エリスの告白②
「ま、待て待て!俺は英雄じゃない。勇者とか剣聖とかそう言うのじゃないぞ!」
「だからですわ」
「意味が分からないぞ」
「これは神話が関わってきますのよ。竜族も勇者と賢者も常に邪神を圧倒出来ていませんの」
サーラが反応する。
「女神と邪神の戦いですね。戦いの始め、竜族が邪神を追い詰めますが、邪神に巻き返され、竜族のほとんどが倒れます。その後勇者と賢者が邪神を打倒しますが、邪神の子と魔物によって逆転され、剣聖・聖女・魔王も戦いますが、邪神の子の残り4柱を打倒する事は出来ませんでした」
「その通りですわ。最初は優勢でも邪神と邪神の子は常に対策を取って攻め返してくるのですわ」
「分かったよ!セイの良く分からない戦い方が邪神の子に効くんだよね?」
「その通りですわ!セイのオリジナリティは貴重な力になりますの!」
「すまない、前に聞きそびれてたんだけど、魔王は味方だったんだよな?魔王の事について詳しく聞きたい」
マリナが制止する。
「セイ、今セイの大事な話。後で大丈夫」
エリスはこくりと頷く。
「更にセイには他の能力もあるのですわ。【自動成長】と【超成長】ですわ」
「ん?皆成長因子ってのをみんな持ってるんだろ?」
「そうですわね。ですが、【自動成長】と【超成長】は、簡単に言うと、苦しい思いをしてたくさん魔物を倒す事で発現するのですわ。心が壊れず、2つを発現したのは恐らくセイが長い歴史で初めてですわ」
「その2つの違いが良く分からないぞ」
「神話で竜族は年を重ねるだけで強くなると記されています。それが【自動成長】ですね?」
「その通りですわ。もう一つの【超成長】は勇者や賢者と同じ、いえ、勇者と賢者は致命的な弱点がありますわ」
「普通の人に比べて魔物を倒した時の成長率が10倍になるんだよね?でも勇者の致命的な弱点って何かな?」
「勇者と賢者の【超成長】はAランクの強さで止まり、その後はほとんど成長できなくなるのですわ」
「勇者と賢者はAランクで成長が止まるけど、俺は上限無く伸び続けるって事か?」
「上限がどこかはまだ分かりませんわ。ですが、今は伸び続けているのですわ」
確かに、俺は途中から強くなるスピードが上がっているような気がしていた。
何もしなくても強くなるし、魔物を倒した時他の人より明らかにハイペースで成長している気がしていた。
だが、これを言うとおかしい人だと思われそうで誰にも言っていなかった。
俺の感覚は間違っていなかった。
「俺はオリジナリティのある戦い方と、成長率が高いから強いってことで良いのか?」
「正確には邪神の子に対抗できる可能性があるのですわ」
「分かった。この話は終わりだな。魔王について聞きたい」
「魔王は、昔カプセルから逃げ出し、勇者と賢者によって討伐されましたの。その時に魔王が身を守る為魔物を操ってけしかけた為、魔王が悪者になったのですわ」
「それだけか?精神が狂ったりは無いのか?」
「そのような事実は無いはずですわ」
「王の力で何とか出来ないか?マリナの悪評を消したい」
「当時出来なかったようですわ。今は下手に皆を刺激しない為、行動を起こせていませんの」
「どうすれば王を動かせる?」
「今は魔人の脅威で王の権力が落ちていますの。魔人を全て倒せれば、王を動かせるかもしれませんわ」
民衆問題か。
民衆は自分に危機が迫れば誰かのせいにしたがる。
普通は共通の敵である魔物が居れば人間は結束する。
だが最近人が死にすぎた。
結束して戦ってはいるが、それとは別で王のせいにする者は必ず出てくるだろう。
「魔人を倒す前に王と話をつけて来たい。確認するけど王も管理者ってことでいいよな?」
「そうですわ。もしよろしければ、定期的に連絡係の斥候がここに来ることになっていますわ。その時に手紙を届けますわ」
「頼む」
マリナをちらっと見ると安堵していた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます