サーラと一つ屋根の下で

サーラをおんぶしてギルドへと歩くが、サーラは抱き着いて離れなかった。

 そして震えていた。


 後5発くらい殴っておけばよかった。


 冒険者ギルドに入るとエリスが駆け寄る。


「話は聞いてますわ」


 サーラは震えて俺の腕にしがみついて離れない。


 俺は黙って頭を撫で続けた。


 異常な状態に他の冒険者も近づいてくる。


「あー、ライガが」

 ライガと言う言葉にサーラの体がビクンと跳ねる。


「詳しい話は後だ。皆は後でエリスから事情を聞いてくれ」


 サーラはまだ落ち着かない。


「スープを持ってきてくれ」


 近くにいた冒険者がすぐに動き出す。


 サーラの今までの行いの良さもある。

 

 冒険者はサーラの味方だ。


 すぐにスープが運ばれる。


 しばらくしてもサーラが落ち着かない。


「俺は家に戻るが、エリスと一緒に居るか?ここに居れば安全だ」


「・・・セイさんの家に私も連れて行ってください」


「でも、ここの方が人がいっぱい居て安全だぞ」


「連れて行ってください!」

 サーラが泣き出す。


 俺はサーラをおんぶして防壁の内側の草原に行く。


 俺はマジックハウスを出す。


 2階建ての家が一瞬で出てくる。

 

 このマジックハウスは好きな場所に出すことが出来る。


 更に地形の傾斜に合わせて家が設置される優れものだ。


 大洞窟で魔人を倒して手に入れた。


 強い魔物か魔人はこういう貴重なアイテムをストレージに溜め込んでいる事があるのだ。


 サーラを中に入れ、ベッドに乗せ、毛布を被せる。


 こうすることで多少は落ち着くはずだ。


 後は何か口に入れた方が落ち着くだろう。


 暖かい食べ物を口に含んだり、食べ物を咀嚼そしゃくすることで少しは落ち着く。


 「食べ物を持ってくる」


 サーラが俺の服を掴んだ。

 ストレージにスープをストックしておけばよかった。

 失敗したな。


 結局俺はサーラをおんぶしたまま料理を作った。

 ライガからサーラを救出し、サーラの危機は去った。


 家に戻り冷静になるとサーラの柔らかい体の感触が気になって仕方がない。

 興奮してしまうが、出来るだけ冷静になるんだ!

 俺!冷静になれ!


 思えば女性と触れ合うのは15才の大人になってからほぼ無いぞ!


 俺は集中して料理を作る。


 ただの肉野菜スープとストレージから出したパンだが、今はこれで十分だろう。


「食べよう。食べればちょっとは落ち着くぞ」

 テーブルに食事を置く。


 サーラは俺のすぐ隣の椅子に座り、左腕を俺の腕に絡ませ、右手でスープとパンを食べていく。


 あのー、さっきからその大きな胸が当たる・・というか押し付けられてるんだけど。


 いや、俺は紳士だ。

 女性に恥をかかせるわけにはいかない。


 ジェントルメンとしてなにも無かった感を装うのだ。

 それにしてもサーラが柔らかい。


 簡単な食事を終えるとサーラがもじもじし始める。


「どうした?」


「トイレに行きたいです」

 サーラの顔は真っ赤だった。


「一人は怖いか?」


 サーラが頷く。


「トイレの前で俺が待っているのはどうだ?」


 サーラが頷く。


 サーラは昔からあまりしゃべらない。

 治癒院時代から会話はこんな感じだったな。


 俺はトイレの前にサーラを連れていき、サーラがトイレに入ってから話を続けた。

 話をすることで俺が近くにいることを実感できるだろう。


「俺3年冒険者をやってるんだけど、冒険者は良いぞ。なんせじゆ・・・」

 サーラの布がすれる音に聞き耳を立ててしまう。

 サーラがスカートを下ろしている。


「セイさん!居ますか!」


「い、いるぞ、何の話をしてたか・・・冒険者!冒険者の話だな。冒険者は自由で良いぞ!」

 俺は冷静さを失い、同じような話を繰り返していた。

 あーどきどきする。


 部屋に戻るとサーラが言う。

「冒険者、やりたいです。セイさんと一緒に冒険したいです」


 冒険者になるためには攻撃手段が必要だ。

 攻撃は最大の防御。

 治癒士ならみんなの少し後ろでヒールをかけていれば他の冒険者が倒した魔物の経験値を手に入れることが出来る。

 だが、いきなり魔物に包囲されたり、強い魔物が何体も同時で襲ってきたりと予期せぬことは起こるものだ。 


 サーラは俺と同じ治癒士だが、治癒士には致命的な弱点がある。

 攻撃が弱いのだ。


 俺はメイスやビームを撃って戦うことが出来る。

 だがサーラに近接戦闘は向かない気がする。

 ビームは俺以外使っている人間を見ない。


「サーラ、杖を振って戦えるか?」


「いえ、近接戦は苦手だと思います」


「治癒士以外に戦闘系の適性はあるか?」


「射撃の適性はあります」

 良いな。射撃なら魔物に近づく必要もない。


「ギルドで治癒を続けつつ、時間がある時に射撃の訓練をすれば行けるかもな」


 サーラが頷く。


「サーラ、風呂とサウナの用意をしてある。入ってくれ」

 風呂やサウナに入ることで精神は落ち着く。

 俺の経験上効果はあるのだ。


 サーラが俯く。

「怖いので一緒に入ってください。トイレも怖かったんです!」


「でも、サーラの裸を見てしまうぞ」


「だ、大丈夫です」


 俺はサーラが服を脱ぐ前に素早く服を脱ぎ、風呂場に向かう。

 早くしないとサーラが服を脱いでしまう。

 こうして一緒に風呂に入ることになるが、俺は素早く体を流して湯船に入り後ろを向く。

 だが、サーラが体を洗う音で想像が膨らんでしまう。


 サーラが同じ湯船に入ってくるので俺はすぐに上がり体を洗う。


「背中を流します」


俺の耳元でサーラが囁く。


「大丈夫だぞ」


「やります」


 サーラが手で俺の背中を洗い、腕や胸まで洗ってくるが、胸を洗う時にサーラの体が背中に当たる。

 

 タオル越しに胸の感触。

 俺は瞑想した。


 背中を合わせて湯船につかるが、広くはない為背中がぴったりと当たる。


「私ライガに拘束されて怖かったんです。ライガの奴隷になるのだけは本当に嫌でした。でもセイさんの奴隷にならなれます。この奴隷の紋章でご主人様の書き換えをお願いします」


「怖かったからそう思うんだ。今は風呂に入ってとにかく落ち着こう。いつもならこの後サウナに入って水のシャワーで体を流してぼーっとするのを何回かやるんだけど、もし疲れてたら上がろうか」


「お供します」


 サーラと一緒にサウナに入るが、タオル越しでもサーラのスタイルの良さがわかる。

 そしてサウナの熱で赤くなった体と吐息が妙に色っぽい。


 く!失敗した。

 瞑想だ!

 俺はサーラの色気に抗う様に瞑想を始めた。


「体をふきますよ」


「いや、大丈夫だ」

 これ以上何かされたら俺の理性が持たない!


 俺は結局1セットでサウナを終わらせた。


 サーラ、昔は子供だったが今は違うな。


 胸と尻の膨らみが気になってしまう。

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