第16話 負けられない試合

 試合が始まった。

 開幕から、全英雄がレーンに動き出す。

 チーム『不滅の騎士』は陸の『巨人タイタン』と圭太の『女神ダナー』、はトップ、中央へと目指す。彰人の『女神ケルフウェリー』は単独にボトムへと向かい。

 そして、残るのは、

『おっと!これは珍しい組み合わせだ!ミッドに『孔明』と『光の神ルー』が向かう!』

 翔の『孔明』と光の『光の神ルー』がミッド、一番戦略として大切な戦略上でと向かう。最弱と言われている英雄と最強と言われている英雄の組み合わせの行動にこの場の全ては混乱するだろう。

「みんな作戦通りに!」

「ええ」「はい!」「おお!」「あいよ!」

 翔の返事を応えるように返事をするチーム。

 賽は投げられた。勝利するのは相手を知りえない戦法を使わなければいけない。最弱と言われている英雄は最弱ではない事をこの場のみんなが知っているからだ。

 サポート英雄『孔明』、サポートでありながら味方への回復を持たない英雄。その代わり回復ではなく、味方の攻撃力上昇、防御力向上、攻撃速度を向上と言う特殊なスキルがあり。この技の使い方は英雄への能力向上が多いため、逆に使いにくいとも称されている。

 結果、最弱の英雄と評されている。

 しかし、翔はそう思わなかった。この英雄に使い道はあると考えている。

「ミッドに到着。ミニオンを先に先行させます」

『まあ、……基本の基本だけどね』

 マイクを通し、光の愚痴は全員に聞き渡る。

 確かにここまでは基本だ、作戦でも何でもない。基本の戦略、レベル1の英雄が相手のタワーを倒す事は出来ない。大人しく戦力を上げるのが鉄板だ。

『ミニオンの交戦が始まった!さあ、両チームの試合が本当に幕を開けた!』

「っ!」

 実況者の熱狂で翔の手は汗をかき始める。

 本当の試合が始まる。試合への緊張が一気に指先まで痺れを感じる。

『落ち着いて。深呼吸して、作戦通りに』

 すう、はあと光の助言通りに深呼吸する

 すると考えを改める。心拍数も落ち、指の痺れも消えていく。

「じゃあ!行きましょう!」

『ええ』

 軍師と白銀の騎士がミニオンに続いて交戦場へと向かう。

 ミッドに必ず英雄は来る。誰が来るのか?アタッカーなのか、あるいはタンクなのか?

 と、間もない思想は終わる。

『よくぞ、来たわね!にわか』

「魔神バロール……」

 いきなり天敵と出くわした。

 それも最高と言われている英雄にだ。

 ミニオンの交戦の背後に神と立っている大きな肉体の男性とその片方を隠した魔眼。身長4メートルまである英雄、最高として災厄な敵がそこに居た。

『早速ファーストブラッド貰うわよ?』

 鈴子の声が終わると、魔神は突っ込んでくる。

 ミニオンを無視し、その奥に立っている軍師を狙って一直線に走る。

 ファーストブラッド、最初に英雄を倒す事でゲームの画面に表示される。盛り上げるためにゲーム上表示されるものだけではない。経験値を1.5倍追加されるギミックがある。最初に倒されるのは相手に有利を与える事になる。避けたい事だった。

「いきなり!?」

『先手必勝よ!』

 魔神は自分と同じ大きさな巨大な剣を振り下ろす。軍師へと一撃を入れようとする。

 ドン、と岩が砕ける音がした。

 直撃を食らった!軍師はタワーまで飛ばされる。ダメージは三割も削られる。

『翔!』

「大丈夫です!」

 『孔明』の体力が低いのも一割あるが、事実『魔神バロール』の攻撃力が高いのも一理ある。タンクでありながらアタッカーにもなれる、最高の英雄は伊達ではない事を証明している。レベル1の開幕からこの威力だ。

