サーラの悩み
2日間休息を取った後、俺はサーラから相談を持ち掛けられた。
「もっと強くなりたいです」
「サーラは治癒士だから戦闘力が低くなるのは仕方ないと思うぞ」
「ですがセイはSランクの力を持っています。アイラとマリナもすぐにBランクを超えて私だけおいて行かれるのは嫌です」
「治癒士のDランクは実質Cランクと同じだと思うぞ」
治癒士は戦闘が苦手な分サポートを得意とする。
冒険者ランクは戦闘力を基準に決められるが、治癒士には不利な評価方法なのだ。
「ですが、皆がBランクを超えて私がDランクのままだと辛いんです」
確かにそうだな。
「分かった。冒険者ランクをDからCに上げるなら行けるかもしれない」
俺とサーラは外に出る。
「思いついたのは、バリアショットだ。俺がやってみるけど出来るかどうかわからないぞ」
「お願いします」
右手を銃のように人差し指を向けて木にに向ける。
バリアの魔法を弾丸の形で形成。
その周りを魔力で覆い一気に射出!
木に穴が開き、めきめきと倒れていく。
「凄いです!」
「いや、失敗だ。これは俺の魔力にものを言わせたごり押しだ。うまく制御出来なかった」
バリアで弾丸を作る所まではうまくいった。
だが、射撃の所でうまく制御できない。
「射撃の適性があるサーラが使いこなせれば、もっとうまく出来るぞ」
射撃攻撃の弱点は攻撃力の弱さだが、サーラの治癒士の能力を合わせることで攻撃力を上げる作戦だ。
「やってみてくれ」
「はい!」
サーラが銃を構え集中する。「バリア!」
バリアを弾丸化して撃ち出すが、狙いが大幅にずれる。
バリアの弾丸化がうまくいかないな。
だが、初めてで弾丸を作れるのはかなり優秀だ。
「バリアで弾丸を作ってみて欲しい」
「分かりました。バリア!」
サーラは両手でバリアの弾丸を作る。
「そのままキープしてくれ!形が歪んでいるな。何度も反復して歪みを少なくしていくしかないな」
「セイの弾丸を見たいです」
「俺のは適当に作っただけで参考にならないぞ」
「見たいです!」
俺は片手で弾丸を作る。
「凄いです!きれいな形です!この形を参考にします」
「うん、頑張ってみてくれ。ただし、弾丸の形は自分は工夫し続けてくれよ」
こうして家に帰ってからサーラはその日弾丸を作り続けた。
魔力が尽きても食事が終わって魔力が回復してくるとまた弾丸を作り始める。
「サーラは何をしてるの?」
「バリアの魔法で弾丸を作る訓練だ。銃でバリアの弾丸を撃ち出すために必要なんだ」
「いいですわね。オリジナリティは大事ですわよ。わたくしも銃の特訓をしたいですわ」
「エリスはまだ休んでくれ」
◇
【次の日】
俺とサーラは外に出て特訓を続ける。
「今日はあの木にバリアの射撃を撃ってみてくれ」
「分かりました」
サーラは10秒ほどしてバリアの弾丸を撃ち出す。
木に直撃せず木の横をかすめただけだが、昨日と比べ十分な進歩だった。
「大体わかった。まず発動まで1秒以内に撃てるようにする事、後はバリアの弾丸作りを続ける事で良くなるぞ」
「はい!もっと付きっ切りで厳しく指導してください!」
その後俺は厳しめにサーラを指導した。
だがサーラは恍惚とした表情で俺を見つめる。
サーラは魔力を使い切り、俺がおんぶして帰ってマジックハウスに帰る。
「サーラ、どうしたの?」
「バリア射撃の訓練をしていたんだ」
「最高です」
サーラが恍惚とした表情を浮かべる。
「ん?」
「あ、いえ、希望が見えてきて良かったです」
なんだ、一瞬苦しいのが気持ちいいみたいに聞こえてびっくりした。
その後数日訓練を重ねた。
◇
【数日後】
俺とサーラは森の中へと入る。
「サーラ、今日は実践だ。通常の銃攻撃の合間に余裕があればバリアショットを使う戦い方をして欲しい」
バリア射撃はいつの間にか『バリアショット』と言う名前になった。
鶏の群れが現れる。
鶏と言っても魔物なので俺の腰ほどまでの大きさがあり、短時間なら普通に飛行してくる。
「サーラ1人で戦ってみてくれ」
「分かりました」
サーラは二丁拳銃ではなく、銃を両手で1つ構える。
まだ二丁拳銃でバリアショットを使えないのだ。
サーラは銃に魔力を込める。
横に動き「バリアショット!」と叫ぶ。
その声と同時に貫通するバリアショットによって2体を倒す。
それにより鶏がこちらに気づく。
「「こけええええええええ!」」
サーラはバリアショットで鶏を倒し、鶏が近づくと二丁拳銃の通常射撃に切り替えた。
危なげもなく無事鶏を全滅させた。
まだ課題は残るが、悪くない成果だ。
このキャンプでサーラは力をつけていく。
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