」


歯切れの悪い泰真の母親は多分

「こんな女遊びの激しい

結婚も35迄しないと言っていた

バカ息子でイイノ?」

と言いたいのだろう。


「えっと・・・じゃあ

これも書いて

ください。」

と婚姻届に名前を書いた泰真の両親の前にもう一枚紙を広げた。

泰真の両親は、ぶったまげた!


なんと離婚届をピラピラとテーブル

の上に広げられサインを要求された

からだ。


!!スゴッ ウワッ!‼

両親はビックリポン‼️


ガタガタ震える手で証人欄に両親が記載、婚姻届より時間がかかった。


「お、面白いお嬢さんだな!

た、泰真、だ大丈夫か?」


「大丈夫な訳ないだろオヤジ

ビビってるよ

俺だって」


「お、おう、そうか・・・」

茉穂はニッコリ笑い

「浮気しなければ済む話です

お義父様、お義母様宜しく

お願いいたします。」



「ああ、こ、こちらこ・・そ!」

茉穂は引いている泰真の親に

ニッコリと怪しい笑い。

ゾワッ

ビクッ!?とする泰真両親

まあ話も何とかまとまり、

泰真の親を引き連れて茉穂の実家へと移動。


すると泰真の親、真知田泰樹は首を傾けた、「ここ?って!!」


結婚しないと言っていた息子が急に嫁にしたいと茉穂を連れて、彼女の実家に来たのだ。

そりゃービックリする訳だが

なんか違う!

親の驚き方がなんか違う!


泰真とは違い義父となる彼は優しいふっくらとした顔の穏やかな人だ



対して義母となる茜は泰真によく似て厳しい顔を見せていたが

茉穂を嫌いなわけじゃない、しっかりと物を言う所も気に入っていた。しかし

華枝凛太郎の家の前で???

と両親はポカーン



「兎に角、承認の欄にサインして」

と言われ息子の気が変わらないウチに婚姻届に、サラサラサラーとサインをして


その場流れで結婚を申し込みに華枝家へと乗り込んで来た・・が

泰真の両親の茜も泰樹も顔を見合わせていた。


「茉穂さんは華枝と言ったね。」

泰樹は考え込みながら聞いた。


「はい。」

茉穂も泰真の両親を前にして緊張

しない訳がない。

平気な顔して内心は┣“キ┣“キ



「もしかして華枝凛太郎の娘さんか?ココ凛太郎の家だけど」


「はい父は華枝凛太郎です

父をご存知ですか?」


それを聞いていた泰真の両親は・・・

(;`Д´)<お゙お゙!お゙お゙!マジか‼️

途端に嬉しそうな顔をした。


「アイツは未だ寝てるぞ

飯でも食って出直すか?」


「そうね、昨日飲みすぎて

いらしたもの」

と、なんか訳分からない相談をしていた。


泰真も茉穂もなんの話かわからない

「ダメです、この勢いで行きます」

そう言ったのは泰真だった。

今勢いで進まなければ又足踏み状態になってしまう。

泰真は無駄だと言う両親を振り切り玄関に立つ。


「ただい」


「まて、俺が先に名乗る!」

と泰真は茉穂を引き止めた。

すると萌さんが出てきた。


「あれ??真知田様どうされまた?

あれ?

お、お嬢様?」


突如現れた茉穂と泰真、オマケに真智田夫妻に萌さんはビックリした。

「お父さんは?」

茉穂がニコニコしながら聞くと


アタフタしながら答えた


「今朝お嬢様を見送りされた後

寝ると仰っておやすみされています。」


そう言っていると

「萌さんどなた?」

と母の声がした。


「あら、茜どうしたの?泰樹さんまで、え、

2人揃って?あれ茉穂・・どこで会ったの

・・・え?どう言う事?」



そんな会話の中、萌さんだけピンと来た様子で喜びの声を上げた。



「まあ、まあ、まあー

旦那様を起こして参ります」

萌さんはそう言うと嬉しそうにすっ飛んで行った。


「なんだ萌、騒々しいぞ!」

会社に帰ったはずの宗次郎が出てきてギョッとして泰真を見た‼️


泰真も覚悟していたが宗次郎は

「やっと来たか!」

と言いながらも後ろに立っている

泰樹と茜を見ながら目を丸くした。



「真知田さん?どうして⁉️

父に御用ですか?」

宗次郎が泰真の父親に聞いてきた。



「いや、今日は息子の縁談で

来ましたよ。」

泰樹は頭をなでながら茜を見た。

茜も静かに頭を下げた!