「いまです!」

『ええ』

 深追いした魔神に騎士は交戦する。槍を素早く、刺す。

 シュッ、と風を切りその槍は肉体を刺す。

『そんな攻撃なんて意味はないわ!痛くもない』

『でも、反撃できないでしょう?』

 シュシュシュ!と素早く槍の舞は肉体を突き刺す。

 何発も与えるが、魔神は反撃しない。いや、反撃できないからだ。

 魔神バロールは重い一撃に攻撃速度が遅い、アタッカーとして分類されないのはこの所為である。

『もう!』

 と、魔神の激怒したのかように動きだす。

 攻撃態勢を取り始めた。

「いまだ!」

 軍師は手で持っている、羽扇を前に示す。

 すると、スキルを一つ発動させる。

「『軍師の指示』」

 翔はそのスキルを発生させた。『軍師の指示』、味方対象一人を攻撃力上昇と速度を上げる。

 ここで、翔が対象を取ったのは……

『ミニオン?』

 一般兵、ミニオン一体にその能力を与えた。

 雑魚的な兵士にバフを掛ける。みんなから見ればあり得ない話でもあった。

『あっと!翔選手ここは操作ミスか!?ミニオンにスキルを発動した!』

「いいや。作戦通り」

 熱い実況者に翔はにやりと答える。

 本来この技のクールダウンも少ない。10秒程度だ。だから、実は操作ミスでもなんともなれるスキルだ。

『あんた、私をなめているの!』

 魔神は軍師の姿を見つめる。

 どうやら、舐めプされたと思わされた。魔人は軍師をにらみつける。目標を軍師に定めようとした。

「退避!」

 やばい!と思い軍師はタワーの後ろへと撤退する。安全地帯へと避難をする軍師。

『ふん!初心者らしい行動ね』

「勝利の確立がない限り戦場に行く戦士はいません」

『絶対に倒(キル)してやるわ!』

「さあ、どうでしょう」

 軍師は一度撤退する。

 だが、効果を受けた一般兵は相手の一般兵を攻撃する!

 そして、攻撃力が高い翔チームは相手の一般兵を次々と壊滅していく。

 それも翔のチームに経験値が入っていく。翔チームはすぐにでもレベル2になり、鈴子のレベルはまだ1であった。

 彼女たちは何も知らず、ただ「孔明」を攻撃しようとする。

 だが、タワーの魔弾で道を阻まれる。

『卑怯者、絶対に殺してやるわ』

 鈴子は悔しそうに語る。

 だが、翔は物事が順調であることを確信する。

(……よし、相手はこのことに気付いていない)

 モニターの外では翔は全員を見つめる。アイコンタクトするように合わせると、チームもその翔に合わせて頷く。作戦通りに行っているのだと。

「僕たちの勝利はレベル10以降だ!いまは耐えよう!」

『『『『了解』』』』

 作戦をもう一度伝える翔に全員は同じく返事をする。

 さて、死なないようにこの作を繰り返す。簡単なお仕事が始まろうとする。

 種は撒いた。花を咲くように順序にすればいいだけのこと。



「撤退!」

『またなの!』

「勝てない勝算には挑みませんよ」

 軍師はやはり撤退する。魔人の前では無力であることを理解しているため、逃げる事が重用だった。

 亮は繰り返し、前衛にたち、一般兵に強化して、撤退する。

 そこ繰り返しルーチンワークをしていた。

 そうすることで相手の一般兵の数を削っていった。相手のタワーにもちょくちょくとダメージ入れて、タワーの体力は半分にでもなった。

 だか、バロールはそんな子細工を知らない。

 一般兵同士の戦いに自分たちが不利であることに気付いていないのだ。


 あれから5分。

 翔のレベルは13に達している。鈴子チームのレベルは10だった。そろそろ必殺技や乱戦が始まる熱い頃合いでもある。ここで注意すべきはやはり『魔神バロール』だ。相手を即死させる効果は対処出来ないもの。

 それに、

『ずっと、逃げられると思っているの?』

 レベル10、と言う事はゲームの中盤戦に突入。体力も序盤よりはるかに高く。タワーの攻撃にはひるまないだろう。

 魔神は翔が読み通りに突っ込む、最前線を超えて来る。

 その重い大剣は大地に引き摺り、土煙を立てながら軍師へと向かってくる。交戦しているミニオンを突破する。

『ここまでよ!』

「第三のスキル。『鶴翼の陣(かくよくのじん)』!」

 軍師は羽扇を魔神へと向ける。青陣のミニオンは交戦している事に中止し、軍師のあとから来たミニオンもその羽扇の向き先を見つめる。

 すると、魔神の速度を落とす。

 いや、落とされた。

「そこまでです」

『な、なによ!これ!なんでミニオンに囲まれるのよ!』

 魔神の操作主は混乱に落ちった驚愕を上げる。

 それもそうだろう。魔神は青陣のミニオンで道を塞がられ、一斉攻撃を仕掛けられている。

 前衛は剣で魔神を襲う。

 前衛の次の衛は槍で魔神を刺す。

 後衛は魔法を撃ち、魔神に当てる。

 魔神の前方6体と後方4体は陣形を立てた青陣のミニオンに囲まれた。合計10体のミニオンだ。挟み撃ちにされたのだ。

 いくら最強な英雄とは言え、道を塞がられたら歩く事は不可能。

『なんと!鈴木選手!いきなり、邪魔が入る!ミニオンが陣形を取っている!素晴らしい!』

 実況者も熱く驚愕している。観客も『おお!?』と声を上げていた。

『まさか!これが策だと言うの!?』

「その通り」

 軍師は安全地帯から魔神の苦戦を見つめながら、答える。

 ミニオンに操作主はいない。自動に歩き、誰も操作できない、からくり人形のよう既に設定された道と攻撃を行う。優先順位は、敵ミニオン、タワー、英雄となっている。しかし、英雄が攻撃するとその優先順位が変わり、英雄を攻撃するようになる。

