第28話 インタールード

 牛丸さんが死んでしまった。どうやら怪異なるものに殺害されたらしい。『生活安全活性課』の課長である若林という者も、一緒に死体で発見された。あと一人、ハッキングの常習者だったという泉 圭一という男も死んでいた。


 その現場に、気を失っていた連続女性失踪事件の被害者である女性二人を保護、現在警察病院に入院させているという。


 現場にはいろいろと不自然な跡があり、だけどそれがなんなのか、手がかりさえ見つからない始末だ。


 そして今、なぜだかおれが『生活安全活性課』の課長として移動することになった。


 正直、あまり乗り気じゃない。おれも死ぬかもしれないし、怪異なるものなんて不気味じゃないか。


 けれど、連続女性失踪事件の行方不明者が二人とも発見された今となっては、ここにいる意味さえなくなってしまった。この部署も時期に消滅してしまうだろうから。


 発見された二人の女性は、やたらに男性ホルモンの数値が高く、むしろもう男そのものになっていたという。時間がかかるが治ると言われているが、失踪中の記憶がないとなれば、これ以上調べることはできない。


 今日は仕事終わりにいとこのおじさんに会いに行く予定だ。彼はなんと本物の陰陽師なのだ!! ひょっとしたら、怪異なるもののことを知っているかもしれない。彼はどこか神秘的で、人を惹きつける魅力がある。この前電話で、彼女とわかれたと話していたから、なにか買って行った方がいいかな? よーし、奮発していい肉買って行ってやろう。


 そう言えば、先日占い師の女が不自然な死に方をしていたらしいのだけれど、おれの管轄外だから、詳しいことはわからない。この短期間でたくさんの人が死んでいるのも、もしかしたら怪異なるもののしわざだったりして。


 もしそうなら、おれも殺されちゃったりするのかな?


「辰宮くん、移動の手伝いをしましょうか?」


 課長が緊張した顔で笑顔をつくろっている。なにかが、始まろうとしている――? のか?


 まぁいい。楽しいのなら、それが最優先だ。


 つづく

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