第4話

「被害に遭った君にも来て欲しいんだがいいかな?」


風紀委員の先輩は女の子にも声をかけてた。


「もちろんです。お2人とも助けていただいてありがとうございます」


「さっきも言ったが私はこれが仕事だから、気にしないで欲しい」


「俺も君を助けたと言うよりクトゥグア様の評判を落とす様な事をするアイツが気に食わなかっただけだから」


「だとしても、助けて頂いてますので」


お礼を言われるのは嬉しいけど、獲物を見つけたような肉食獣の目をしてるから怖いんだよな。


「おっと、応援が到着したみたいだ。続きは風紀委員室に着いてからにしよう」


ロープを持った人達が近づいてきて気絶してる男を簀巻きにしてどこかへ引きずって行った。


「少し待っていてくれ、私はお茶を取ってくる」


そう言って風紀委員先輩は部屋に備え付けられているキッチンへと行ってしまった。


「そう言えば自己紹介もまだでしたね。

私はステラ・フリューゲル、伯爵令嬢ですが気にせず、ステラと呼んでください」


良いとこのお嬢様オーラ出てたけどやっぱり貴族だったか。


「では、ステラさんと呼ばせて頂きます。

私の名前は烈火、普通の一般人です」


「烈火さんですね。そう言えばスキルダンジョンに行く途中だったと言ってましたよね?やっぱり火魔法スキルダンジョンですか?」


「それも良いかなと考えていたんですが、ランダムスキルダンジョンに行こうと思ってます」


「ランダムスキルダンジョンですか!?

確かに加護持ちなら、有利に進められるかも知れないですが、クトゥグア様の加護持ちなのに火魔法スキルダンジョンを選んだ人より弱くなる可能性だって有るのにですか?」


ランダムスキルダンジョンが人気がないのは聞いてたけどここまで人気ないのか。

ステラさん正気ですか?って顔してるもんな。


「たとえランダムスキルダンジョンで火魔法スキルが出なくても、火魔法スキルダンジョンを選んだ人より弱くなることは無いので大丈夫です。今っだって加護のおかげで火魔法Lv20相当の実力ですし」


「Lv20と言うのも聞いたこともない数値ですがLv20相当とはどう言う事です?」


「【炎神の寵愛】のおかげで火魔法Lv+10×2の状態で火魔法を使えるから。今は0+10×2だからLv20相当の火魔法が使えるって事。加護持ちは数値は違えど皆そんな感じじゃ無いの?」


「・・・普通の加護持ちは最初から対応するスキルを持っているだけです。実は私も【風神の加護(小)】を持っていますが、風魔法Lv3を持っているだけで風魔法Lv+Lv3見たいな事はならないです。普通に風魔法Lv4を手に入れたらLv4にしかならないです」


それだけ?加護って大したことなくない?

なんで加護持ちってだけであんな威張ってたの?


「それじゃあ加護持ちだから偉いだなんて事にならないと思うんだけど。なんでアイツ威張ってたの?勘違いした残念な子って事?」


「そういうことです。毎年自分は神に選ばれたんだと勘違いした人が出てきます。

基本、そういった人はスキルダンジョンに一緒に挑む仲間が集まらなくて、加護持ちでない人にドンドン抜かされて自然に消えていきます」


加護(小)は神の意志関係なく、ランダムで付与されるってあー子様言ってたし、そのぐらいのバランスが丁度いいのかも?



「烈火さんお願いがあります。私と一緒にランダムスキルダンジョンに潜りませんか?」


パーティー組もうって事か、人気ないしランダムダンジョンはソロで攻略しかないかな〜って思ってたから嬉しいけど。

どうして急に?


「俺としては嬉しいけど、良いの?

ランダムスキルダンジョンだよ?」


「確かにランダムスキルダンジョンはリスクが大きいですが、烈火さんとなら大丈夫だろうと思ったからです。何故かランダムスキルダンジョンはトラップが出ないらしいので、烈火さんの火魔法が有れば、クリアは余裕だと思いました」


そうなんだよ。あー子様もランダムスキルダンジョンはトラップが一切出ないって断言してた。トラップまでランダムに配置すると難易度が高くなりすぎるからって言ってたな。


ステラさんも打算有りって事だし、信用してもいいかな?


「ステラさんがランダムスキルダンジョンを選んで実家から何か言われたりしないんですか?」


ステラさんは貴族だステラさんがランダムスキルダンジョンを選んだからって俺が恨まれるとかは避けたい。


「大丈夫ですよ。もし、ランダムスキルダンジョンでいいスキルが手に入らなくても父も母も自業自得だと言うと思いますよ。

それに、その時は烈火さんが私の事を貰ってくれれば問題ないです」


貰ってくれればって・・・もしかしてからかわれてる?


「じゃあ、もし良いスキルが手に入ったら、ステラさんは俺以外の男と結婚するんですか?」


「違います!そう言う意味で言ったんじゃ無いです。烈火さんは今の時点でも将来性バッチリですし。烈火さんが貰ってくれるのが1番に決まってます。ランダムスキルダンジョンに行くって決めたのだって烈火さんにアピールする為・・・って何言わせてるんですか!」


からかわれてるのかな?ってちょっと仕返しするぐらいの気持ちだったんだけど、予想以上の返しが帰ってきた。


こう言う時どう反応すれば良いんだろう?

と困惑する烈火だった。




読んでいただきありがとうございます。




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