 ようするに、ミニオンの交戦中は英雄に攻撃しないはずだった。

 しかし、

「『鶴翼の陣(かくよくのじん)』のスキル、それはミニオンの陣形をさせ、一体の目標を攻撃する」

『なっ!?そのスキルを選択したって言うの!?陣形なんて、陣形を作れるミニオンがいなければ意味がないスキルよ!』

「その通りです。最弱英雄の戦い方なんてこれしかありません」

 デリミットもある。鈴子が説明した通り、陣形を作れるミニオンが居なければ意味がないスキルなのだ。ミニオン、味方の雑魚を優先しなければないスキル。だから、翔は攻撃向上や攻撃速度向上をミニオンに仕掛けた。味方のミニオンが咲いてより少しでも有利にするためにも。

 しかし、それを使ってもハイリスクハイリターンのスキル。試合で使うスキルではない。ネタで使われるスキルが多いのだと常識で知らわれている。

「撤退します」

『言いましたわよ?逃がさないと…『魔神の炎(バロール・ドーハスーラ)』』

 フォ!と魔神の周りは炎を放つ。

 一瞬にして、囲んでいるミニオンは倒された。周りは炎の海へと変わっていく。

 全てを焼きつくすように全て燃やした。

 そして、安全地帯に立っている軍師を見つめる。

「さすが、最強の英雄。一つのスキルでミニオンは全滅した…」

『どれぐらい雑魚を並んでもバロールには無意味よ!』

 魔神は炎の海の中であざ笑う。

 それは戦力を持たない最弱の英雄への侮辱なのか、するとも自分の強さを証明をしているのか、軍師にはわからない。

「光さん!プランCに!」

『わかったわ』

 軍師は指示を指すと、白銀の騎士は森へと飛び込む。戦場から撤退していく。

 次に魔神の行動を読んで指した指示であった。

 この場で白銀の騎士は魔神に対抗できない。

『終わり!』

 魔神の邪眼は解放される。

 暗黒な光がその瞳へと流れ込む。絶対の死を宣告するような邪悪な瞳。

 もはや、防ぐ事は出来ない。絶対防御を無視する瞳である。

『『バロールの魔眼!』』

 魔神が邪眼から闇を放った。軍師へと一直線に放つ。

 定められた敵に一直線行く。逃げ場は存在しない。

 安全地帯に居るとは言え、魔眼の射線は長距離なものだった。回避するのも不可能。絶対の死はそういう事だ。

「ッ!?」

 ズン、と闇は軍師を通り抜ける。

 画面上に『ファーストブラッド』と大きく文字される。

 一瞬にして軍師の体力は0にもなった。軍師は倒された。

『ファーストブラッドはもらったわ!』

 魔神は亡き姿の軍師にもう一度あざ笑う。

 これが戦力の差、と言うように笑っている。

「まあ、そうなるよね」

 翔は緊張から解放されたように一呼吸を入れて復活する時間を確認する。25秒、なんとかなる時間帯だ。

 経験値稼ぎされてしまい、相手とのレベルは12となり。レベル差1まで詰められた。

 このままレベル15になれば、こんどはあの『バロールの魔眼!』の強化スキルがある。今度はマップ兵器で魔眼を放つ。

 そうなれば今回のように一体だけ倒れるのではなく、全滅する可能性も出てくる。

 なにがあっても、それを防ぎたい。

 なら、彼女がそのスキルを取得する前にこのゲームを終わらせなければいいけない。

 翔は作戦が順調であるかを、光に訪ねる。

「作戦通りにいけますか?光」

『作戦通りに行っているわ。あとは指示を待つは』

「よし。みんな2分後にミッドに。そろそろゲームを終わらせよう」

 光の言葉に翔は全員に合図する、するとモニターの外では全員頷く。

 いよいよ、大技の披露する頃合いだ。

 倒される事は負ける事じゃない、作戦と反応速度が全てだ。

 いまから見せてやる。


 あれから1分が経過した。

 試合はずるずると続いている。結果、そのあとから進展はなく、小競り合いで終わっていた。

「そろそろ行きましょうか」

 軍師が軽く合図をすると味方の英雄全員はそれに頷く。

『おっと!これはどういう事だ!?ミッドに『孔明』が行くぞ?』

 ここまでは予想通りに誰もが驚くだろう。

 サポートが単体に行動している自体がある得ない話だから。

 相手の情報を一応把握する、タンクの『魔神バロール』接近戦アタッカーの『闇の騎士デュラハン』と『爬虫類戦士レックス』長距離アタッカー『煉獄の死者ダンテ』サポートの『孤高のエルフアミラ』

