第13話 とある企業からのスカウト
ある日の夕暮れ、配信のサムネを作ったりしていると、とある企業からdmが来た。
「最上ころん様、お世話になります。株式会社ライブウィンドウ、営業部の加藤尚子と申します。今回ころん様にdmを送らせていただいた理由としてはvtuber事務所インサイド3期生募集に際してのご連絡となります。普段であれば経験者の方にオーディションを受けていただき、新しい姿でデビューとなりますが、ころん様の場合は3期生ないし特別枠としてそのまま移籍していただけることができます。長くなりましたが、お考えいただければ幸いです。」
なんと大手事務所からのスカウトのようだ。
私もここまで来れたんだな……と自分に浸っていると、追加でdmが来た。
「ご連絡はこちらにお願いします。大阪府豊中市東豊中○丁目」
もちろん二つ返事で話でも聞きに行くというていでその日のうちに書かれていた住所へと向かった。
ここがインサイドの事務所か……西のカドライブと言われている割には結構郊外にあってびっくりした。
外見というと……とても昔からの日本家屋のような感じだ。塀で囲われており、3階建ての高級家屋、推定一億はくだらないだろう。
前でウロウロしているとミステリアスな女性が出てきて私に話しかけてきた。
「お待ちしておりましたころんさん、dmをさせていただいた加藤尚子です。改めてよろしくお願いいたします。では中へどうぞ」
「よ、よろしくお願いします」
内装を見た私は外見との違いに驚愕した。見た目は昔からの日本家屋のようだが、内装は近代的なオフィスの作りだ。
キョロキョロしているといつの間にか応接間のようなところに立っていた。
「では、こちらにお座りください。」
「は、はい」
「早速ですが、ころんさんに我が事務所に移籍していただきたいです。移籍していただくことによって現在ころんさんはお知り合いが少ないよですが、当所属vtuberとのコラボも望めます。他には優先的に案件などを回させていただけます。こちらの取り分としてはスーパーチャットの20%及び案件の40%となります。ほかにもマネジメントなどもさせていただくのでころんさんにも悪い条件ではありません。」
いや、それ個人事務所作った方がコスパいいじゃん!それに勝手な考えだけど初期のスタートアップのために所属するのであって個人で上手くいってる私は入る理由がありません!
……それに私が個人でノウハウなしで始めた理由は未羽ちゃんのようになりたいのもあるし、個人の方がルールにとらわれずに自由な配信ができるからだから。
他の理由としてはあまり言いたくは無いけどインサイドの事務所には黒い噂がある、ブラック企業だから〜というのもあるが、そんな生ぬるいものではない、内部でいじめがあり失踪したvtuberがいるほど劣悪な事務所とされている。私に確かめようはないが、実際最後の配信をせずに半年以上音信不通のvtuberもいるくらいだ。
最初は有名企業からのスカウトで嬉しすぎて興奮したけどやっぱり断ろう、私の器にも合わないし、あの黒い噂が本当なら取り返しのつかないことになりそうだから。
「加藤さん、せっかくお誘いしていただいて申し訳ないのですが、今回は辞退させていただきます。当分は個人で頑張らせていただきます」
「そうですか……とても残念です。では、これからも頑張ってください。後から後悔しても遅いですからね〜w」
「ははは」
そんなこんなで少し雑談をした後にインサイドの事務所を後にした。
これからほぼ毎日配信して登録者100万人に行ったりして成長するもんだと信じてやまなかった。
そんな日常もいつか突然と壊れると考えるとどこか儚い。
「後悔しても遅い」この時は何気ない一言だけど少し引っかかるような気もする。
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