神の手VS管理者
ライガは牢の中で考えた。
またセイのせいで牢に入れられた。
セイに仕返しをしたい。
何か出来ることは無いか!
!!!
あの娘はカプセルの魔王!
この件でセイを脅せば、セイを思い通りに出来る。
ライガは口角を釣り上げた。
次の日の早朝牢から出されると、ライガはすぐマジックハウスへと向かった。
「セイ、魔王の事について言われたくなければすぐ出てくるのだよおおぉ!!」
ライガの迷惑行動によって皆起きだす。
「うるさいっすね」
みんなが外に出てくる。
「何の用だ?」
ライガは気づかなかった。
セイが拳を握りしめていることに。
ライガは口角を釣り上げたまま続ける。
「セイ、見ていたのだよ。セイが魔王をおんぶして冒険者ギルドの方に歩いていくのを。おとなしく私に従えば穏便に済ませてやるのだよ」
ガイは気づいた。
「セイ、殺さない程度にするっすよ」
「殺しはしない。半殺しにするだけだ」
「何を言っているのかね?」
その瞬間セイの拳がライガの顎にヒットし、ライガは回転しながら地面を転がる。
セイはライガを蹴り上げ、首を左手で掴んで右手でライガを何度も殴る。
「ひぎいい!」
セイはごみを捨てるようにライガを投げ飛ばす。
「ライガが居る王都は危険だ。俺達は今すぐ出ていく!」
「仕方ありませんわね。ガイ、事の成り行きを王に伝えて欲しいのですわ」
「分かったっす。ライガは王城に連れて行くっすよ」
「お願いしますわ」
こうしてワールドヒーラーとエリスは王都を再び出る。
だがその事を国民全体が後で後悔することになる。
◇
ガイはライガを王城に引き渡し、ライガとセイのやり取りを王に報告した。
王はライガに激怒するが、ライガは、見張りの隙を盗んで逃走し、マリナのジョブが魔王である事を民衆に吹聴して回った。
この事で、王は魔王を擁護して回るが、そこに新たなプレイヤーが加わる。
神の手の指導者、ガンダである。
白いローブを纏った見た目は20代の男で、威厳に満ちたオーラがあった。
ガンダは、王の魔王擁護を痛烈に批判した。
「王の立場にありながら魔王を擁護するなど、ありえない事だ!こんなことだから我々民が苦しみ、魔物に多くの命が奪われるのだ!」
更にライガを捕まえようとする王の行動を痛烈に批判する。
「魔王の正体を白日の下に晒す行いのどこに非があろうか!?無いのである!ライガのその行動だけは称賛に値する!」
更に話術のみで巧みに立ち回る。
「今魔王を野放しにしているせいで、人が死に続けている!今こそ皆で立ち上がり、魔王を打倒しようではないか!!」
まだ暴力に訴えられた方が王としてはやりやすかったが、とにかく話術を駆使して王の心象を下げ、魔王の討伐を煽る。
王は疲れ果てる。
「まったく、こちらの行動を潰し、魔王が居る事で皆苦しくなっていると嘘までつく」
大臣が答える。
「ですが多くの民は心を動かされるでしょう」
本来魔王が居る事と、民が苦しんでいる事に何の因果関係もない。
だが、ガンダは巧みな話術で民の心を掴み、王を批判し、王の動きを止め、魔王を殺そうとする。
「魔王を助けることで、セイが王都に居てくれる。簡単な事だが、分かってもらえないだろうな」
「はい。特に、学の無い者はガンダの焦点ずらしのテクニックに気づかないでしょう」
「更に王城内部のどこに神の手が居るか分からん。切り札を使うか」
「ですが、それを使ってしまえば人類が滅びの方向に傾きます」
「分かっている。あくまで最後の手段だ」
こうして王は劣勢に立たされる。
王の動きを止める事で、今後ライガと民衆は大きなしっぺ返しを食らう事になる。
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