 相手は相当の戦力を持っているが作戦に狂いはない事を信じる翔。

『やすやす、ミッドに来るなんて?あんた、やっぱり初心者ねえ』

 軍師の前にはやはり、さっきに倒された魔神。にして、首無しの騎士がそこに居た。

 鴨が葱を背負って来る、と見られているだろう。

 相手の両方ともは戦闘に特化した英雄、援護に特化した英雄には勝ち目はない。

「ここから大逆転を行きますよ」

 軍師と魔神は数十メートル離れている。

 魔神の攻撃範囲外の攻撃だ。けれど、数秒で追いつめられるだろう。

 安全地帯、タワーの周辺は意味を持たない。正面突破されたら死ぬだろう。

『もう一度キルされなさい!』

「それは嫌ですよ。ここからが僕たちの勝利の道です」

 軍師は羽扇を魔神に指す、風は舞い踊り魔神へと向かっている。

 通常攻撃だ、長距離で攻撃するのがこの軍師の通常攻撃であった。

 しかし、

『そんなの効くわけないでしょう?』

 風はかすめた程度で魔神は止まることなく突進する。

 サポートの長距離攻撃はいつもそんなに高い攻撃力はない。

「はい。効くと思ってはいません。でも、移動速度は落としましたよ?」

『なっ!?移動速度が落ちている?』

 攻撃力が高くない代わりには「呪い」を追加する事が出来る。

 軍師の攻撃をするたび、対象の移動速度は少し遅くなる。

『でも、その程度よ、そんなんじゃあ、私を倒せないわ!』

 だが、移動速度を落としても魔神は動く。

 前に一歩動き、軍師へと向かう。

「はい。その事もわかっています。だから、いまから凄い事が起きます」

『すごい事?』

「そろそろですね……」

 軍師は魔神の先を見つめる。その魔神の背後にあるもの、建築物を見つめた。

 それは、

『あっと!どういう事だ!赤陣のミッドタワーはミニオンに総攻撃されているぞ!体力が少なくなっている!』

『なっ!?』

 実況者のあとに魔神の操作主も驚愕する。

 そう、タワーは崩壊寸前な状態だった。ミニオンの軍勢によって。

「なぜ、僕はミニオンに攻撃力向上や攻撃速度を上げているのか不思議に思わなかったの?」

『味方のミニオンを有利するために!?』

「はい。その通りです」

 ミニオン、一般兵は小競り合いする事が多い。要するにミニオン同士の争いだ。

 優先順位に従って戦闘する兵士、戦闘力は互角。

 しかし、片方のミニオンが有利になれば相手のミニオンを倒し、タワーへとたどり着き攻撃する事が出来る。

 軍師はそれを狙い、ちまちまと作業をしていたのだ。味方のミニオンを使った戦い方をしていた。

「驚くのはこれからですよ」

 軍師が合図をすると、またも動きが発する。

『おっと!青陣のジャングルから立モンスターだ!まさか、青陣ファームをしていたのか!?』

『なっ!?』

 軍師の横の木々の間から、中立モンスターが数体味方として軍師の肩を並べた。

 『恐竜アレクス』に『蛇族ヴァゴン』と『森のゴブリン』、青陣側のジャングルの全ての中立モンスターがここに集結してきた。

 ファーム、それは英雄がジャングルに潜り、中立モンスターを倒して経験値と仲間にするための行為の事を示している。

『時間通りに来たわよ』

「ナイスタイミングです!光さん」

 この時を待ってました、と軍師はその正体へと目線を移る。

 中立モンスターの後から来たのは、白銀の騎士だ。

『まさか、中立モンスターを一人で倒しまわったというの?』

「はい。それが僕たちの作です」

 中立モンスター、味方にも敵にも属しないミニオン。ジャングル、森の中、レーンとレーンの間にある特定の場所に登場するモンスター。そのモンスターを倒す事と場所を占拠する事により、中立モンスターが仲間になる。

