草原探索①
日用品もすべて揃え、すっかり日が暮れた。
俺達はマジックハウスに戻る。
「今日は酒禁止にして明日は魔物狩りキャンプに行ってみよう」
「森とか草原とかあるけど、どこに行くの?」
「意見が無ければ草原に行きたい」
「良いね。草原に行こうよ」
「私はセイについて行きます」
食事とお風呂が終わると、俺は2階の寝室に移動する。
アイラとサーラも付いてきた。
「二人とも隣に部屋があるぞ。ベッドもある」
「セイのベッドは大きいから、3人でちょうどいいんじゃない?」
「私はセイと添い寝します!」
こうしてサーラとアイラが俺のベッドにもぐりこむ。
しかもアイラとサーラが張り合ってこれ以上ないほど密着してくる。
右を向いても左を向いてもアイラかサーラが居る。
上を向くと二人の吐息。
俺はなかなか寝付けなかった。
【次の日】
朝食を済ませるとすぐに出発し、パーティーワールドヒーラーは王都を出て草原へとやってきた。
「牛の魔物が5体か」
牛の魔物は力が強い為1撃の攻撃力が高い。
「私1人で倒していい?」
アイラの力を見る良い機会だ。
「やってみてくれ」
俺とサーラは後ろで戦う準備だけしておく。
万が一に備えておくのだ。
「身体強化!」
アイラはロングソードを振り、飛び跳ねながら牛を倒していく。
動きが良いな。
剣術と身体強化に特化して訓練しているのか。
アイラは余裕で5体の牛を倒した。
俺が熱心にアイラを見つめていると、サーラが提案してくる。
「私も次は戦います」
「次はアイラとサーラで戦ってみてほしい。だが、強い魔物が出てきたら俺も戦うぞ」
「また出てきたよ」
「牛が8体です」
「丁度いい、サーラとアイラだけで戦ってみてくれ」
アイラが前に出て魔物を引き付ける。
サーラが後ろから二丁拳銃で魔物の気を逸らしつつ難なく魔物を倒す。
良いコンビだ。
「サーラとアイラでフェイズ1の魔物は余裕で倒せるな」
「えへへへ」
「ありがとうございます」
「もう少し奥に進もう」
これならたくさんの魔物とも戦える。
そこに20体近くの牛が現れるが、1体はフェイズ2だ。
フェイズ2の魔物は通常の魔物より大型化しており、力が増している。
俺はビームを撃って1撃でフェイズ2の魔物を倒す。
「え?なに?」
俺のビームにアイラが驚く。
「今は魔物を倒すぞ」
そこにアイラが牛の突撃を受ける。
俺はアイラにヒールをかけた。
「そんな!私の役目が無くなります!」
俺がヒールを使うとサーラが取り乱す。
「今は魔物を倒すぞ」
アイラとサーラを中心にして魔物を倒していく。
無事に魔物を倒すと、少し後退してマジックハウスを出す。
「休憩しよう」
マジックハウスで休憩する。
「今回は牛ばっかり出て来たね」
「草原に牛は多いけど、今回は3連続で牛だったな」
「セイのヒールがすごいよ!ポーションを1回も使ってないもん」
「サーラも使えるぞ」
「でもセイのヒールは無詠唱だよね?どうやって覚えたの?」
「治癒院時代にずっとヒールを使ってて、冒険者になってからもヒールを使い続けて、大洞窟の陽動依頼で何度も何度もヒールを使っているうちに、何でヒールって言っているか分からなくなってきた。しゃべらずヒールを使ってみたら使えるようになっていた。うーん、たくさん使ってたら使えるようになった以外の理由が分からないぞ」
「訳が分からなくなるくらいヒールを使わないと達人にはなれないんだね。私も頑張るよ」
アイラは両手を握りしめる。
「あ、ビームを撃ってたよね?あれは初めて見たよ」
「あれはターンアンデットっていう光を出す攻撃を改良したものだ。あの魔法は光が広がって全部の光を魔物に当てることが出来ない。無駄だなーと思ってたんだ。大洞窟で試してたら光を圧縮出来るようになった」
「新しい魔法を作るなんて、すごすぎるよ!」
さっきからサーラの元気が無い。
ぶつぶつと何か言っている。
「わ、私の役目が無くなる」
俺がヒールを使ったのがまずかったか。
新人冒険者を教育する時は、とりあえず魔物と闘ってもらい、それから改善点を出していくスタイルだった。
最初に計画を立てても計画倒れになり、予想外の行動を取る冒険者が居るからだ。
実際に魔物と闘ってもらい、そこから改善していくという順番が一番早いのだが、今回は裏目に出た。
魔物狩りキャンプの時はいっぱい冒険者が居て、サーラも料理と銃、ヒールのサポートが出来た。
でも今回3人パーティーになると、俺がヒールですべて癒し、ビームで敵を倒してしまったらサーラの役目を奪ってしまう。
サーラには役割が必要だ。
「サーラ、回復係をお願いしたい。ただし、危なくなったら俺もヒールを使うぞ。後、俺はフェイズ2とフェイズ3の魔物を優先して倒す」
サーラの顔が明るくなる。
「お任せください。それと、料理を作りますね」
「いつもサーラの料理には助かってるぞ」
「ありがとうございます」
サーラはすっかり元気になった。
お昼ご飯はサンドイッチとスープ。
「旨そうだな」
アイラはテーブルに置いた瞬間にサンドイッチを手に取る。
さすがにおなか一杯になるまでは食べなかった。
午後の魔物狩りもある。
食べすぎると動けなくなるのだ。
「アイラ、手加減して食べて偉いぞ」
俺はアイラの頭を撫でる。
「えへへ、でも少し馬鹿にされてる気がするよ」
アイラは勘が良いな。
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