装備新調

 俺達はゆっくりと昼食を取り、のんびりと買い物に出かける。


「ギルドの販売所に行く。みんなの装備を揃えるぞ」


「え?私お金持って無いから装備はいいよ」


「ダメだ、防具無しとか危険すぎる。それに武器の質も良くないだろ?」


 アイラは軍服を返却し、防具無しだ。


 防具と武器無しで戦うなど自殺行為なのだ。


 ギルドに入ると冒険者が声をかける。


「セイが来たぞ!」


「勇者に勝ったセイだ!」


 俺は皆に声をかけられる。


「勇者の奴俺達を見下してて気に入らなかったんだ」


「セイのおかげですかっとしました」


「スカッとしたぜ」


 賢者ほどではないが、勇者も嫌われてるな。


 販売所に着くと、店員が出迎える。


「いらっしゃいませ!」


「初めにアイラの装備を整えるぞ。アイラの装備が一番貧弱に見える。まず防具からな」


「アイラはどんな装備が戦いやすいですか?」


「軍服っぽい服とロングブーツかな」


「良いと思うぞ。品ぞろえも豊富だし、堅実だよな」


 アイラはワンピース型の軍服っぽいデザインの服を選ぶ。


 軍服と同じようなデザインでも青色じゃなければ使用しても大丈夫なのだ。


 ロングブーツもすぐに決め、次は武器だ。


「ロングソードとナイフか、ちょっと武器を見せて欲しい」


 ロングソードは所々刃が欠け、質も良くない。ナイフはまだ使えるが、これも質が良くない。


「全部交換だな」


 こうしてナイフと剣も新しく買い、装備するためのベルトも新しくした。


 お金が無く遠慮していたアイラだったが、装備すると、外に駆け出し、動き回って剣を振っていた。


 俺も子供の頃はあんなだった。


 アイラは15才で大人になってるけどな。


 アイラは背が小さく、子供がロングソードを装備してるように見える。


「次はサーラだな」


「はい、セイの色に染めてください」


 サーラは何故か赤くなっている。


 反応せず、装備を決めていく。


 サーラの防具は悪くない。


 だが、魔法の指輪が治癒院時代の物だ。


 あれは質が良くない。


 それと、銃も変えた方が良いな。


 銃は魔力を込めて打ち出すため魔力が高い方が威力は高くなる。


 だが、銃の性能によって魔力の増幅率が変わるのだ。


 良い銃は威力が高くなり手っ取り早く強くなれる。


 サーラはバレルが長めの二丁拳銃を選んだ。


「二丁拳銃の練習をしたいです」


「良いと思うぞ」


 二丁拳銃となることで、攻撃回数が2倍になる。


「指輪は単純に魔法増幅率で選んでいいか?」


「はい、お願いします」


「俺はシンプルなデザインの指輪を選ぶ」


「わ、私にハメてください」


 サーラは赤くなる。


 サーラの思考がまだ良く分からない。


 俺がサーラの指に指輪を嵌めると、サーラは嬉しそうにした。


 こうして銃と魔法の指輪を買い替えた。


 サーラは古い魔法の指輪をそっとストレージにしまい、銃は処分した。


 あれ?その指輪の傷は、もしかしてサーラが指輪を無くした時に俺があげた指輪か?


 いや、でもかなり昔だし、気のせいだろう。


 俺が多額の装備を購入したことで、錬金術師が現れる。


「兄ちゃん、大量に買ってくれてありがとよ。他にもとっておきの装備がある。見ていってくれねーか?」


「見るだけなら、見てみるか」


 錬金術師は大きな青い筒状の装備を取り出す。


 金属っぽい重厚感が、ゴーレムを思わせる。


「これはロックンロールバスターだ。大きいが、威力は保証する。腕にはめて撃つだけの簡単操作だ。更に、まめ打ちモードとチャージ打ちモードを使い分け可能だ」


 錬金術師は、右手にロックンロールバスターを装備し、右腕を前にかざし、左手でロックンロールバスターに手を添える。


 その打ち方が基本なのだろう。


「ちょっと大きすぎる。奥地まで探索してキャンプまでするんだ。コンパクトなデザインは無いか?」


「消耗品になるが、青い指輪型のエックスシリーズと赤い指輪型のゼロシリーズがある。どっちも魔力消費無しで使用できる。青が射撃で赤が魔法の斬撃を出せるぞ」


 消耗品だが、武器が壊れた時に命を守るには効果的だな


 指輪を触ってみるが、きちんと魔力が込められている。


 悪い物ではないだろう。


「この2つを貰おう」


「兄ちゃん、分かってるな」


 錬金術師は嬉しそうに笑った。


 アイラとサーラに渡すと、使ってみたいという事になった。






 訓練場に行くと、アイラの赤い指輪が光り、剣を振る動作をした時だけ斬撃が現れる。


 魔法の斬撃が出るたびに『ヴォン』と不思議な音がした。


「これ良いよ!すごく使いやすい!」


「アイラ、消耗品だから使いすぎるなよ」


 この指輪は追い詰められ、魔力が切れた時に使うものだ。


 通常の戦闘では使わない。


 サーラの青い指輪は、人差し指から魔法の弾丸が『バシュンバシュンバシュン』と連続で飛ぶ。


 更に青い指輪が『キュイーーーン』と音を立て光る。魔力が増幅すると、大きな魔法弾が発射された。


 まめ打ちモードとため打ちモード両方使えるのか。


「なんとなく分かりました。ありがとうございます。一生大切にします」


 魔力の指輪と青い指輪を抱きしめるように手で握りしめた。


「身を守るためのものだ。危なくなったらすぐ使ってくれ」


「分かりました。でも私とアイラだけ装備を揃えました。セイの装備は変えなくて大丈夫ですか?」


「俺は揃えてあるのと」


 俺はメイスを空間から出した。


「このメイスは魔人が持っていたレアアイテムだ。ストレージと違って一瞬で異空間から取り出せる。自動修復機能も付いていて殴って良し!魔法を使って良しの優れものだ」


「流石です!配慮の足りない私にお仕置きしてください!」


 まだ酔ってる?


 



 こうしてパーティーワールドヒーラーの装備は揃った。


 更に日用品の買い出しも終わらせる。









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