『あなた、まさか。おとり役をやっていたわけ。わざと、『光の神ルー』をファームに行かせて、戦力を集めたというの!』

 やっと、魔神は軍師の本質がわかった。

 軍師の作戦は英雄を倒す事や味方ミニオンに頼る事ではない。戦力を上げるため援軍を集める作線に出ていた。

『でも、『光の神ルー』はずっとあなたの横に援護していたはずよ!ファームする時間なってないはず!』

 しかし、そこで矛盾が生じる。

 白銀の騎士は軍師と隣にいたはず。魔神の操作主が言うように、時間を消費する。つまり、相手の行動に違和感を生じる。

 プロゲーマーであればファームしている事に気付かないはずはない。

「ゲーム理論ですよ。ある一定で登場したり、登場してなかったりするとそう思わされるんですよ」

『はあ?』

「なぜ、光さんはあなたと交戦になっていないのか?気にはなりませんでしたの?」

『あっ……』

「登場する時には一緒に登場して、撤退するときは一緒に撤退する。その作業を繰り返す事であなたは錯覚したのですよ。光さんは僕といっしょにいると」

 冷静に考えて見れば最初の交戦で違和感は生じるはずだった。なぜ近接攻撃をできる白銀の騎士は全く交戦や魔神に手出ししていないのか。

 答えは簡単だ、その場にいないからだ。

 いない英雄が交戦する事は出来ない。たった、それだけだった。

『よくも、騙したわね』

「でも、タネを知られてしまったらもう意味を持たない技なんですよ」

『次はラッシュコアでもするつもり?』

「ええ。その通りです」

 軍師は魔神が放つ言葉にうなずく。

 ラッシュコア、RTSゲームで古来東西に使われていた有名な作戦。日本では一騎駆け行軍する事。一気に行軍し、敵の本拠地に攻め込む。電光石火に不意を突かれた敵に進軍するもの。

 MOBAゲームに置いては敵を倒す事が勝利条件ではない。相手の本拠地にあるネクサスを倒す事が勝利条件だ。

『みんな集合よ!』

「もう遅いです!一つ目のミッドタワーをもらいます!」

 魔神は援軍を呼ぶが、軍師の言う通りに魔神の後方の一つ目のタワーが数十体のミニオンの進軍により崩壊した。

 これであと二つのタワーが残り、ネクサスを倒せばゲームは終了する。

 例え敵が援軍に来たとしても一分未満で到着するのだろう。その間この戦力であれば二つ目のタワーは容易に破壊することが出来る。

『でも、私たちにも反逆な時はあるのよ!『孤高のエルフアミラ』!』

 魔神が放つ言葉を終わると、その魔神のすぐそばに何かがゆがんだ。

 光が圧縮されるような景色。楕円の輪を作り上げ、そこに現れたのは孤高の魔女。

 いいや、爬虫類戦士、首無し騎士、カリスマの死者も次々とその楕円からくる。

「テレポート!?」

『そうよ。ここで全員集合させば、あなたの作戦は意味を持たないわ。中立モンスターが英雄に敵うわけはない。此処さえ、押さえればあなたに勝利はないわ』

 確かに魔神が言う通り、ラッシュコア。その策は全力の力、速度と不意打ちが重要だ。ここで対処できしまえば作戦の意味は持たない。

『そして次の戦略の基本の基本。サポートを倒す事。その後中立モンスター達を倒してゲームを立て直す。だから、もう一度落ちなさい!』

 魔神は噴火した様子でまたも軍師へと向かってくる。大剣を引きずり、一直線に。また、あの時みたいに来る。

「勘違いしていませんか?僕は一人で戦ってはいません」

 軍師は動く事はない。一歩引く事なく、突進する魔神を見つめる。

 撤退してはいけない。ここで撤退したらミニオン陣形を立つことは出来なく、突破死になる。

 しかし、魔神は迫る。もう、目の前にある、大剣の距離だ。

 そんな刹那に、異変が起きる。

『『タイタンヴォール!』』

『なっ!』

 強大な壁がその二人の間を立て上げる。

 大地から突き立てた、大地の壁。魔神はその壁で軍師へたどり着く事はできなかった。

「待ってました。陸さん」

『待たせたな!ここからは俺の出番だ』

 木々から現れたのは『巨人タイタン』、鉄壁の壁が援軍に来てくれたのだ。

 スキル『タイタンヴォール』、目の前の間14マスに防疫を立て、5秒間の間道を封鎖する。まさに、鉄壁の壁と言われている。本来は乱戦を行う時に敵を隔離するために道封鎖する技。しかし、工夫により味方を援護することも可能でもあった。

