愚かな賢者は衰退する③

サーラを奪った冒険者ギルドのせいで牢に入れられた!


 冒険者ギルドが悪い!


 ライガは常人には理解できない結論にたどり着く。


 我が治癒士ギルドの力を思い知るのだよ!


 治癒士ギルドはライガの物ではないが、ライガは私物のようにギルドを扱う。


 ライガは治癒士ギルドのポーション製造所に押し入る。


 当然ギルド員に入室を止められる。


「ここは関係者以外立ち入り禁止です!」


「ポーションを冒険者ギルドに売るのはやめるのだよ!」


 ライガは相手の話の受け答えは一切せずに用件を伝える。


「しかし冒険者ギルドは魔物を狩り素材を供給するための重要な組織です。勝手なことは出来ません」


 ライガは電撃魔法を放つ。


「あがががががが!」


 ギルド員は電撃を受けて痙攣する。


 ライガの得意技、『論破されると電撃攻撃』だ。


「冒険者ギルドにポーションを売るのはやめるのだよ!」


「な,何故ですか?理由を聞きたいです」


 ギルド員は再び電撃を受ける。


「売り続けるのかね?やめるように言っているのだよ」


 ギルド員はがくがくと震える。

 ライガの電撃よりも、ライガは殺すまで電撃を使うのではないかという恐怖感でライガの言う事を聞く。

「や、辞めます!」


 こうして複数人を電撃で脅しつつ圧力をかけていった。


 ライガは電撃魔法を魔物に使わず人に使う。


 治癒より電撃魔法の方が得意だが魔物と闘わない。


 ライガの妨害で冒険者ギルドにポーションが届かなくなるが、この横暴はすぐに皆の知る所となる。


 ポーション製造部門は話し合い、ライガの悪行を広めることにしたのだ。


 そしてこの事により対ライガ包囲網が構築されていく事になる。





 ライガは上機嫌となる。


 ふっふっふ、これで冒険者ギルドは私の力を思い知る。


 謝りに来たら倍の値段で売ってやってもいい。












【冒険者ギルド】


ポーションが届かなくなり、ガイとセイにも状況の説明がされた。


「ライガの圧力で冒険者ギルドにポーションが届かなくなりましたわ」


[それってどこから情報が入ったんすか?」


「ポーションを作っているギルド員の方が直接訪れて丁寧に教えてくれましたわ。電撃魔法で脅されたそうですの」

 わざわざ情報を流してくるか。

 

 ライガは相当嫌われてるな。


 むしろライガに脅された事を前面に出して、ライガに罰を与える為に動いている気もするぞ。


 「今困ってるのか?」


 「困ってますわ!」


 「困ってるっすよ。魔物狩りはポーションがあるかどうかで生き残る確率が変わってくるっすよ。そのせいで冒険に行けず酒ばかり飲んでいる冒険者が増えてるっす」


「周りを見ると分かりやすいですわ。皆ギルドで暇そうにしていますわ」


 周りを見渡すと席が埋まっており、皆冒険に行かずくすぶっている。


 ポーションが無くなった状態で魔物狩りに行き、けがをしてしまったら最悪出血多量であの世生きだ。


 命の危険を急激に増した状態で魔物狩りに行きたくないと思うのは自然な流れだろう。


 ライガめ、ポーションの流通を邪魔して魔物が増えたら取り返しがつかなくなるぞ。


 出来ることは何個かあるよな。


「普通に3つほど対策を思いついたぞ」


「「え?」」


「全部うまくいかなくても1つくらいは効果があるだろ」


 

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