「やめてよー茜どーしたの?泰樹さんも、早く入って、入って」

と母が言う。


広いリビングに通されて泰真もビックリしていた。泰真はアメリカにいたため宗次郎と凛太郎にも面識が無かった。親同士が親友を超えた間柄と言うのも知らなかった。

泰真の両親も外国生活が長く

茉穂とは小さい頃会ったままだ

日本に帰って来た頃茉穂は華枝家をでている。

以来、茉穂とも会った事も無かった。


「んー俺は泰樹に飲まされて

未だ眠いんだよー

文句なら泰樹に言ってくれ」


寝ぼけ眼でパジャマ姿の凛太郎が目を擦りながら出てきた。


昨日迄、泰樹と凛太郎は

会議という宅飲みをしていた、なんでも珍しい酒を海屋の女将から

送ってもらったので飲めない凛太郎を引っ張り出して飲み明かしたようだ。




「そりゃー

悪かったナ

お前酒弱すぎ!」

と泰樹は大笑い。


「ん?なんで?泰樹が?」

今度は両目をゴシゴシする凛太郎


「又酒か

珍しい酒が入ったと

俺を呼ぶのはやめてくれ

お前には美味くても

俺にはサッパリ味がわからん

もう今日は無理」


と泰樹を見ながら凛太郎は呟いて

クルリと踵を返し部屋へ帰ろうと

した。

すると泰樹は泰真の足を軽く叩き

合図した。


ソファーに座っていた茜も

宗次郎と凛太郎と結莉乃はもうビックリ‼️


茉穂はニコニコ

「ふつつかな息子ですが

茉穂さんとの縁談御承知して頂きたくお願いにあがりました。

お願いします、息子の嫁に

茉穂さんを頂きたい!」


三人は頭を床につけた。


「大事に致します

茉穂さんを私に下さい。」

泰真も頭をさげる



凛太郎の眠気もブッ飛んだ


「頼む凛太郎、いや華枝さん」

ボーッと突っ立っている凛太郎に土下座する泰樹の頭がまっぽし見えた


「コイツも年取ったなあ

もう少しするとバーコードハゲに

なるんやろなぁ

少し薄くないか?」


凛太郎は自分の頭を撫でながらそんな事を考えていた。



「いいだろう

泰樹、茜ちゃん

泰真君、茉穂をよろしく

頼む!じゃねる。」

そんな凛太郎の首を掴み海屋に

仕出しと酒を泰樹が注文


「めでたい㊗️凛太郎飲もう!」


海屋の女将と大将が連れ立って来て

泰樹の家族と凛太郎の家族と海屋の

夫婦で飲み会が始まった。

茉穂の父親は無理、無理言いながらも飲まされて直ぐつぶれた。


「あなた、飲めないんですから

直ぐ寝た振りがいいワ」

と妻がコッソリ入れ知恵をしてくれた。


「その手があったか!」

と大喜び!!