『たった一人で登場しても、私たち5人に倒す事は出来ないわ…』

 魔神が言葉の途中に、ボン、と強い衝撃に魔神の背中にあたる。

 魔法弾、長距離攻撃の通常攻撃だ。

『今度は何!?』

 魔神がその魔法弾先を見つめるとそこには、

『あちゃー。やっぱりタンクは硬いなー』

「彰人さん!」

 冬の魔女。『女神ケルフウェリー』が魔神の背後とその杖で青い魔法を放っていた。

 遠距離からの支援攻撃、遠距離アタッカーで唯一の特徴を生かしている。赤陣がその魔女に注目している際には、

『回復しましたよ、あとは存分に戦ってください』

「ありがとう!圭太さん」

 軍師の隣にもう一人、女神が登場する。『女神ダナー』、サポートの回復役。全てのスキルに回復を特化している英雄。

 女神の登場で青陣は完成した。全ての英雄がここに集結。次の出来事に観客や全員は理解している。何が起こるのかを。

『おっと!乱戦だ!チームファイトが始まるぞ!』

 チームファイトだ。

『まずは、そうねえ。基本順に『孤高のエルフアミラ』を倒すよ』

 最初に大きく動きを出たのは白銀の騎士。

 白銀の騎士が宣言すると、壁を飛び越えて魔神の隣に居る孤高の魔女の魔女に一撃の槍を刺す。白銀の騎士、『光の神ルー』のパッシブスキル、『上りの一瞬』弊害となる壁を一瞬に飛び越える。その段差を飛び越えると連続で飛ぶ事は出来なく、5秒間のクールダウンがあるがこういう不意打ち襲撃では充分だ。

 しかし、白銀の騎士が与えた一撃はまだも孤高の魔女を倒しきれない。4割のダメージを与えた。まだ、サポートは生きている。

『あんたの相手は私よ!ねぐら女!』

 隣の魔神は黙ってはいない。その大剣で振り払おうとする。巨大な胴体で全力な力を振り払うが、ガン、と大きな岩にぶつかるオトが鳴り響く。

『俺を忘れてはいけないぞ。同じタンクだろ?』

『もう!』

 巨人がその大剣を受け止める。

 同じ胴体をした、巨人がぶつかり合う。片方は鉄壁と言われている英雄。そして、片方は防御力と攻撃力が高い魔神。タンク同士の交戦が始まろうとした。

『首なし!あんたはあの『ケルフウェリー』を!』

『遅い!ウルト発動!『小さな太陽』(「ソーウェン」)!!!』

  魔神の指示が終わる前に魔女はその杖で大きく空に輪を描く。すると、その蒼空から白い粉が舞い降りる。雪だった。

『なっ!?』

 やがて、その雪は輪の下のある魔神たちを覆い。足元は白く少しずつ凍え、やがて下半身全ての英雄がその場に留まった。

『決まった!最初のウルトが決まった!これで赤陣は身動きを封じた!5秒間の間は移動できない!』

(……そう、まず固まった敵がいたら動きを封じる)

 軍師はその光景を見つめると次に羽扇を前へと伸ばす。

「軍師の宣言!!」

 スキルを発動する。すると青陣の見方の全ては青いオーラーなような物を纏った。誰もが説明するまでものもないエンチャント、強化状態だ。

『さて、まずは確実に一人』

 強化を追加した白銀の騎士は迷うことなく、もう一振りで槍を伸ばすと孤高の魔女の胸に貫く。魔女の体力は0になり、赤陣の英雄は一人倒された。

『この!』 

 首なし騎士は仲間が倒されたことに奮発したのか、馬の上から大きく黒剣を振るう。しかし、白銀の騎士は体を後ろに捻り。スッと黒剣を素早く交わす。

『じゃあ、反撃で『アサルト』!!』

 と、捻った体で白銀の騎士は着地すると、前へと飛び込み槍を首無しの騎士へと飛び込む。

 キン、と腕を貫く音が鳴り響く。

 猛スピードの速さ、捻って飛び込むのは一秒もしなかった。

 バランスを崩した首無しの騎士にもう一撃、スッ、と通常攻撃の槍が襲い掛かる。

 一撃、もう一撃、そしてもう一撃。

 槍は素早く貫く事しかなかった。

 出来事はわずかに2秒程度な事。素早く、一般人には何が起きたのか理解できない。

『そんな!あの英雄がよけられるなんて!それに攻撃速度が上がっている!?まさか、孔明のスキル!?』

「その通りですよ。『軍師の宣言』の効果です」

 第3のスキル、『軍師の宣言』。三国志でも有名な英雄孔明のことを称して使った。彼の策略では必ず勝利すると言われているカリスマの軍師。それも素早く確実な策。『G.O.F』での効果はある範囲の味方に攻撃力向上、攻撃速度、防御力向上を与えてくれる、エンチャントであった。乱戦には効果的な技、特に英雄たちが集結している場面ではこの技の最大限に引き出せるスキルだ。

