第7話 今日は雨



辿り着いた村の朝は

昨日の峠の夜の雪がまるで嘘だったかのように

しとしとと雨が降り始めていた

一山越えるだけでこんなに天気は変わるものなのか


透き通る銀色の雨の滴に誘われて

宿の引き戸を開け

外へ出て煙草に火を付ける


どう言う訳か

昨日の夜の峠と比べて

凍てつくような気温は変わらないように感じる

軒先で煙を吐き出しながら

暫く呆然としていると

突然身体が震えた


部屋に戻り暖を取れと

かじかんだ指先が私に訴える

季節さえ違っていたなら此の程度の雨と思うが

部屋の中で身体が温まればきっと

今日の移動は延期にしよう

と思うのであろう

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