勇者との戦い
ライガにセイントビームを撃ってすっきりした。
「ふふふ、すっきりした顔をしていますわよ」
「すっきりしたぞ」
「すぐに帰りますわよ。長い間マジックハウスを離れるのは良くありませんわ」
俺とエリスはマジックハウスに帰る。
だが、そこに勇者が居た。
「ん?立ち入り禁止だよな?なんで入ってきた?」
「アイラが俺の後ろに隠れる」
その瞬間勇者の顔が険しくなる。
「調子に乗るのは止めるんだ!セイ、おとなしくアイラを渡せ!そして俺に勝てないという事実を認めるんだ!!」
このパターンは、また戦うのか?
「お前もしかして神の手の者か?」
「何を言っているんだ?」
「悪かったな。質問に答える。アイラは渡さない。俺の負けだ。邪魔だから帰れクズがああ!」
今神の手と魔人でそれどころじゃないんだ!
早く帰れボケ!
「ちょ、2人とも落ち着くっすよ!」
「すまん、ついつい気が立ってしまった。悪かったな。お帰りはあちらです。どうぞー」
「セイ、まだ怒りが残ってるっすよ」
勇者が青筋を立てる。
「君の挑戦は受け取ったよおお!決闘を始めるよおおおお!!!!」
勇者が俺に剣を向ける。
「お待ちくださいませ!やるなら正式な手続きを踏んで模擬戦をするのですわ」
あれ?この流れはまさか!!
◇
【冒険者ギルド・演習場】
俺と勇者が武器を構えて対峙する。
違うのは武器が木材じゃなく本物の剣とメイスな事だ。
これって模擬戦じゃなくて決闘とあんま変わらないだろ。
ほとんどライガと同じパターンか。
「模擬戦、開始ですわ」
「セイ、言っておくが君が前奇跡的に僕に勝てたのは本当に奇跡だったんだ。でも不運な軌跡は2回も起きないよ。それに僕は前の僕とは違う。新たなる力を手に入れているんだよ。君は地べたにキスをし、僕はアイラを貰う。ここからが僕の真の幕開けだよ。君はまず基本に立ち返るべきなんだ。僕は勇者で君は無能の治癒士。この事実だけで君の敗北は決まったようなものだよ。勘違いしないでくれよ。君は治癒士にしては良くやった方だよ。だが僕と言う絶対的な存在の前では君は無様に負けるしかないんだよ」
勇者が決め顔をする。
「俺が負けたとしてアイラを貰うのは関係ないしアイラは見に来てないからな」
「ばかな!」
勇者はアイラを探す。
「居ないだろ?」
「姑息な手を使って!許せないよ!」
「ちょっと待て、俺は何もしてないぞ!」
勇者はカメラマンを見て笑う。
「はははははは!君の姑息な手は通用しないよ!だって君の敗北が新聞の1面を飾るんだよ。いや、違うな。僕の栄光が新聞の1面を飾られるのさ」
「そろそろ始めるか」
「ふ、僕のとっておきの技を見せてあげよう今までの力を超越する新たなる力、名付けて、超魔装!!」
勇者は炎を纏い、剣と装備の周りを包む。
これ、前よりただ出力を上げただけで、前と基本変わらないな。
「セイントビーム!」
「ふ、はははははは!セイントビームは効かないよ!」
勇者はセイントビームを盾で受け止める。
「もう一つ増やすか」
「は!?」
セイントビームが2つ勇者を襲う。
「あああああああ!」
もう1つのセイントビームを勇者の足に放つ。
「カメラで撮るな!あ、あああああああ!」
こうして俺は勝利した。
「すぐに帰りますわよ」
「そうだな」
◇
「セイ、からまれすぎっすね」
「そうだな」
「セイのように突出した人間はまぶしく映り、関わりたくなるものです」
サーラが両手を胸で組んで祈った。
「また王都から出たくなる」
「セイは王都を抜ける期間が長すぎたんすよ」
「だから一気に絡まれたんだよ」
「もう流石に無いだろ」
「無い事を祈りましょう」
「戻ってきてバーベキューを始めてすぐ絡まれたけど、ガイは俺達が居ない間どうだったんだ?」
「最近魔物が多くて、ここの所休み無しっすよ」
言えない。俺達がバカンスを楽しんでいたなんて言えないな。
「私たちと違ってガイは大変だったんだね」
エリスがアイラの口に肉を詰め込む。
「さあ、食べてくださいませ」
エリスナイス!アイラだけは余計なことを言わないか要注意だ。
「こっちは、フェイズ3のカニが7体出て来たぞ。しかもあいつら協力して動いていた」
「危険っすね。フェイズ3が組まれると厄介っす」
「その件はギルドと王に報告済みですわ」
エリスの仕事が早いな。
「後は、カニの魔物が多いくらいで、こっちは変わったことは無いな。魔人が王都の近くに居るんだろ?」
「そうっすよ。2体確認されてて、1体はカニ型で、もう1体が鶏型っすよ」
「鶏型か」
睨鳥の魔人はかなり警戒されている。
何故なら防壁を飛び越え、フェ野鶏を引き連れて一気に王都中央を攻めることが出来るからだ。
「だから俺が呼び戻されたのか」
「うまく言えないっすけど、嫌な予感がするっす」
ガイの感は結構当たる。
「ですが、今日は飲みますわよ」
大量の酒を出す。
「エリス、ほどほど、大事」
「明日は王が来るんだ。少なくしよう」
こうしてエリス以外はほどほどに楽しんで次の日を迎える。
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