『おら!体力の事ならこっちの方が上だ!』 

『くっ!?』

 巨人は大地の金棒で振り下ろすが魔神は大剣と交わす。

 キキキ、と武器と武器から火花が飛び散る。金棒の打撃、大剣の斬撃、止む事なく続いてく。その威力は互角だが、体力の場面においては絶対防御の巨人が上だ。

『陸さん、回復しますのでそのバロールを!』

『了解だ!圭太!』

 エンチャントを纏った巨人には魔神に劣ることはない。サポートを失った魔神に対して。一対一では巨人の方が有利だった。

 魔神に隙を与える事なく、暴れる巨人。

 回復も重ね、巨人は無敵に等しくその魔神の動きを封じていた。

『ダンテは?!相手のミニオンを食い止めて!』

 状況の不利を見極めたのか、援軍を呼ぼうとする。

 前には敵の英雄、後方にはミニオンの数に圧倒されている。誰か一人をその青陣のミニオンの進軍を食い止めなければならない。

 しかし、

『ここも無理です!動きも封じられて動けません!』

『攻撃が間に合わない!あいつのバフはどうなってんだ!?』

『ちっ』

 『煉獄の死者ダンテ』と『爬虫類戦士レックス』も白銀の騎士に圧倒されていた。その素早さ、槍の穂先から放つ貫通の雨にアタッカーの二人は凌ぐのが精一杯。棒立ちのように白銀の騎士が飛び回り連続で貫く。状況は不利であった。

 魔神だけがこの場で一番よく対処しきりている。少なくても、巨人に互角に戦ている。これが、プロとアマツアの違い。どんな苦難な状況でもプロはその状況を見極めて、優先順位を頭の中で並べ実行する。

 そして、その交戦の中にも中立モンスター、ミニオン達にも包囲されている。相手は敵の英雄だけではない。状況は戦力不足になりきっている。撤退が賢明なのだが、

『なら、あなたたち。私に力になりなさい』

『え?』

 魔神は痺れを切らしたのか、そんな仲間の声を聞く事なく。全身に邪悪なオーラーをまとう。邪眼はまたも疼いた。

 壁の効果は時間経過で崩壊していく。軍師の目の前にはあの魔神がにらみつけている。

 暗黒な邪眼がまた開かれると、対象を死へと貶める邪眼が再び開かれる。

(……さっきと違う!ここまで演出はなかったはず!)

 しかし、その邪眼は暗黒より黒だった。

 魔神の全身から放つ黒い光と黒い霧。それは、さっきと桁違いなものが開かれようとする。

『そう来たわね……』

「なんですか!?バロールの魔眼じゃないのですか!?」

『いいや。合っているわ。でもね、もっと厄介なものが来るわよ』

 白銀の騎士はその魔神の霧から離れるように後退するように飛び、態勢を整えて槍を構える。

 あの霧に触れるな、と忠告するように目で軍師に伝える。

 確かに、あの霧から全く良い予感がしない。

 普段の『バロールの魔眼』では一体の対象を即死にするし、例えこの場で誰が落ちても問題なく全身することが出来るが……

『レベル15のスキル。『悪しき眼のバロール(Baleros)』発動!』

 魔神は邪眼を開き、周りの味方に向ける。その邪悪な双眸で首なし騎士、爬虫類戦士、ダンテに向ける。

 すると、三体の英雄は黒い炎に纏われて全員抜けからのように倒れ込む。体力0が表示された。

『味方三体を生贄にして、その体力をバロールに。そして。ウルト『バロールの魔眼』を対象から領域に変える!』

「なっ!?」

 魔神の言葉に軍師は唾を呑んだ。

 対象から領域に変える。それは、白銀の騎士が忠告した通り厄介なものではすまないものである。なぜなら、『即死』するのは一体の英雄ではなく、この場に居る英雄全て『即死』する可能性がある。

 そう、スキルは対象を選択するのではなく領域を選択するように変えられた。厄介では済まない。味方全員この場で死ぬのだミニオンの同じく倒される。そうなれば作戦は全て水の泡へ変えていく。しかし、回避することは不可能。銃弾はもう装填された、引き金を押すだけだ。

 無論忘れてはいない、春の試合では鈴子が隙なプレイスタイルはそう、ウルトの一撃必殺でゲームをどんてん返すをするスタイル。まして、周りが素人のチームでは一番有効なプレイスタイルだろう。

『ここで、あなたたちを倒してミニオンも倒して時間を稼ぐ!あなたたちは最初からやり直しよ』

「終わらせません!ウルト『八陣図』!」

『これで終わりよ!『バロールの魔眼』!』

 魔神が邪眼の力を解放しようとすると、軍師は羽扇を魔神へと示すと魔神の上に陰陽が空から周囲に浮かばせる。

(……間に合え!)

 刹那に大技を打つ。陰陽は破裂し、空気の歪み、時は止まる。

 全ては刹那の出来事。全ては停止世界へと。

 黒い霧は止むことなく、軍師を見つめる。

 しかし、

『魔眼が止まった……』

 効果は発動していない。ただ、黒い双眸を開いたままに軍師を見つめている。

『どういうことよ!『バロールの魔眼』が発動しない!それに、スキルも封印されている!?』

「やった……間に合った……」

 軍師はその魔神の姿を見ると、腰ぬけしたように声を放つ。

 魔神の動きを封じた、『バロールの魔眼』は不発動で棒立ちしている。

「『八陣図』は『孔明』のウルト。効果はその領域にある敵英雄全てのスキルを10秒間封じるスキル……」

『ちょ……そんな!インチキ過ぎるわよ』

「いや、そうでもないよ。例え敵英雄のスキルを封じても、孔明自体は敵に殴りに行けないから。結局は最弱な英雄には変わらないよ」

 軍師はその棒立ちになった魔神を見据えて、苦笑する。

 確かに、スキルを封じる事は大きな効果だ。こうも、魔神の死からも逃れる、唯一対処出来るスキルだった。魔神に取っては天敵とも言われるスキルとも言える。しかし、スキルを打つタイミングを間違えれば意味を持たない無難なスキル。やすやすと、使えるスキルではない。