宗次郎も泰真に言った。

「お前あの桜子とはなんでも

ないんだよな!」


「勿論!誓ってなんでも

無い‼️」



「まあ、そんならいい

しかし、茉穂を騙したりしてたら

許さねーからな!」



「当たり前だ!」

泰真もムカついたが義兄となる宗次郎に頭はあがらない。

そんな時桜子から電話・・が

宗次郎がすかさず携帯を握り

スピーカON


「もしもし、泰真さんですか

昼間はどうもありがとうございました。」

泰真の携帯のスピーカから聞こえた

声は桜子じゃあ無かった。

それに続き

「泰ー君、本物のパパがいたのー

私達パパとくらすんだヨ

凄いでしょう。」

と嬉しそうな晴音の声が響いた。


「ああ晴音、良かったな」


「うん。」


「今度パパも連れて遊びに

おいで、俺も結婚が決まったんだ。」


「おめでとう、泰真」

桜子も嬉しそうに呟いた。


「いよいよ独身卒業ね

今までありがとう。

バスケ部の皆にいいたいわ。

ほんとにありかとう。」



「おう、言っておく

桜子も幸せに

なれよ。」



「うん、泰真、私ね本当は」


「ああ、幸せにな!」

桜子の言いたいことは何となくわかった、しかし、俺はこたえれない!


もう俺のレールは敷かれたんだ‼️

茉穂と並んで



それから結婚式の準備がトントンと進んだ。



泰真のタワマンは売りにだされ、茉穂と泰真は一戸建てを用意した。

泰真のベッドには寝られないし

寝ようとも思えない。


引越しの時ドーベルマンは

ドーベルマンの生まれた家に返される事になったが茉穂は未だ知らない。


茉穂は普通にアランとエルの到着を待っていたが中々来ない!


そして引越しが終了した。



「泰真、あの子たちは?」

茉穂は不安になって泰真に聞いてみた!


「だれ?」


「アランとエルよ、まだ来ないのよ。」

泰真は茉穂の言葉に唖然


「どうしたの?」


「アランとエルは手放した

茉穂が嫌ってると思って」


「はぁああああーなんつーう事

やってんの!

あの子たちは家族だよ、どこどこに

やったの!」



「アメリカの・・アイツらの生まれた家に・・・」


「駄目ー連れ戻しに行く‼️」


「いいのか茉穂、お前嫌ってたろ」


そんな泰真の話をきかず

「早く早く早く」

とせき立てた。

茉穂は今までになくあわてて輸出検疫を受けるであろう動物検疫所に電話をして引取りに走った。



アランとエルは丸くなって居た

まるで捨てられた子供の様に項垂れていた。


その時遠い昔の子供たちの事が

チラッと浮かんだ。なんか夕日を見て「帰らなくちゃ」

と思ってしまった。


しかしどこに?


「エル、アラン!」

茉穂は2匹に駆け寄った。

その声にハッとしたアランとエルは立ちあがった。

茉穂に飛び付いて全力で喜びを現している、それは勿論茉穂も同じだ


2匹の首に手を回して茉穂は泣いた

捨てた子供を見つけた気がした。


「初めは仲悪かったけど家族だよー

馬には乗って見ろ、人には添てみろって言うじゃん」



「ごめんね、アラン、エル」

2匹のゴツイ頭をなでなで


「オラオラーゆうこと聞かないからこうなるんだよー帰るぞぉー!」

茉穂とアランとエルは抱きつきながら歩いていた。

茉穂が真ん中で二足歩行の犬は肩を組みながら

.。oOいつ覚えた芸だ?

泰真は首をひねる、あんな仲良かったか?


その夜はアランとエルと茉穂と抱き合ってねた、少しスリリングな長いながーい1日だった。


俺が茉穂に近寄ると俺をベロベロと舐める。エルに近寄ったとエルは勘違い

アランの頭を撫でてみる反応無し


ヨッシャャャャー

アラン側の方からそーっとそーっと

茉穂をポンポン、 ナイス☆!!


エッ"起きない!うそぉぉ


アランが寝返りうってギョッ

泰真も目が合ってジー


´「なんか用か?」

みたいな顔をする。


泰真は撃沈、すごすごとベッドに戻るが、アランが後を追って俺のベッドへついて来たアランは俺が1人寝をしている事に群れで過ごすDNAをもつ犬は俺に同情したらしい。


「違うぞ、寂しいんじゃないオレ

発情期なんだよ、オレ発情期!」

アランに教えてやる。


理解出来なそうだ!

「お前じゃなくて茉穂と

子作りしたいんだ❤」

しかし・・・ムリなようだ

アランは大の字になってグーグーグーグーグーグー

親父のように寝てしまった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る