第17話
「旦那様! ダンジョンの成長を早めることはできませんか!?」
ダンジョンに新しい階層が作られた日から三日後。レオーラはいきなり熊翔に向かってそんなことを言い出してきた。
「いや、いきなりどうしたんだ?」
「そんなの決まっています! ダンジョンが成長して、新しい階層を手抜き……ではなく単純な構造にすれば、余ったエネルギーで武器を作ったりダンジョンに便利な部屋を作れます! そして幸いにも旦那様のゴーレムであるカラミティーズと私、パルコーは手抜き……じゃなくて単純な構造な階層な方が戦い易い! つまり新しい階層が増える毎にこのダンジョンの守りは固くなって、同時に快適になるということです!」
熊翔が聞き返すとレオーラは瞳を輝かせて大きな声を上げる。彼女はこの三日間、新しくダンジョンにできた浴室を毎日数時間利用しており、そのことからこのダンジョンを急いで成長させ、浴室以外にも便利な部屋を作ろうと考えたようだった。
「あー……。言いたいことは分かったけど、それはちょっと難しいと思うぞ?」
最初からダンジョンで快適な引きこもり生活を送るつもりである熊翔もレオーラの意見には賛成であるのだが、いきなりダンジョンを成長させるのは難しかった。熊翔はダンジョンを成長を早めるのが難しい理由を説明するために、光の板を呼び出すとそこに表示されたダンジョンのステータスをレオーラに見せた。
【迷宮】???
【主人】小森熊翔
【秘宝】厄病呪毒若命鏡鎧
【階層】2
【成長】3/100
【脅威】C-
【MG】カラミティーズ(18/18)
【CG】72
【FG】2/2
【設備】光と癒しを否定する闇
【称号】新たに産まれた迷宮
【道具】なし
「いいか? この【成長】の欄の左側にある数字が右側の数字と同じか、それ以上になったらダンジョンは成長して階層が増える。そして【成長】の数字を増やす方法は時間が経つのを待つか、侵入者を殺してその死体をダンジョンに吸収させるしかない」
「時間が経つのを待つか、侵入者の死体をダンジョンに吸収させる……?」
レオーラの呟きに熊翔は一つ頷いてから説明を続ける。
「時間が経つのを待つ場合は一日経つ毎に【成長】が一増える。侵入者の死体をダンジョンに吸収させる場合はその侵入者が強ければ強いほど【成長】が大きく増える。普通に考えたらダンジョンに侵入者を招き寄せて殺せばダンジョンは早く成長するけど、危険すぎる上に俺達には異世界にダンジョンを知らせる方法がない。だから難しいと言ったんだ」
「確かにそれは難しいですわね。私達の世界に繋がっていたゲートをすでに消えてしまいましたし……当然、ダンジョンアイランドから招き寄せるわけにはいきませんよね?」
「駄目に決まっているだろ。向こうから侵入してきた侵入者を殺すのは正当防衛だが、自分からダンジョンに招き寄せて殺すのは殺人罪だ。というか、ダンジョンアイランドの住人はダンジョンについても詳しいから下手な侵入者よりも手強いからな?」
「ですわよね……」
熊翔の説明を聞いたレオーラが聞くと、熊翔は話にならないと首を横に振ってレオーラがため息を吐く。すると二人がいる部屋に必死の表情を浮かべたパルコーが飛び込んできた。
「だ、旦那様! レオーラさん! 大変です! 下の階にゲートが現れました! 侵入者です!」
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