 大技で対抗出来るのは大技しかない。あの『即死』効果で対抗出来るのは唯一この最弱の英雄だ。

『おっと!ここで魔神バロールはスキルを封じた!まさか、最弱の英雄にこういう使い方があるとは!』

 実況者のいつものテンションを聞き流し、軍師は眉間を寄せて宣言する。

「みんな!10秒間しか時間がない!魔神を倒すぞ!」

「ええ!」「おお!」「了解」「はいよ」

 その宣言に皆も答え一斉に魔神へと飛び込む。総攻撃が始まる。

 10秒間の間に魔神を倒さなければ行けない。でなければ、あの魔眼が発動する。そうなれば、もう打つ手はない。

「光さんあの技を!」

『ええ!』

 白銀の騎士は頷き、槍を輝かせる。態勢を立て、腕を耳元まで槍を構える。その手にしている槍を投げようとする態勢。目標は言うまでもない、目の前の魔神だ。

『無駄よ!あなたが使おうとしているスキルなんて、私の『悪しき眼のバロール(Baleros)』効果を忘れたの?いまのバロールの体力は生贄にされた仲間たちの体力分あるのよ!10秒で私を落とせると思わない事ね』

「魔王を退治するのが、古来東西から言われているのですよ。僕たちがその事を想定していないと思っていますか?」

『何?』

 軍師は魔神ではなく、隣にいる白銀の騎士に振り向く。

『レベル15、最終段解放『トゥアハ・デ・ダナーン』発動!』

『あっ!?あなたがそのスキルを取得したっていうの!?』

『ええ。魔王退治にはぴったりなスキルよね?』

 白銀の騎士の笑えに、魔神は一歩足を引いた。

 『トゥアハ・デ・ダナーン』のスキル、その効果は全ての火力を10倍にする事。例えタンクであろうとこのスキルの前では紙の防御しかない。例え魔神が仲間の体力を自分に吸収してもその攻撃を耐える事は不可能。

『そんな!あなたがそのスキルを選ぶなんて!あり得ないわ!あなたはいつも素早く、早く、『タスラム』を選ぶはず。カウンターが上手いあなたはそれを選ぶなんて……』

『私が同じ手を使うとても思っているの?』

『なっ……』

『私たちは試合に出ているのよ?成長になくてはならない。スポーツと同じよ』

 白銀の騎士は槍を五つの光へと輝かせる。

 これぞ、神話でも伝えられた『ブリューナク』の姿。その輝きは五つに分散され敵へと一直線に向かう神の武器。『光の神ルー』の四秘宝の一つ、神槍。その意味は『貫くもの』と称されている。目標を到達するまで、その槍は飛び続ける。

『終わりよ!』

 言葉と共に、白銀の騎士は神槍を放つ。

 目標はあの魔神、全てを死に追いやる瞳を破滅するために放たれた。

 キーン、と空中を遮り音速より早く神槍は飛んだ。

 槍はギギギ、と音を立て殺意の魔神の頭部を貫く。

「やったか!?」

 軍師はその魔神を確認する。

 汗をぬぐい、体力ゲージを凝視する。

 緑色の体力ゲージが段々と下痢続け、やがてそのゲージは赤色まで減り。

 そして、

『『魔神バロール』の体力が0になりました!鈴木選手倒されました!体力4倍以上もある英雄が倒された―!赤陣の英雄は全員倒された!大手を掛けられた』

 実況者のアナウンスで、軍師はほっと、手の力を抜いた。

 ケルト神話通りに、魔神バロールは英雄光の神ルーに倒される。『魔王バロール』は『光の神ルー』の槍で貫かれ、倒される。

 これも運命なんだろうか、と軍師は亡き姿の魔神を見つめる。

 しかし、答えはない。

 それよりもこれからやるべきこと。

「みんな!敵の英雄は全部倒した!一気でネクサスを叩くぞ!」

 敵本拠地に向かい、ネクサスを叩く。

 相手の英雄が復活する前に軍師たちは全てを終わらせる。今度こそチェックメイドだ。

 軍師は最後の宣言をして、前へと進すむ。仲間と英雄とミニオンと共に。

 数分後に試合の幕が下りたのだ。

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