第4話 アイドルの見本。って、私が踊るの!?

アイリスの、アイリスによる、借金返済の為の計画!

その壮大な計画のベールが、今はがされようとしていた!!


のだが、盛り上がっているのは今のところ、言い出しっぺのアイリスただ一人である。


「うーん、いまいち歌って踊るって言うのがよく掴めないんだよね。」


ルカリオが首を傾げる。

確かに、あのキャッチーでポップな曲調とダンスはこの世界には存在していませんからね。

仕方のないことです。


「思ったんだけどさ、そのアイドルっつーの?女はやらないのか?」


おっ、キースから前向きに質問が飛び出しました。

しかも、いいとこついてます。


「いえ、女の子のアイドルもいっぱいいましたよ。可愛い女の子達が可愛い衣装を着て、可愛く、時にカッコ良く歌って踊るのです。」


「よし!お前ちょっとそれやってみろ。俺達でイメージを掴むから。」


はいぃぃぃぃぃ??

私にアイドルの真似をしてみろと??


「む、無理です!私なんぞが披露しても、イメージどころか目の毒です!」


「アイリスがお手本を見せてくれないと、僕達ずっと先に進めないけどいいのですか?」


レン、私を脅しているのですか?そうなのですね??


カラオケで女友達とキャッキャ踊るのとは訳が違う。

音楽も流れてはくれない。


しかしアイリスは腹を括った。

計画を成功させる為にも、ここはやるっきゃありません!


占いのクッキーの曲にしましょう。

某アイドル集団が一世を風靡し、日本全国でみんなが踊ったあの曲。

あれならたくさん踊ったからいける気がします。


「1度しかやりませんからね?」


裾が長いワンピースでは踊りづらいが、仕方がない。


覚悟を決めて、歌い出す。


「チャラチャララーチャラチャララー、あ、ここは前奏なので。歌の始まりはもう少し後です。」


説明を入れながら、歌い、踊った。

なんで私一人でこんなことを・・・

恥ずかしすぎて泣ける。


「フゥー!」


ラストのポーズを決め、なんとか歌いきった!

やりました、私!!


恐る恐る三人の反応を見てみると、皆アイリスから目を反らし、顔を隠したりしている。


なんでそんな反応なのでしょう?

見ていられないくらい酷かったのでしょうか・・・。

わからない単語は多かったかもしれませんが。

なぜか耳が赤くなってるのが気になります。


じっと彼らを見つめながら反応を待っていると、ようやくルカリオが口を開いた。


「いや、うん。最高だったよ。」


え?本当に?


「ああ、いいもん見た。」


あら、キースも?


「水晶に記録しましたが、二人もいります?」


へ?


「何!?今の録ってたのか!レン、お前やるな!!」


「僕も欲しいな。ぜひ頼むよ。」


まさか今のを録画??

うぇぇぇ、アレは絶対に残しちゃダメなヤツです!


「レン、今すぐ消して下さい!二人とも欲しがっちゃ駄目です!」


アイリスが必死になっているのに、三人は全く取り合ってくれない。

そのうち、飄々と話し出した。


「今の勘が鈍らないうちに、僕達のアイドルグループについて話を詰めてしまおう。」


「そいつはいいな。」


「アイリス、まずは何をします?」


有耶無耶にされました。

ちっくしょぉぉぉぉ。


仕方がないので、とりあえずは諦めたフリです。

まずはリーダーでも決めましょうか。


「グループのリーダーを決めます。リーダーは皆をまとめ、時には代表として意見を述べたり、リーダーっていう愛称で呼ばれたりします。」


「それならルカリオだろ。慣れてるし。」


「そうですね。なにしろ王子ですから。」


それもそうですね。

もはや国単位の、生まれつきのリーダーでした。


「じゃあルカリオ、リーダーをお願い出来ますか?」


「うーん、仕方ないか。頑張るよ。」


揉めることなく決定です。

ジャンケンの出る幕はありませんでした。


続いて、それぞれのキャラクターとメンバーカラーも決めちゃいますか!

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